【図説で愛でる劇中車 第12回】「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といえば、未来にタイムスリップするあの車!
国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!
第12回は、1985年に第1作が公開、1990年までに計3作が製作された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの車たちです。今年で公開35周年を迎えるバック・トゥ・ザ・フューチャーの車といえば、そう、アレしかありませんよね!
今なお人気が高いSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
マイケル・J・フォックス演じる、ごくふつうのアメリカの高校生マーティは、近所に住む変わった科学者で、親しい友人だったドクの実験に付き合うことに。その実験とは、ドクが開発したタイムマシーンを使ったタイムトラベルでした。その実験の最中、とある事件によってマーティは1985年から1955年にタイムスリップしてしまいます。しかもマーティの母・ロレインは、なんとマーティに恋をしてしまい、そのままでは「マーティが生まれない」という一大事に……。
というストーリーで始まるバック・トゥ・ザ・フューチャー。第1作は映画内の設定と同じ1985年に上映。アメリカをはじめ世界中で大ヒット。1989年に続編の「パート2」、1990年には三部作の完結編として「パート3」も作られました。練られたストーリー展開、3部共通の世界観や散りばめられた小ネタの多さなどから、現在でも高い人気を誇っています。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』といえば、「デロリアン」
バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズといえば、登場人物以上に有名なのがアメリカのスポーツカー「デロリアンDMC-12」を改造したタイムマシーンですよね。デロリアンとはGMの副社長だったジョン・ザッカリー・デロリアンが退社・独立して設立した自動車メーカーで、1981年から1982年にDMC-12を生産後、倒産してしまいました。
DMC-12はロータスが設計、プジョー・ルノー・ボルボが共同開発したPRV・V6エンジンをミッドマウントしたスポーツカーで、ジウジアーロがデザインした外観はFRPで形作られていました。特徴は上に跳ね上がるドアと、ボディに貼られたヘアライン仕上げのステンレスパネル。その未来的なイメージは、まさにタイムマシーンにぴったりですよね。
デロリアンは過去と未来でいろいろな姿に変身
バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作で、デロリアンのタイムマシーンは1985年から1885年、1955年、2015年の世界に現れ、それぞれの時代に合わせて姿を変えています。パート2では舞台となる2015年の技術を用いて、ホバーによって空を飛ぶ機能を追加。
パート3では1885年の荒地を走行できるよう、1955年に存在した技術で改造されており、ホワイトリボンタイヤ、上げられたロードクリアランスなどが特徴的でした。1885年の世界では、デロリアンが自走不能になったために、レールの上を走れるように改造されていました。
“30年後の2015年” を描いたパートIIに登場の「未来カー」
パート2の注目は、“1985年の30年後”として描かれた2015年。映画内では空飛ぶ車が一般的になるなど、劇中の2015年を飛び超えた現実の「いま」でもまだ実用化困難な技術が普及していました。街ゆく車も、フォード・プローブなどに流線型のカバーを載せ、「あの頃考えられた未来的なデザイン」をもたせていました。
その中でもひときわユニークなのが、(現実の)1955年に登場したシトロエン DSを改造して生まれたタクシーです。デビュー当時から「宇宙船」と呼ばれていた車だけに、装飾を施しただけで「来なかった未来」感が出るのが面白いですね。
また、バック・トゥ・ザ・フューチャーは、カリフォルニア州にあるという架空の街「ヒルバレー」でストーリーが進むのですが、劇中の2015年に活躍する、ヒルバレー警察の「いかにも未来のパトカー」にも注目です。こちらは既存車の姿をまったくもたない、映画の完全オリジナルデザインでした。映画撮影後は放置されていたようですが、2011年頃にレストア。現在では美しい姿を保っています。
公開35周年! バック・トゥ・ザ・フューチャー祭りに期待大
2020年は、バック・トゥ・ザ・フューチャー初公開から35年。これを記念して、日本でもシネマオーケストラコンサートの開催や、記念グッズの発売も行われるようです。一斉を風靡した名SF映画、ふたたびいろいろなジャンルでフィーチャーされる1年になるかもしれませんね。
文・絵/遠藤イヅル
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