ネットで話題の「武蔵小杉駅からのお願いです」は乗客に届いているのか!? 実地調査レポート

話題になった武蔵小杉駅のポスター

2012年8月下旬、JR武蔵小杉駅のポスターがネット上で話題になりました。12枚の黄色いポスターで、南武線の四列での整列乗車を呼びかける内容はさておき、その枚数とイノセントな絵柄や発想がユーザーの琴線を刺激して、「ワロタ」「参りました」「ちょっとサイケにも思える」という声が続出。また、この分かりやすさに「ここまでやれば馬鹿でも四列に並べる」という意見が多く見られました。

しかし、本当に四列乗車が行われているのでしょうか? 疑問に思った筆者は朝ラッシュ時の武蔵小杉駅での実地調査をしてみることにしました。

武蔵小杉駅改札

武蔵小杉駅はもともと南武線と東急東横・目黒線の乗り換え駅だった上に、2010年からは横須賀線・湘南新宿ラインのホームができたため、2011年には乗降客数が10万人を突破しています。また、南武線のホームと横須賀線・湘南新宿ラインのホームは約500m離れており、後者から東急線への乗り換えには長い連絡通路と南武線立川方面が止まる2番線ホームを歩くことになります。

そのため、2番線ホームは混雑が予想され、ホームの後ろを開けるために、四列乗車を呼びかけているのです。しかし、実際のところは…。

四列じゃない…?

四列じゃない…。

四列じゃない!

四列じゃないですね…。

筆者はラッシュ時の7時から8時30分まで観察していましたが、多くて3列、ほとんどの場合は2列になっていました。どうやら南武線の乗降客に、四列乗車は全く浸透していないようです。

しかし、ホーム上の駅員さん(1名のみ)は、細かく注意することなく、淡々と日常業務をこなしていました。

エスカレーターは混雑

一方で、横須賀線・湘南新宿ラインのホームから来る乗降客は、列車が到着するたびに2番線のホームを足早に改札口へと向っていました。川崎側にはエスカレーターのみで階段がないため、行列になる時間帯も多く見られました。中には駅ホームの黄色い線の内側を駆けていく人の姿も。

よんれつ♪

四列乗車が定着していないのは、ポスターの位置にも問題がありそうです。ポスターは南武線と横須賀線・湘南新宿ラインの連絡通路の中間に張られているため、南武線の乗客では、川崎方面から来て横須賀線に乗り換えるケースでしか目にする機会がありません。また、筆者が10分ほど観察していたところ、ポスターに注目する乗客はほぼ皆無という状態でした。連絡通路なので、当然といえば当然の結果といえるでしょう。

JR東日本横浜支社によると、「ポスターは武蔵小杉駅の中で話し合われて内容が決められて掲示した」ということで、ネットで話題になっていることも把握しているそう。四列乗車が徹底されていないことに関しては、「今後、駅で対策を検討して周知していきたい」としています。また、ポスターの掲示期間は「いつまでになるか未定」とのこと。

せっかく話題になったポスター。ほのぼのとしたキャラクターとして知られる存在になったのですから、もっと人目のつく場所に張るなどの対策を考えてもらいたいところです。

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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