「カントリー・ガールズ」 がハロプロに残したもの 昨年末で全メンバーが卒業、それぞれの道へ
ハロー!プロジェクトの4人組アイドルグループ「カントリー・ガールズ」が昨年末のライブをもって4 人全員がグループを卒業、いったんグループの活動を終了しました。
ハロプロの歴史の中である意味異質な存在で、5年間という活動期間ながら大きなインパクトを残した“カントリー・ガールズ”について、ひと段落ついた今改めて振り返ります。
■終始笑顔につつまれた“現体制”ラストライブ
昨年12月26日、4人体制でのラストライブ『カントリー・ガールズ ライブ 2019 〜愛おしくってごめんね〜』。
会場となった渋谷・LINE CUBE SHIBUYAは開演前から熱気につつまれていました。2階席からハロプロの仲間たちも見守る中、メンバーたちが登場。デビュー曲『愛おしくってごめんね』からスタートしました。
人気シングル曲を次々と繰り出す序盤は、至って平常運転の空気で、まるで今日が最後の日なんて思えないほど。
オールディーズの匂いがある楽曲たちも楽しく、心地いいステージを展開していました。『ピーナツバタージェリーラブ』の冒頭パートを歌い上げるさんは、この日を最後に芸能界を引退するメンバー。
その歌唱力に、これが最後のステージというのはもったいないという気持ちにさせられます。
終始ハッピーなムードにつつまれたライブ。
終盤の挨拶時に、最年少メンバーのさんが“ボロ泣き”になったり、笑顔で通してきた最年長の山木梨沙さんも最後の挨拶では言葉につまる場面も。
ですが全体的には笑顔に満ちた、ハッピーな空気感のラストライブとなり、観客も笑顔で彼女たちの旅立ちを見送りました。
■さんが在籍した“カントリー娘。”がその前身
カントリー・ガールズは、1999年に結成された、田中義剛さんプロデュースによる「カントリー娘。」がその前身。
田中さんが経営する「花畑牧場」で働きながら芸能活動をする“半農半芸”がコンセプトで、メンバーチェンジを繰り返し、2007年ごろには里田まいさんが唯一のメンバーとなっていました。
同時期から、里田さんがバラエティ番組でブレイクし、カントリー娘。としての活動は休止状態となっていました。その里田さんが“スーパーバイザー”となり、2014年に“カントリー・ガールズ”として再始動。
無期限活動停止したBerryz工房から嗣永桃子さんが“プレイングマネージャー”として参加。6人のメンバーで再スタートしました。そして2015年3月にメジャーデビューを果たします。
ハロー!プロジェクトの研修生や、モーニング娘。のオーディション参加者で結成されたメンバーたちの愛らしさに加え、当時嗣永さんが“ももち”の愛称でバラエティ番組で人気者になっていたことから、デビュー直後から人気グループとなりました。
デビュー間もなくして、中心メンバーの脱退という波乱に見舞われつつ、新メンバーの加入など形を少しずつ変え、CDリリースやライブを続けてきました。
ですが2017年に嗣永さんがグループから卒業〜芸能界から引退、さらに3人のメンバーがハロプロ内の他グループと兼任、山木梨沙さんとさんは学業優先の活動となり、グループとしてのリリースやライブもそれ以前に比べて減ってきました。
そして昨年10月、4人のメンバーが全員グループから卒業、現体制での活動を終了することが発表されました。
ハロプロのグループの中でも、前身のカントリー娘。時代から波乱万丈のイメージが強く、それ故に物語性が強く、思い入れの強いファンが多いのも特徴でした。
■アイドル活動後のセカンドキャリアを自ら切り拓いた嗣永さん、山木さん
カントリー・ガールズを年末に卒業した4人は、まずさんはハロプロに残留し、兼任していたモーニング娘。’20のメンバーとして引き続き活動しています。
小関舞さんはハロプロからは卒業しますが、芸能活動は継続。船木結さんはカントリー卒業に続き、3月いっぱいで兼任していたアンジュルムも卒業、芸能活動を休止する予定でしたが、アンジュルムの先輩、室田瑞希さんの卒業が急遽発表されたことで、アンジュルムの春ツアー終了時まで卒業を延期することになりました。
そして山木梨沙さんは新たな道に進むべく、完全に芸能界を引退しました。
山木さんは現在慶應義塾大学4年生で、グループ在籍中から学業と両立を続けてきました。2017年からは活動をセーブし、学業中心で活動し、この春大学を卒業する予定です。
歴代のハロプロメンバーももちろん、学生期間は学業をおろそかにしない活動をし、大学進学をするメンバーもいましたが、ここまで一般の学生同様に、一流大学に通学し自分のペースで学業をやり遂げたメンバーも珍しいと思います。
カントリー・ガールズの先輩である嗣永桃子さんは別の職に就くためにグループからも芸能界からも卒業しましたが、嗣永さんや山木さんのようにセカンドキャリアを自分の力で切り拓いていく動きは、これからのハロプロメンバーの新しいあり方を示しているのではないかと思えます。
ハロプロの場合、昨今では25歳くらいでグループを卒業という流れがあります。
その後はソロで女優やタレント、モデルなど活動する人が多いのですが、芸能界に身を置くことはできても、ソロ活動が現時点で“成功している”といえる人はまだ多いわけではありません。
芸能界でのソロ活動以外の別の選択肢として、新しい道も考えそれを自ら切り拓くのも、これからのアイドルの姿といえるのかもしれません。
またカントリー・ガールズの活動の中で大きな話題としては、初のメンバーの本格的なグループ兼任を取り入れたこと。
以前では、たとえばモーニング娘。のメンバーが“プッチモニ。”など派生ユニット活動を行うケースは数多くありましたし、Berryz工房、℃-uteのメンバーで別テイストのBuono!を結成するなどの例はありましたが、所属する基幹グループを兼任するというケースはありませんでした。
その点でもカントリー・ガールズは特異なグループといえるかもしれません。今回のカントリー・ガールズの形をきっかけに、今後もメンバーの置かれた状況をかんがみハロプロ内でのグループ兼任という選択肢はあるのかもしれません。
今回で4人のメンバーが全員卒業となりましたが、“解散”とはうたわれていません。
何年後になるかわかりませんが、またメンバーを新たに、“カントリー”の魂を受け継ぐグループの登場に期待したいところです。
その際には、唯一ハロプロに残っている森戸知沙希さんに、プレイングマネージャーなどなんらかの形で参加してもらいたいものです。
それまでの期間も、数多くの名曲を残してきたカントリー・ガールズ、その楽曲を、ハロプロのコンサートや各グループでのライブで歌い継いでいってくれることを期待します。
文/田中裕幸
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