ウェブ業​界がろくろをまわすな​ら、アクション映画業​界はみんな横顔でキメていた

GREY

あなたが「この映画観たい」と思うきっかけはどんなことですか? 好きな俳優さんが出演しているから、原作が好きだから、監督のファンだから、予告編を観て面白そうだから、など様々なきっかけが考えられます。映画館や駅などに貼られているポスターを見て気になったから、という場合もあるでしょう。

夏はスカっとするアクション映画が観たくなる季節。今夏もたくさんのアクション映画が公開されます。御年60歳のリーアム・ニーソンが雪山で格闘する『THE GREY 凍える太陽』、名作『レオン』『ニキータ』に続くヒロインアクションの『コロンビアーナ』に、韓国No.1ヒットの『神弓』に、サミュエルが激渋い『コンフィデンスマン ある詐欺師の男』に……。って、よく見るとポスターが全部横顔! そう。以前話題になった「ウェブ業界の人はインタビュー時にろくろを回している」の様に、アクション映画のポスターはなぜか横顔のものばかり。

ウェブ業​界がろくろをまわすな​ら、アクション映画業​界はみんな横顔でキメているんです! これは偶然なのか必然なのか。真偽のほどを確かめに、配給会社「ショウゲート」さんの門を叩いた筆者。映画宣伝担当の方にお話を聞いてきました。

――こうして並べてみると、見事にみんな横顔ですが、これは偶然ですか? 意図的ですか?

ショウゲートさん(以下、S):それが偶然なんです。ポスターは毎回同じデザイナーさんが作っているわけではなくて、「横顔でお願いします」などと言ったオーダーはしていません。でも気付いたら皆横顔だったんですよね(笑)。

grey

(C)2011 The Grey Film Holdings, LLC.

――アクション映画のポスターが横顔ばかりなのは、どんな理由が考えられますか?

S:まず考えられるのは、横顔の方がポスターにストーリー性が感じられるからだと思います。毎作品、デザイナーさんには事前に映画を観てもらって、イメージをふくらませてから製作にとりかかっていただくのですが、例えば『THE GREY 凍える太陽』の場合、雪山で何かに追われている主人公の様子がポスターから伝わってきます。この作品は、アメリカ本国では正面を向いたポスターなのですが、日本版では横顔デザインになりました。

cba_p

(C) 2011 EUROPACORP – TF1 FILMS PRODUCTION – GRIVE PRODUCTIONS

――確かに、この『コロンビアーナ』の場合も、横顔で、しかも涙を流しているということから「彼女はきっとワケアリなんだな」と推測することが出来ますよね。

S:そうなんです。横を向いているという動きが一つ加わるだけで、ストーリーが生まれますよね。

hungry

(C)2011 HRJ DISTRIBUTION, LLC

6月に公開した映画『ハングリー・ラビット』は、ニコラス・ケイジ演じる無実の男が敵に追われるという物語だったので、高層ビル群の街並みが横向きになってポスターにデザインされています。これで、街中を追われているという様子を表現しました。

――これが正面を向いていたら全く違うイメージになったでしょうね。

S:後は、キャストを前面に押し出した映画というよりは、中身をしっかりとアピールしていきたい作品であるというのも考えられますね。

e7a59ee5bc93

(C) 2011 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved

この『神弓』は、韓国で800万人を動員し、昨年No.1ヒットとなった映画なのですが、いわゆる“韓流”と呼ばれる作品とは違って、10万の大軍にたった1人で立ち向かう歴史アクションなので、キャストを“売り”にするよりは、この弓矢をフューチャーしようとこの様なデザインになりました。

――この美しい弓と追ってくる軍、頬の傷などから、この主人公がただ者では無いということと、壮絶な戦いを想像出来ますものね。

S:先ほどの『コロンビアーナ』もそうですが、横顔からは過去や人生が漂ってきますよね。『コンフィデンスマン ある詐欺師の男』は、「過去を撃ち抜け」というコピーどおり、サミュエル・L・ジャクソン演じる主人公の過去が物語のベースで、ポスターからも、彼の悲しみや壮絶な過去を感じられる様にデザインされています。

confidence

(C)2262730 Ontario Inc.

――確かにモノクロ写真の横顔サミュエルからは、何か哀愁が感じられますし、帽子姿が激渋いです。

S:ですので、映画館や駅、街中で横顔の映画ポスターを見かけたら、そこからストーリーをイメージしたり、想像してみて欲しいですね。『THE GREY 凍える太陽』のポスターも、背景に墜落した飛行機があって「これは雪山で遭難したんだな」と感じ取れますし、よく見ると“THE GREY”の文字が狼の目になっていたりと、主人公がおかれている状況が非常に危険であることが分かります。そうしてあれこれ推理して、もっと映画を楽しんでいただきたいと思います。

――どうもありがとうございました!

アクション映画のポスターに横顔が多いのは、そこから感じられるストーリー性や、主人公のキャラクターや過去を表現する為。何となく眺めているポスターにも、色々な想いやメッセージがこめられていると思うと面白いですね。私もこれから映画のポスターを見かけたら、「これはきっとこういうお話かな?」「あ、ここにこんなモチーフが隠れている」などと注意深くチェックしてみようと思います。

今回事例に出したアクション映画はどれも、大人がしっかり楽しめる骨太な作品だらけ。暑い夏は映画化の迫力満点のスクリーンでアクション映画を観て、スカっと爽快な気分を味わっちゃいましょう。

【今回紹介した映画】

『THE GREY 凍える太陽』 – 8/18公開
http://grey-kogoeru.com/

『神弓』 – 8/25公開
http://kamiyumi.jp/

『コロンビアーナ』 – 9/1公開
http://colombiana.jp/

『コンフィデンスマン ある詐欺師の男』 – 10/6公開
http://conman.jp/

『ハングリーラビット』
http://hungry-rabbit.com/

【参照記事】インタビュー時に手が「ろくろ」になるのはなぜ? 過去に撮影した数万枚の写真から検証し得た答
https://getnews.jp/archives/175803

  1. HOME
  2. ガジェ通
  3. ウェブ業​界がろくろをまわすな​ら、アクション映画業​界はみんな横顔でキメていた

藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。