自治体がチャットツールを続々と導入! そのメリットとは?
オンラインミーティングのZoom、Microsoft Teams、チャットベースのコミュニティツールSlackやChatWorkなど、民間企業であればその企業に合った業務用コミュニケーションを選択して利用することができる。もちろん、これらのツールはインターネット上で利用できる。
一方、自治体の場合にはそれらが利用できない。それは、業務では高度なセキュリティを維持した行政専用のネットワーク「LGWAN」を利用しなければならないからだ。
LGWANは地方公共団体の組織内ネットワークを相互接続して、団体相互のコミュニケーションを遠隔化して情報共有することはできるが、直接インターネットとの接続はできないのだ。
自治体チャットツール「LoGo チャット」の導入が241自治体に急拡大
これまで、庁舎内のLGWANが敷設されたターミナルでなければLGWANにはアクセスできないという状況が続いていた。その状況を打破すべく、2019年11月、トラストバンク社はLGWAN-ASPを利用することによって、LGWANとインターネットの双方から接続できる、国内初の自治体専用ビジネスチャットアプリ「LoGo(ロゴ)チャット」をリリースした。
「LoGo チャット」を導入する自治体は、現在241に急拡大している。
LoGoチャットが可能にすること
これまで庁舎以外の場所では使用できなかったネットワークが、インターネット経由でも利用できることになって、様々な課題が解決できるようになった。すでに民生のツールでは可能であった利便性が、行政でも活用できるようになったのだ。
自治体が抱えていたコミュニケーションの課題は主に3つのエリアだ。それが次のように解決される。
1.チャット機能により、所属自治体内と他自治体の個別の相手、グループとのテキストベースのコミュニケーションが可能になる。
2.グループトーク機能を利用して、所属自治体内と、他自治体のメンバーを招集するチャット会議をオンラインで開催。
3.ファイル共有機能により情報共有が容易になり、ペーパーレス化が進む。
今年1月にはモバイル端末用のアプリも提供が開始されて機動性がプラスされている。
リモートワークの必要性が導入を後押し
新型コロナウイルス対策をリードすることが自治体に求められるという状況の中、今年3月、LoGoチャットを導入した自治体の数は、サービス提供から2月までの平均と比較して、8倍と大きく伸びた。
テレワークが推奨される環境において、LoGoチャットのメリットは多い。現状況下では特に、3密対策で対面の業務・会議を減らすことにより、職員等の感染予防には効果的だ。実際に利用する自治体からのフィードバックの一部は以下の通り。
・庁舎勤務職員、在宅職員のコミュニケーション、情報共有が円滑になった
・新型コロナウイルス対策本部でチャット会議を採用し、意思決定が迅速に
・他自治体、事業者との連携がより効率的になった
深谷市での実証実験が証明する業務効率の向上
4月21日に埼玉県深谷市とトラストバンク社が発表した、LoGoチャットの導入効果に関する実証実験の試算結果は、かなり説得力のあるものであった。
<試算結果のまとめ>
・職員1人あたり1日平均11分、年間44時間の削減効果を試算
・全職員(会計年度任用職員含む)1142名が活用した場合、年間(240日)で5万248時間の削減効果を試算
・全職員で年間約2億99万2000円相当の人件費の削減効果を試算
電話対応に追われて他の業務に手が回らない、残業が増えてしまう、会議の開催調整だけでエネルギーを使ってしまう、災害支援など外部との情報共有が難しい、といった問題が解決されると評価の高いLoGoチャット。その効果を定量的に可視化したこのデータは、今後自治体がLoGoチャットを導入するため判断する際には、ポジティブなデータの一つとなるだろう。
自治体内部での業務効率が向上することで、余った時間を住民サービス向上に使えるという声もある。また深谷市では、自治体間での情報共有をチャットを使ってやりとりすることで、先進的な取り組みをする自治体ノウハウを参考に住民サービス向上を短期間で実現できるようになると述べている。4月20日時点で導入されている241自治体で深谷市と同様の効果が得られるとすれば、それに伴い具体的に今後どのように住民サービスとして還元されていくかも併せて見守っていきたい。
ウェブサイト: https://getnews.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。