シリーズ累計300万部突破!『ビブリア古書堂の事件手帖』
最近は本当に暑い日が続いていますね。
ぎらぎらと照りつける真夏の日差しを見る度、私なんかは「今日は外に出たくないなあ」と思ってしまいます。
こんな季節は、扇風機に当たりながら部屋でごろごろと読書を楽しむのもいいものです。
そこで「読書って良いものだな」「たまには古書でも読んでみようかな」という気分にさせてくれる今話題のシリーズ、『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延/著、越島はぐ/イラスト、メディアワークス文庫)をご紹介します。
■あらすじ
舞台は鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。就職予定先が倒産してしまい、目下就活中の五浦大輔(ごうらだいすけ)は、わけあって「本が読めない」体質だった。
ある日、1年前に亡くなった彼の祖母の遺品である『漱石全集』の中から、著者の名でサインが入った一冊が見つかる。大輔はその本の値打ちを調べてもらうため、ビブリア古書堂の若く美しい店主、篠川栞子(しのかわしおりこ)のもとを訪ねることになった。栞子は極度の人見知りであったが、本に対する知識はずば抜けていて、彼女は本を受け取るや否や,たちどころにサインが偽物であると看破する。それどころか、大輔から本にまつわる祖母の話を聞いただけで、家族の誰も知らなかった祖母の秘密をまるで見てきたかのように見抜いてしまうのであった。
その事件を機に、大輔はビブリア古書堂で働くことになる。こうして本の虫である店主と、「本の読めない」書店員、そして奇妙な客人たちによる穏やかで刺激的な日常が始まった。
■注目の第三巻!!『ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆〜』
大輔がビブリア古書堂で働き始めてから早五ヶ月。季節は移り年末になっていた。ビブリア古書堂は変わらず営業していたのだが、ある日常連客の一人に「絶版文庫にいい本が少ない」と言われてしまう。そこで栞子と大輔は商品の仕入れのために古書交換会に赴くことにした。しかしその会場で商品のうちの一冊が盗まれるという事件が発生する。その件で容疑をかけられたのは、なんと栞子であった―。
第三巻のテーマは「家族の絆」です。壊れかけているように見えた家族でも「消えない絆」があるということが古書を通じて明らかになっていきます。その中で、母親に対する栞子さんの複雑な想いが今巻でも至るところで描かれます。
また、母との確執以外にも栞子さんの意外な一面をたくさんみることが出来ました。ちょっと天然な栞子さんやお酒に酔った栞子さん、母性あふれる栞子さんなどなど、普段の知的なイメージとは違う顔がたくさん出てくるので栞子ファンは必読です! 私のお気に入りは伸びをするとき「ぬーっ」と言う栞子さんですね。ちょっと親近感がわきました。
加えて今巻では、栞子とその母智恵子を忌み嫌っているというライバル古書店の店主・井上(いのうえ)も登場します。栞子の母をよく知っているようで、「あの母娘には、気を許さん方がいい」と大輔に忠告します。むむむ、どういうことでしょうか。いずれにせよ井上は大注目の人物ですね!
■古書好きもそうでない方も幅広く楽しめるビブリオミステリ
この作品に出てくる古書はすべて実在します。そしてそれらは単に物語の繋ぎとして登場するのではなく、本の内容やその本が書かれた背景などが大きく物語に絡んでいます。古書に隠された真実を栞子が解き明かすことで、その本をめぐる様々な人々の思いがつながってゆくのです。この作品はミステリーとしても楽しめますが、本に関するトリビア的な知識も多く得られるので本好きの方にとってはたまらない内容となっているのではないでしょうか。
ちなみに私は古書をあまり読まないのですが、これを読むだけでこれに出てくる本はなんとなく読んだ気になれてしまいます。そして本屋でも「これビブリアに出てきたやつだ」と、今まで関心のなかった本を手に取ることが増えました。古書や難しい本が苦手、という方にも是非読んでいただきたい一冊です。
この作品はいくつかの中短編から構成されており、とても読みやすいです。どんどん次を読みたくなるような展開の速さも魅力的です。そして、ライトノベル特有のトンデモ設定はなく、登場人物たちにもそれほどクセがありません。何より「本好きの女性(巨乳)」ってすごく萌えますよね。
うだるような暑さに疲れたとき、休憩がてら読んでみるのにもとてもいい作品だと思います。
(評:ラノコミどっとこむ編集部/タカダエリ)
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