【解説】2020年後半にはIoTの通信規格が統一に向けて動き出す…!その意味とメリットとは。

昨年末、日経新聞にこんな記事が掲載されました。

Amazon・Apple・Google 「つながる家電」で通信統一

【シリコンバレー=奥平和行】アマゾン・ドット・コム、アップル、グーグルの米IT(情報技術)大手3社がインターネットにつないで使う家庭機器を対象とした共通の通信方式を作ることを決めた。2020年後半に技術仕様を公開する計画だ。通信方式を一本化することで消費者や機器を開発・製造するメーカーの利便性を高め、技術の普及を加速する。

(後略)続き→ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53534660Z11C19A2000000/

日本ではまだまだIoT(スマートホーム・スマート家電)が普及していないので大きな話題になりませんでしたが、実は大きな一歩です。

この記事の意味するところ、そして私たちにとってどんなメリットがあるのか解説します。

ベータ・VHS戦争の轍は踏まない

今から50年近く昔の話になりますが、ビデオテープでは「VHS」と「ベータマックス」という2つの規格が熾烈な覇権争いをしたことがありました。結果は皆さんがご存知のように「VHS」に軍配が上がりましたが、1970年代後半から1980年代前半にかけては各社が規格の異なるビデオデッキとビデオテープを販売していたため、消費者に大きな負担をかけたと反省されています。ベータマックスを信じた人にとってはなおさらです。

さらに記憶に新しい規格戦争として「ブルーレイ vs HD-DVD」を覚えている方もいるでしょう。このときも、マイクロソフトは「HD-DVD」、ソニーは「ブルーレイ」でゲーマーをはじめとして多くの消費者が不利益を被りました。

メーカー同士の規格戦争というのは、いつどんな場合でも最終的に消費者が損をするものです。まずは、この轍を踏まないということがこの規格統一に向けた動きの狙いになっているでしょう。

AIとガジェットの連合体で規格統一を目指す

今回の規格統一の動きで象徴的なのは、Google、Amazon、Appleの「AI開発企業」と、IKEAなど「IoTガジェットメーカー」が共同で規格統一のために動くことです。

現状では、「Googleアシスタント対応」「Alexa対応」「Siri対応」とそれぞれのAIに対応したIoTガジェットを選ばないと使えませんでしたが、規格が統一されればAIに関わらず多くのスマート家電が利用できるようになるはずです。

その規格統一の動きにガジェットメーカーが参画するというのは、AIの壁を越えて多くの機器を動かせるようになるというだけでなく、これからの世の中の流れに応じて新たに加わるであろう未知の家電たちにも可能性を広げる意味があります。

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無償提供される通信規格で広がる世界と…

さらに、計画されている新規格は実現すれば無償でその仕様が公開される予定となっています。

つまり、小さな、本当にごく小さな個人レベルのメーカーでさえスマート家電を開発することが可能になるわけです。作り手が増えれば、それだけアイデアの数も増えるでしょう。これから、私達の暮らしはもっと楽しく、便利なものになることは間違いないはずです。

ただし、まだまだ注視しなくてはならない状況もあります。

中国の「BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)」の参加がまだ不透明なのです。AI開発で世界をリードする各社だけに、彼らが参加しないことで生じる断絶は不安の種と言えるでしょう。

生活を便利で豊かなものにしてくれるIoT。それだけに、断絶のない本当の意味での「統一規格」の誕生は多くの人が待ち望んでいるはずです。これからの動きに注意し、また動きがあれば記事として皆さまにお知らせしたいと思います。

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