郵便物に書くマーク「〒」は日本だけでしか通じない?郵便記号の由来をご紹介
日本人なら「〒」の記号を見て、郵便番号を指していることに気付きますよね。でも、この記号は世界共通かというと決してそうではないようです。
〒は日本オリジナルのもので、エアメールを送る際には使えないので注意してくださいね。
そこで今回は、なぜこの記号が使われるようになったのか、そして何がモチーフになっているのかなど詳しく見ていきたいと思います。
日本でしか使われない「〒」
「〒」は、日本独自の記号です。まずはいつ頃から使われるようになったかについて解説しますね。
明治20年から使われている「〒」
「〒」という記号は、正式には『郵便記号』といいますが、これが発案されたのは明治20年のことです。
当時あった逓信省が徽章として考案したのがルーツです。
その後、郵政事業は郵政省から郵政事業庁、日本郵政公社と引き継がれていきました。この間、郵便記号はそのまま使われ続けています。
そして郵政事業は民営化し、現在は日本郵政グループが担っていますが、「〒」は逓信省の時代から現在の日本郵政グループまで、ブランドマークとしても使われています。
明治20年は1887年のことなので、130年以上にわたりこの「〒」という記号が使われている事になりますね。
逓信省とは
「〒」という記号は、逓信省が発案したとすでに紹介しました。この逓信省とは、かつて日本にあった省庁です。
明治18年の内閣創設にあたって、郵便や通信を統括する省として誕生しました。
しかし第二次大戦中の昭和18年の行政機構改革に伴い、逓信省は消滅しました。そして逓信省は鉄道省と統合され、運輸逓信省が設置されました。
第二次大戦後、一時的に復活します。昭和21年〜昭和24年にかけて存在しましたが、この時の逓信省は郵便事業には携わらず、通信事務に特化した省として機能していました。
その後、昭和24年に郵電分離というものが行われました。
この再編成の結果、逓信省は完全に消滅します。逓信省の機能は、新設された郵政省と電気通信省に引き継がれました。
「〒」は日本独自の記号
「〒」は日本で開発された独自の記号です。外国人にこのマークを見せても、何を意味するのか分からないでしょう。
日本では郵便番号を記載する際に先頭に「〒」をつけることが多いですが、海外ではこのような記号はなく、いきなり番号を記入します。
「〒」のデザイン元はなに?
郵便番号を示す「〒」は、何が由来なのか気になりませんか?
諸説ありますが、その中でも有力と考えられる2つの説についてみていきますね。
カタカナの「テ」説
「〒」を発案したのは、当時の逓信省であることはすでに紹介しましたね。
逓信省(ていしんしょう)の頭文字「テ」というカタカナ表記から来ているという説があります。
確かに「テ」に似たデザインですよね。
アルファベットの「T」
こちらも逓信省がモチーフになっているところまでは一緒です。
しかしこちらはカタカナではなく、アルファベット表記の「Teishinsho」の頭文字である「T」から来ている説です。
実際、逓信省による最初の告示では「Tを徽章とする」とされていました。しかし、現在の郵便番号は「〒」であって「T」ではないですよね。
それにはこんな理由があるのだとか・・・。
逓信省の徽章と共に郵便記号として「T」を採用する際に、1つ問題が生じました。それは国際郵便の取り扱いで「T」が、料金不足を示すマークだったことです。
そのため、思わぬ誤解を生むのでは?という懸念が出てきたのです。そこで、Tの上に横線一本加えて「〒」になったというわけです。
他にも、この問題には発表前に気付いており、最初から「〒」と発表する予定だったのですが、手違いで「T」と発表してしまったともいわれています。
郵便記号に関する豆知識
郵便記号に関して、様々な豆知識があるのをご存知ですか?
この項目でいくつかご紹介するので、友人や家族との話題のタネにしてみませんか?
2月8日は「郵便マークの日」
郵便マークの日が制定されているのをご存知ですか?毎年2月8日がその日です。
なぜ2月8日が郵便マークの日に制定されたのかというと、それは2月8日がマークの決められた日だから。
明治20年2月8日に、「これよりT字型を以って本省全般の徽章とす」と逓信省が告示されました。
しかし、前述の理由から告示の6日後である、2月14日に「〒」に変更されました。
さらに2月19日には「〒の誤りでした」という官報が出て、正式に訂正されました。
ちなみにそれまでは別の郵便記号が用いられていたようで、赤丸を中心としてその両サイドに太い赤線を引いたものが、明治10年頃から郵便マークとして使われていたそうです。
「〒」は”郵便マーク”じゃない
「〒」のことを郵便記号ではなく「郵便マーク」と呼んでいる人もいますよね。
しかし厳密にいうとこれは間違い。郵便マークには別の記号があるからです。
郵便マークとは「〠」が正式なもので、正式名称は「顔郵便マーク」です。
さらにこのマークには手足の生えたバージョンもあります。これは郵便マークではなく、「ナンバーくん」というマスコットキャラクターです。
ナンバーくんが誕生したのは、昭和41年のこと。
定形郵便制度をPRするために登場したキャラクターで、その翌年には郵便番号普及のためのシンボルマークとしても転用されるようになりました。
このナンバーくんと、顔郵便マークとは別物として扱われています。
まとめ
日本人であれば、「〒」の記号を普段から何気なく使っているかもしれませんね。
でもこれは世界共通の記号ではなく、日本だけで通用するものだといわれると、意外な感じがするかもしれません。
「〒」が逓信省から来ているというのもあまり知られていないでしょう。
逓信省の「テ」もしくは「T」から来ている意外とシンプルな発想で生まれ、そこから実に100年以上も使われて続けているわけですね。
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