元AKB48まゆゆ引退に「燃え尽き症候群」の可能性 要因や予防策は?

元AKB48まゆゆ引退に「燃え尽き症候群」の可能性 要因や予防策は?
元AKB48で、「まゆゆ」の愛称で人気を集めた女優の渡辺麻友さんが、5月31日をもって芸能界から引退したことを所属事務所が発表し、ファンに衝撃を与えました。事務所によると、数年にわたり体調が優れず、健康上の理由で引退を決意したそうです。渡辺さんは2007年にデビューし、AKB48が国民的アイドルグループとしてブレークした「黄金期」に、主要メンバーとして過密スケジュールをこなしていたといいます。2017年末にグループを卒業し、ソロとしてドラマなどに出演していました。

メディアなどでは、「燃え尽き症候群」の可能性を指摘する声もあります。それまで仕事などに打ち込んでいたにもかかわらず、急に熱意や意欲を失う「燃え尽き症候群」。要因や予防策について、心理カウンセラーの飯塚和美さんに聞きました。

真面目で責任感が強い、完璧主義者といったタイプはなりやすい傾向に。完璧でない自分を認め、「0か100か」ではなく「いい(よい)加減」を心がけて

Q:「燃え尽き症候群」とは、どのような状態になることですか?
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これまで意欲的に取り組んできた仕事や目的などで、多大なエネルギーを要求され、長期にわたって緊張状態が続くことにストレスを感じ、次のような症状が現れます。

・頭痛や不眠
・感情表現が乏しくなり、無表情になる
・無力感にとらわれ、自分を責めたり、失望したりする
・気分が落ち込む「抑うつ状態」となる
・他者に対する気づかいや思いやりを持てなくなり、会話などへの反応が薄い

このような状態が長い間続くと、「うつ病」などの精神疾患につながります。

Q:「燃え尽き症候群」になってしまうきっかけや要因は何でしょうか?
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燃え尽き症候群になるきっかけとして、大きく2つの状況があります。

まずは、大きな仕事などが落ち着いて気持ちに余裕が出たとき。次に、自分が思い描いていた目的や目標が達成できなかったときです。例えば、大きな仕事を抱え、長い間プレッシャーと闘ってきたのに、成果が感じられなかった場合などに燃え尽き症候群に陥りやすいです。

職業では、医療や介護業界などで働く人がなりやすい傾向にあります。人が相手の仕事は成果が目に見えにくく、数値化されるものではありません。自分自身の達成感が得られないことが要因となります。

芸能界のような人前に出る仕事では、「もっと上へ」「もっとできる」など、周囲から求められる声も多く、余計にプレッシャーを感じる状態が続くと考えられます。報道によると、渡辺さん自身、「アイドルでいなきゃ」という気持ちが強く、恋愛スキャンダルなどもなかったといいます。常に「アイドルだから」という意識で緊張状態が続き、オフの状態すらなかったのかもしれません。

また、子育てがひと段落した母親がなりやすい「空の巣症候群」も、燃え尽き症候群の一種です。自分の楽しみや目的が「子育てそのもの」になってしまっている人は、いざ子育てが終わった後、自分自身のやるべきことや楽しみが見いだせなくなります。

Q:どのような人がなりやすいのでしょうか?
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何事にも手を抜くことができず、責任感の強い、完璧主義者のような人がなりやすい傾向にあります。

そのほか、自己肯定感が低く、常にがんばらなければいけないと思っている人も要注意です。何に対しても「0か100か」で考えてしまいがちで、「これくらいでいいか」「まぁ、いいや」などと思えません。すべて自分でがんばろうとすることで、大きなストレスを抱えやすいと言えます。

また、男性よりも女性の方が多い傾向にあります。特に既婚女性は、家事に子育て、介護など、男性よりも多くを担う場合が多いことが影響していると考えられます。

Q:「燃え尽き症候群」になってしまったら、自分自身や家族はどう対処すべきですか?
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燃え尽き症候群の状態では、動けなかったり、やる気が出なかったりと、自分ではどうにもなりません。自分でがんばりすぎず、まずは周囲に助けを求めてください。

さらに、思い切って仕事などを休みゆとりを持つことが大切です。好きな香りの入浴剤を入れて、ゆっくりお湯につかるなど、ちょっとしたことでいいので、自分にとって「心地よい」「安らげる」と思えることを、少しずつ生活に取り入れてください。

その上で、上司や同僚など、自分がプレッシャーに感じる人とは距離を置きましょう。

家族や友人など、周囲の人が心がけたいのは「黙って話を聞いてあげる」ことです。誰よりも本人が、自分の状態を「何とかしなければ」と思っています。ネガティブな話題はもちろん避けるべきですが、「休んで早く直さないと」などの言葉もプレッシャーとなります。プレッシャーから離れ、一緒に楽しく、のんびり過ごすことが一番の対処法となります。

Q:日ごろから「燃え尽き症候群」を予防する方法は?
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例えば、仕事なら、平凡な業務にも価値を見いだして、ちょっとしたことでも「自分はできた」と思うようにしてください。小さな目標をたくさん見つけ、着実に達成感を味わうことが望ましい状態です。

ポイントは、生活を「仕事一筋」など、一つのことだけに集中させないようにすること。友人や同僚とのおしゃべり、趣味など、仕事以外の時間にも目を向けてください。仕事に熱中している人は、休みの日も、仕事のことをダラダラ考えてしまうことがあると思います。オン・オフはきちんと切り替え、休むときは頭の中も仕事から離れましょう。燃え尽き症候群に限らず、心の健康には、ストレスをためず、睡眠をしっかりとることが有効です。

燃え尽き症候群になりやすい真面目な人ほど、自分一人で何もかも引き受けてしまいがちです。「断る」「人に任せる」という選択肢も考えてみるといいですね。

人間なので、誰でも、完璧にできないところはあります。まずは、「完璧でない自分」を認めましょう。

いつでも「ちゃんとしないといけない」「手を抜いてはいけない」と思うのは、子どものころからきっちりしつけられるなど、成育歴が影響しているケースもあります。自分に厳しい分、人のことも許せないなど、人間関係においても大きなストレスを抱えることにつながります。

何に対しても、「0か100か」にとらわれるのではなく、「このへんでいいか」と、適度な「いい(よい)加減」を意識してください。「できない自分」を許せると、気持ちが楽になります。

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