【ホラー通信セレクト 今週公開の映画】2020/3/20号:『ナイチンゲール』『CURED キュアード』

ホラー通信がセレクトする今週公開の映画をご紹介します。今週は、心を抉る傑作2本が公開。

まず、『ババドック 暗闇の魔物』が話題となったジェニファー・ケント監督の最新作『ナイチンゲール』が公開に。イギリス植民地時代のオーストラリアを舞台に描く、夫と赤ん坊を残虐に殺された女囚と、迫害される先住民アボリジニの青年の復讐劇。登場人物を「これでもか」と追い込み、人間の弱さも残酷さもむき出しにさせるジェニファー・ケント節が炸裂。かなり精神的に“クる”タイプのバイオレンス描写があるため、鑑賞は覚悟の上でお願いしたいところですが、それ以上に強く心に遺るものがあるはず。主演アイスリング・フランシオシの切なる歌声、アボリジニ青年役バイカリ・ガナンバルの好演も見どころ。一生忘れられないタイプの映画ですよ。

続いて、新しい視点でおくるゾンビ映画『CURED キュアード』が同日公開。ゾンビ・パンデミック終焉後、ゾンビの“治療法”が確立された世界のお話。「ゾンビは治る! めでたしめでたし」といかないのが人間と社会ってもんでして。治療された元ゾンビ=回復者は人を噛み殺した記憶に苛まれ、かつて怪物だった人々を恐れる健常者は回復者を激しく差別。対立は激化し、ウイルスではなく“恐怖”のパンデミックが巻き起こる――。現実の社会問題に着想を得たという本作のデヴィッド・フレイン監督。新型コロナウイルスの感染流行に翻弄される今現在の社会において、皮肉にもめちゃくちゃタイムリーな公開となってしまいました。まさしく今観るべき映画、体調と感染対策には気をつけつつ、劇場にお出かけくださいませ。(風邪症状のある人は自宅待機だよ!)

それでは今週も行ってらっしゃい!

『ナイチンゲール』3月20日公開

19世紀のオーストラリア。一帯を支配する英国軍の将校達から激しいレイプを受け、夫と子供を殺されたアイルランド人の女囚クレア。復讐を誓う彼女は、逃亡した将校らを追跡するために先住民アボリジニのガイドであるビリーに道案内を依頼する。何一つ後ろ楯もない、奪われし者達の過酷な復讐の旅が始まる――。

映画公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/Nightingale/

『CURED キュアード』3月20日公開

回復者のひとりである若者セナン(サム・キーリー)は、シングルマザーの義姉アビー(エレン・ペイジ)のもとに身を寄せるが、回復者を恐れる市民の抗議デモは激しさを増すばかり。やがて理不尽な差別に不満を募らせ、過激化した回復者のグループは社会への復讐テロを計画する。その怒りと憎しみの連鎖はセナンやアビー親子を巻き込み、新たな恐怖のパンデミックを招き寄せるのだった……。

映画公式サイト:http://cured-movie.jp/

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レイナス

おもにホラー通信(horror2.jp)で洋画ホラーの記事ばかり書いています。好きな食べ物はラーメンと角煮、好きな怪人はガマボイラーです。

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