SIGMA主催の「fpフェス2020春」レポート 撮影にはもちろん「SIGMA fp」を使用
SIGAMA主催の「fpフェス2020春」が2月8日に都内で開催された。SIGMAのカメラユーザーが対象ということで、長年愛用している古参ユーザーから、「SIGMA fp」でユーザーになった新規ユーザーまで様々なユーザーが一堂に会してステージイベントや展示を楽しみました。
そんなfpフェスを取材する機材は、もちろん「SIGMA fp」です。今回レンズは「24-70mm F2.8 DG DN | Art」を装着。動画撮影用に、SENNHEISERの「MKE-600」、収録機として ATOMOSの「SHOGUN 7」を使用。三脚はマンフロットの「befree live カーボン」と軽量コンパクトなシステムで臨みました。
fpは、4K 30P動画の収録およびHDMI出力ができますので、HDMI出力をSHOGUN 7に入力。ProRes 422 LTで収録しました。今回使用している写真は収録した4K動画から切り出してトリミング、リサイズして使用しておりますが、十分な画質が得られたと思います。
フルサイズFoveonセンサー開発への注力を明言
第一部の開幕は、シグマの山木和人社長の挨拶から始まりました。単純な開会挨拶かと思われましたが「実はこの場を借りて、SIGMAユーザーの皆さんにご報告しなければならないことがあります」と、プレスリリースでも発表された「フルサイズFoveonセンサー搭載カメラの開発状況について」の詳細な状況が伝えられました。
フルサイズFoveonセンサー搭載カメラの開発状況について | カメラ | SIGMA|株式会社シグマ
https://www.sigma-photo.co.jp/new/2020/02/08/4550/[リンク]
熱心な、いわば「よく訓練された」SIGMAユーザーばかりですので一瞬ざわっとしたものの、すぐに落ち着きを取り戻したようです。彼らは製品開発の遅れや価格の改定など重大発表に慣れているため「まぁ仕方ないよね」「焦らないで良いものにしてほしいな」という気持ちで話に耳を傾けていたように思います。むしろ試作段階の「フルサイズFoveonセンサー」を初披露した時の方が会場のテンションが上がり、シャッターを切る人も多く見られました。
fpフェス 2020春:山木社長によるフルサイズFoveonカメラ発売計画のリセットについて(YouTube)
https://youtu.be/HizXmb1zIYM
そのあとの質疑応答では、プレス以外からも質問を受け付け、そのすべてに誠実に回答をしていました。カメラの開発を一旦リセットし、センサー開発に注力することとなったので、「fpに採用されているフルサイズのベイヤーセンサーを搭載した別のカメラを出す予定があるのか?」「既にあるAPS-HサイズのFoveonセンサーを開発中のボディに搭載できないのか?」と、わかりみが深い質問もありましたが、現時点での計画はないとのこと。また、新型コロナウイルスの影響などに関しては、すべて福島の工場で製造しているため大きな影響はないが、使用している部品のいくつかが海外製ということで、供給の面で影響があるという情報が確認されているなど、回答できる範囲で最大限の回答がなされたように感じます。一連の模様は動画にてご確認ください。
プロジェクトリーダーが開発秘話を披露
続いて、fp開発プロジェクトリーダー畳家久志氏による「プロジェクトリーダーによるfp開発秘話」と題したトークセッションが開催されました。山木社長のfpコンセプトスケッチの公開や、EVFの要望に対する受け答えなど、濃密なプレゼンテーションと質疑応答が行われました。
fpコンセプトスケッチだけでなく、開発段階のパーツレイアウト案など貴重な資料の紹介があり、あのデザインとサイズに収めるための苦労が伺えました。
また、Foveonセンサーとベイヤーセンサーのおさらいも改めて行われ、最高の一枚のためにFoveonセンサーを開発しているのだという想いが伝えられました。
またファームウェアに関しても状況が報告されました。fpは、シネモード、スチルモードが5:5のスチルも動画もどちらも対応してゆくカメラであると過去の記事でも記述しましたが、そのために、ファームウェアの開発が膨大になっているということでした。一般のカメラの3台分の開発リソースが必要ということで、苦労がしのばれます。
写真も動画もこれ一つでOKのフルサイズミラーレスカメラ「SIGMA fp」
https://getnews.jp/archives/2360838[リンク]
スケジュールに関しては、3月初旬に不具合解決を目的としたVer.1.02が、初夏に事前アナウンスがあったVer.2.00がリリース予定と発表されました。質疑応答でも明らかになりましたが、フルサイズFoveonセンサー搭載カメラの開発が一旦リセットとなったことでファームウェアの開発スケジュールや作り込みは捗りそうな感じです。
畳家久志氏による「プロジェクトリーダーによるfp開発秘話」のトークセッションおよび質疑応答はこちらの動画でご覧いただけます。
fpフェス 2020春:プロジェクトリーダーによるfp開発秘話(YouTube)
https://youtu.be/qL9uuNMAy8k
デザイナー視点でfpの魅力を語る
休憩を挟んで、THE GUILD のUX.UIデザイナー安藤剛氏によるスペシャルトーク「fpがカメラの体験をどう変えるか?」と題して、デザイナー視点でのSIGMA fpの魅力、数々のカメラを乗り換えてfpにたどり着いた理由などを披露しました。
最初はニコンユーザーだった安藤さんですが、フルサイズ一眼レフが重いということでSONYのαに移行、一眼カメラのα7にしたところやはり物足りなさがあり、Leica M10-Pへ移行。今はLeicaとfpを使っているとのこと。
YAMAPのCXOでもあり、ご自身でも登山をされる経験から、fpは常に持ち歩ける携帯性とすぐに取り出して使える機動性に優れており、写真としてのクオリティにも満足していると語りました。
また、デザインにおいてもその佇まいがよいと評価。他社の一眼レフやミラーレスカメラは、ペンタ部や正面から見える場所にメーカーロゴが入っている例を提示。
fpでは、正面にはメーカーロゴはなく、fpという機種名すら、手に持った時には隠れてしまい、カメラそのものの存在感が薄くなる。撮られる側にとって余計な情報が入ってこないというデザイン面のアプローチを紹介。
そのほかにも、レンズやカメラに使用されている書体「シグマフォント」にも言及し、ウェブサイトから製品まで一貫性のあるデザイン、世界観が、fpやSIGMAの製品に息づいていると語ります。
ドイツのインダストリアルデザイナー、ディーター・ラムスの言葉「Less, but better(控えめに、しかしより良く)」を引用してfpのデザインを評しました。今までのカメラは、使わない時には防湿庫に入れっぱなしだったが、fpは常に作業机の上に置いてあると「いつでも手元に置いておきたい」カメラであると締めくくりました。
安藤剛氏によるスペシャルトーク「fpがカメラの体験をどう変えるか?」の動画はこちらでご覧いただけます。
fpフェス 2020春:fpユーザー・スペシャルトーク
https://youtu.be/vPgPjBeD6bM
全編fpとSIGMAレンズで撮影した短編映画をお披露目
第二部として、シグマのブランディングムービーを手がけている映画監督の山中有氏が、全編SIGMA fpとSIGMAレンズで撮影した短編映画『しんしん』の特別上映が行われました。2020年4月17日~5月17日に京都で行われる「京都グラフィー」のサテライトイベントKG+の会場でも上映されるほか、シグマのイベント等で上映予定とのことです。上映に前後して山木社長とインフルエンザで欠席の山中有氏に代わりプロデューサーの勝俣円氏が登壇して撮影裏話や作品の撮り方、メッセージなども語られました。狭いセットの中でも引きジリを気にせず撮影できた点や、低い位置に置いての撮影などコンパクトなfpならではの活用方法も語られました。
SIGMAユーザー的には、劇中に登場するSIGMAのカメラ「DP2 Merrill」が気になっていましたが、山木社長が「みなさんもあのカメラであんな暗い場所で手持ちで撮影できないはずだとか思ったかもしれませんが、そういうのは置いておいて、内容を味わってください」と先制コメントがあったのが一番のご褒美だったのかもしれません。映画祭への出品などもあり、当面はYouTubeなどでの公開はしないということですので、気になる方は上映情報をチェックしてみてはいかがでしょうか?
(執筆者: ipodstyle)
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