「小5で3Dプリンターに触れ、中1の誕生日プレゼントで買ってもらいました」 フェイスシールドを寄付する『Face Shield Japan』はロボコン女子高生のひとりプロジェクト

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、医療機関でもマスクや防護服が不足する事態になっています。そんな中、顔を覆うフェイスシールドを3Dプリンターで製作して無料で寄付する活動『Face Shield Japan』が立ち上がっています。

既に110個を送ったというこの活動を行っているのは、渋谷教育学園幕張高校1年生の立崎乃衣さん。3DプリンターメーカーPrusaのフェイスシールド作成用のモデルを使い、PLA樹脂でフレーム部分を製作。フィルム部分に0.4mmのPS(ポリスチレン)板、スポンジとゴムを手作業で組み立てるといいます。

この『Face Shield Japan』、立崎さんが所属している中高生国際ロボコンチーム『SAKURA Tempesta』が材料費や配送代を支援していますが、基本的に自宅に3Dプリンターがある立崎さんの個人プロジェクト。その行動力には驚かされます。

今回、そんな立崎さんにZoomを用いて取材。『Face Shield Japan』のことだけでなく、ロボットに興味をもった経緯や、将来の夢までお聞きすることができました。

--まず、『Face Shield Japan』をはじめた経緯を教えてください。

立崎乃衣さん(以下立崎):アメリカに留学中の『SAKURA Tempesta』創設者の中嶋花音さん(大学一年)から海外で3Dプリンターを使ってフェイスシールドを病院に届ける活動を行っている人がいることを聞いて、家にある3Dプリンターと材料で作れそうとなって試作してみたら、思っていたよりもしっかりしたものが出来ました。材料費や配送代は『SAKURA Tempesta』が支援してくれることになったので、ボランティアとしてはじめました。今は休校中で課題が出されているので、その合間に一日あたり8~9個ほど作っています。

--はじめてから告知はどのようにしていたのでしょう?

立崎:最初は『SAKURA Tempesta』のSNSで発信したのですが、はじめの数日は2件の問い合わせに留まっていたので、私が住んでいる関東の病院などのメールアドレスを調べて、約30件活動内容をお知らせしました。それでSNSではいろいろな人が拡散してくれて件数が増えていきました。

--実際に1個の製作にはどのくらいの時間がかかるのでしょう?

立崎:まず3Dプリンターでフレームを作る工程があって、それが2時間以上かかります。プラスチックやゴムを切り、組み立てて、配送準備をするのに15分くらい、合計で2時間半くらいです。

--フェイスシールドを3Dプリンターで作っているということですが、はじめて触ったのはいつですか?

立崎:小5の時にはじめて使いました。今自宅にあるのはMakerBot社のもので、中1の時の誕生日プレゼントで買ってもらいました。

--製作の過程で気をつけていることは?

立崎:一個一個、手作業で作るので、部品がちゃんとついているのか気を使います。あとは納品する病院などのデータ管理をしっかりとやるようにしています。

--納品先の反響はいかがでしょう?

立崎:「市販のものよりしっかりしており、心のこもった大切な宝物になりました」というお声や、「心温まる活動に触れ、貴重な経験になりました」「自分にできることを最大限にやろうとする姿に心を打たれました」と嬉しいお言葉を頂き、励まされています。

--立崎さんは、中高生国際ロボコンチームの『SAKURA Tempesta』に参加されていますが、ロボットに興味を持ったきっかけを教えてください。

立崎:父親が工学部出身ということもあって、物心がつく頃には工作をやっていました。ラジオやセンサーを作ったり、その頃にはハンダ付けも自分でやっていました。その延長線上でロボットに興味を持つようになり、小学校3年生の時にはじめて作りました。

--それはどのようなロボットだったのでしょう?

立崎:小3の時に作ったのは、センサーで黒い線を描いているところを動いていくロボットです。小6の時には、顔認証した相手に向かって進んでいくロボットを作っていて、その頃には設計から製作、プログラミングまで自分で出来るようになっていました。

--プログラムまで! 主に使っている言語は?

立崎:C言語とPythonを使っています。

--『SAKURA Tempesta』に入った理由を教えてください。

立崎:中1の時に、飲食業界で人手が足りないということで、約150cmの高さの、オーダーを席まで持っていくロボットを製作しました。その時に自分は小型のロボットよりも大型のものが作りたいと思ったのですけれど、個人でやるには難しいところがあります。それで、学校から近い千葉工業大学津田沼キャンパスが拠点の『SAKURA Tempesta』に入りました。私は設計と製作のどちらにも携わっていきたいのですが、チームで協力して作り上げるということは勉強になります。

--将来、どんな人になりたいと考えていますか?

立崎:ロボット工学の研究者になりたいというのが一番の夢です。私はバイオベンチャー企業ユーグレナ創業者の出雲充さんのことを尊敬しています。彼は起業した頃、いくつもの投資先に断られても情熱をもってミドリムシの研究をしてきました。私もいずれは自分の知識やスキルで社会に貢献していきたいと考えています。

--ありがとうございました!

Face Shield Japan
https://sites.google.com/view/face-shield-japan [リンク]

中高生ロボコンチーム SAKURA Tempesta
https://sakura-tempesta.org/ [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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