【日本三大霊山】日本で古くから信仰の対象となった荘厳な姿をした山々をご紹介

【日本三大霊山】日本で古くから信仰の対象となった荘厳な姿をした山々をご紹介

日本では古くから山を信仰の対象としてきました。中には神が宿ると信じられていた山もあり、それらの山々は「霊山」と呼ばれています。

富士山を筆頭に多くの霊山がありますが、特にその中でも代表的な3つの山「富士山・白山・立山」は『日本三大霊山』と呼ばれています。

今回は特に日本人なら知っておきたい日本三大霊山についてご紹介します!

古くから山々を信仰の対象とした日本

古くから日本では雄大な山々を信仰の対処としており、そこには神がいると考えられています。

もしくは神が降臨する神降ろしの場所としても信じられており、人々の生活にも多大な影響を与えていたと考えられています。

噴火への恐れは火山への信仰

山が噴火する姿に畏怖や畏敬の念を抱いた日本人は、次第に火山そのものを信仰の対象とするようになっていきました。

山の中でも火山はその神々しさから人間では到底太刀打ちできない力を持つ存在として、神がいる場所と信じられてきたそうです。

事実、火山は古くから信仰の対象であり、特に富士山や阿蘇山や鳥海山などへの信仰が深いと言われています。

山の神は稲作の神

古くから山の神は春になると山から降りてきて、稲作にとって重要な田の神になるといわれています。

山は、春になると稲作にとって非常に重要になる雪解け水をもたらします。人間だけではなく動物や植物が生きていくための水を生み出してくれることから、信仰の対象となったという話もあります。

それほど豊かな水をたたえる山というのは神の存在に近かったのです。

死者の魂は山に集う?

かつて日本では天命を全うすると、死者の魂は山の上の遥か彼方に旅立つと信じられていました。それは主に山上他界と呼ばれ、山自体をとても神聖な場所だと考えていたのです。

特に恐山や立山などの霊場が有名な他、月山や熊野三山なども死者の魂が集う山として知られており、それが信仰の対象となることもあります。

神が住まうと考えられていた?

山には神霊がいると考えられ、山は古来より信仰されていました。もともと日本には万物に神が宿るという考え方が根底にあるということから、「八百万の神」がいるとされています。

山にも神が住んでいるとされ、それ自体が信仰の対象となっていることもあります。

富士山

富士山は日本三大霊山の1つで、日本一のパワースポットとも言われる山です。

富士信仰は縄文時代からあった?

日本では古くから富士山そのものを神と見立てて信仰する風習があり、それらは富士信仰という文化として残ってきました。

その歴史は古く、複数の祭祀遺跡が発掘されていることから、縄文時代後晩期にはすでに存在していたと考えられています。

遺跡にはサークルストーンと呼ばれる配石機構が見られ、学術的に見てもそれらが富士信仰に使われていたのではないかと考えられています。

富士山開山の祖といわれる末代

「末代(まつだい)」は富士山開山の祖とされる人物で、「本朝世紀」という書物には富士山の頂上に大日寺を建てたと記されています。この行為自体が強い信仰を示すと考えられ、富士信仰の大きな転機だったと考えられています。

また、末代は修験道を組織した人物としても知られ、富士信仰の移り変わりにも関係した人物だとされています。

その他、平安時代の「地蔵菩薩霊験記」や「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」という書物にも、末代と村山修験の関係が記載されていることから深い関係があったと考えられています。村山修験は民衆による富士信仰の実例として最も早いとも言われるなど、影響力も強かったと考えられるものです。

このことから、平安時代にはすでに富士山が信仰の対象となっていたのではないかと考えられています。

江戸時代に流行った富士講

富士講とは江戸時代に民衆に広まった信仰のひとつです。平和の時代が訪れた江戸では、遥かに望む富士山に登山をしお参りをしたいという人たちが増えました。

しかし、江戸から富士山までは順調に進んでも約8日かかるため、日数の面でも費用の面でも気軽に行けるような場所ではありません。

そこで江戸の人たちはお金を集め、それを代表の人間に預けて代わりに参拝をお願いする「講」という仕組みを利用することにしました。これが富士講のはじまりです。

この富士講は、次第に江戸だけでなく全国に広まっていきます。各地で浅間神社が建立される他、登れば富士登山と同じご利益があるとされる富士山を模した人工的な山や築かれたり丘や古墳を富士に見立てた富士塚が設けられました。

白山

白山は日本三大霊山の1つで、日本屈指の霊場としても知られる山です。

白山修験

白山修験は白山山頂本社をはじめとする山岳信仰の1つで、当時強大な勢力を誇っていた熊野修験に次ぐ勢力を誇っていたと言われています。

その規模は非常に大きく、中世では宗教的にも政治的にも強大な力を持っていたのだとか。当時の朝廷による政治にも多大な影響を与えていたことは間違いないです。

全国にある白山神社

もともと強い勢力の熊野修験があったのですが、その熊野修験の勢いが衰えてきた中で白山修験は徐々に勢力を広げていきました。その結果、全国各地に白山神社が増えることとなりました。

事実、全国に白山神社は2,700社ほど鎮座しており、いかにその影響力が強かったかがわかります。ちなみに白山にある「白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)」が全国にある白山神社の総本社です。

立山

立山は日本三大霊山の1つで、神々しい自然が残る山です。

歌にも詠まれた神を感じる立山

奈良時代の貴族であり歌人の『大伴家持(おおとものやかもち)』が詠んだ「立山に降り置ける雪を常夏に見れども飽かず神からならし」は、夏になっても溶けない立山の雪に神の存在を感じて詠まれた歌だとされています。

立山そのものも神々しさを持つ山なのですが、立山三山の1つである雄山は別格です。事実、雄山は仏そのものとして崇められており、立山三山の中でも重要な山の1つとなっています。

立山修験

立山は古くから立山修験と呼ばれる山岳信仰の山として知られ、平安時代から地獄極楽がある山としても信仰されてきました。

立山山麓には岩峅寺(いわくらじ)や芦峅寺(あしくらじ)をはじめとした信仰登山の拠点があり、宿坊を兼ねた宗教施設としての村落もあったそうです。その異様とも感じさせる山頂からの景色は、まさに神が宿っていることを彷彿とさせるもので現在でも信仰登山をする人々がいます。

ちなみに山頂付近には温泉がある山でもあり、より一層神の存在を感じさせる場所でした。ただ、近年は信仰のための登山というよりも自然を満喫するための登山が人気となり、観光客も多く訪れています。

まとめ

日本三大霊山は富士山と白山と立山の3つです。これらの山々は日本を代表とする霊山と言われており、宗教とも深い関係を持つ山です。

現代では登山などで訪れる人も多いですが、霊山としての見方を知ればまた違った歴史の側面が見えてくるかもしれません。

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