モーションキャプチャーで「歌い手」も出演!ボカロオンリーライブイベント『Voca Nico Night Live Stage』で実力派P生演奏
2007年8月31日にDTM(デスクトップミュージック)キャラクター・ボーカル・シリーズとして初音ミクが登場してから5年。ニコニコ動画を中心にさまざまな楽曲が発表され、人気を集める”ボカロP”(プロデューサー)も多く誕生。中にはメジャーデビューする実力派Pも現われ、新しい音楽シーンとしてすっかり確立することになりました。
普段はPCの向こう側で曲を作成しアップする、なかなか顔の見えない存在ですが、そんなPたちがステージでパフォーマンスを披露するというライブイベント『Voca Nico Night Live Stage』が2012年8月25日と26日の二日間に渡って東京・六本木のニコファーレで開催されました。
今回のサプライズだったのが、26日に「ロミオとシンデレラ」や「歌に形はないけれど」などメロウな楽曲で多くのリスナーの支持を得ているdorikoさんのステージで、ニコニコ動画で人気の”歌い手”である花たんさんが登場したことでしょう。しかも、リアル・モーション・キャプチャーにより、オレンジ色のボブカットにピンク色のかわいらしいワンピース姿が正面のフラットビジョンに映し出され、本人の動きを再現して、dorikoさん作詞・作曲の「飴か夢」を伸びのある声で高らかに歌い上げました。
MCで集まったファンやニコニコ生放送を視聴しているファンとのコミュニケーションもばっちりだった花たんさんは、「これなら顔出しができない私のような”歌い手”でも出ることができますね」と話し、活躍の場が広がったことを喜んでいる様子でした。
26日のオープニングでは、女性ながらポップからバラード、ジャズまで多彩な楽曲の評価が高いOSTERさんによる「恋色病棟」「狐の嫁入り」「ミラクルペイント」のキーボードでのパフォーマンスに会場は早くも熱気が。初音ミク誕生当初から楽曲を発表しているというOSTERさんは「ボカロが出たことによって、作詞作曲した曲を発表することができるようになりました」と語りました。
ピアノによる「演奏してみた」を投稿するなど、さまざまな方面で活躍するまらしぃさんは、ミクのお面をつけながらピアノのインスゥトルメンタル「夢、時々…」をはじめ、「cat’s dance」「アマツキツネ」を演奏。
疾走感のあるロックが身の上のやいりさんは、自身の「心裏×Иavigation」「閃光⇔Frustration」をギター&ボーカルで披露し、ファンのサイリウムの振りも激しく呼応していました。
ギターの早弾きを身の上とするダルビッシュPさんは、約一年ぶりのステージとは思えないテクニカルなパフォーマンスを披露。「Holography」「想イ出カケラ」「twitter」の三曲でステージ狭しと動き回り、観客を圧倒する演奏と自曲を終えるなり「むずかしい!」を叫ぶといった絶妙なMCで会場を盛り上げました。
一方、泣かせのギターを得意とする新鋭buzzGさんは、殿堂入りを果たしている「アルピノ」「星の唄」を披露。人の一生をテーマにした「しわ」には、生放送を視聴しているユーザーからも「なぜか涙が」という内容の書き込みも多く流れ、ストーリー性のある美しいメロディラインとGUMIのやさしい歌声に魅了された様子でした。
ボカロ黎明期よりPとしてシーンを走り続けているdorikoさんは「五年前にはこのようなイベントができるとは思っていなかったです。これもミクちゃんをはじめとしたボカロのおかげです」と感慨深げ。「どんなジャンルの曲もシーンを盛り上げていけますし、今後も曲をアップしていくので、よろしくお願いします」と自身やボカロPたちへの応援を呼びかけて、大きな拍手と歓声に包まれました。、
一見すると、ボーカルが不在で、バンドメンバーがいるという不思議な光景の中はじまった『Voca Nico Night Live Stage』ですが、ミクをはじめとしたボカロのキャラクターが見えるような素晴らしい楽曲の演奏の数々に、ボカロシーンの新しいライブの萌芽が感じられました。
二回目の開催も決定しているということで、ボカロ好きを超えた、音楽ファン必見のイベントへと成長していきそうです。
Voca Nico Night公式サイト
http://www.nicovideo.jp/vocanico
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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