【ここは法廷だゼ!】妊婦が見ると裁判所はこんなトコ
個人的な話で恐縮だが筆者はいま妊婦である。もう、お腹がかなり大きくなってしまい、歩き方もノシノシという表現がピッタリな状態だ。
妊娠中も以前と変わらず裁判所に通い続けているが、いざ自分が妊婦になってみると、これまで何とも思っていなかったことに恐怖を感じるようになったり、意外なところで気を使うようになってしまった。今回はそんなわけで、妊婦として裁判所に通って分かった、快適なところ、ちょっと大変なところなんかをお届けしたい。裁判所に頻繁に通う妊婦は少ないだろうが、一般的な外出や出勤などにおいても共通点はあるかと思う。
まず悩まされるのが電車だった。ラッシュ時のターミナル駅での乗り換えは恐怖以外の何者でもない。時折、乗り換えのためか、駅構内を弾丸のようにダッシュしている方もおり、もし彼らにぶつかってしまえば大変なことになりかねない。できるだけ危険の少なそうな端っこを歩いたりするほかなく、本当に気を使った。また電車に乗るにも空いてる車両を探したり次の電車を待ってみたりして、目的地に着くのに時間がかかるようになる。
いざ電車に乗ったら乗ったで、また色々と気を使う。妊娠中期~後期ともなれば腹が出てしまうので、マタニティマークをかばんにつけていなくても妊婦であることは一目瞭然だ。この状態で電車に乗ることで、他の乗客に“席を譲れ”という無言のプレッシャーを与えているのではないか……などと自意識過剰なことを考えたりして、ひとり勝手に気を使ってしまうことも多かった。
そんなこんなで気を使いまくり、ようやくたどり着いた裁判所。だいたいの裁判所にはエレベーターがついているので、建物内の移動に苦労は全くない。しかし霞ヶ関での傍聴はあまりお勧めできないと言ってよいだろう。他の地域と比べて傍聴人が格段に多いため、人気のある裁判であれば、約1時間前から法廷前に行列ができることもある。長時間立ちっぱなしは、なかなか大変だった。他の裁判所に行く、ギリギリまで近くの待合室で座って待つ、など工夫が必要になると思われる。またどこの裁判所も冬場はわりとロビーが冷えるので、膝掛けなどを持ってきたほうが良い。夏のエアコン事情は裁判所によって異なるため、寒い時にも暑い時にも対応できるよう、羽織りものを持ってゆくのがオススメだろう。
法廷内で意外に困ったのが、椅子の背もたれの角度だ。地面に対してほぼ直角であるため、腹が出て来ると息苦しかった。もう少し後ろに反り返っていれば、座っているのがだいぶ楽になるのだが……。
腹が出ていることで、あらぬ疑いをかけられることもある。注目裁判や暴力団がらみの裁判などはたまに「警備法廷」となり、職員から荷物検査(たまに化粧ポーチの中まで見られてしまうので、男性職員が相手だと恥ずかしい)されたうえに、身体にも金属探知機をかざされ、不審物を持っていないか徹底的にチェックされる。ある日の霞ヶ関、警備法廷のこと。筆者は職員から目を付けられたのか、しきりに金属探知機をかざされた。それも出っ張った腹を重点的に……。まさか、腹の中に何か大きなものを隠している怪しい女だと思われたのだろうか? いずれにしてもかなり恥ずかしいプレイだった。
ところで、妊娠初期の妊婦さんは、一見元気そうに見えるが、状態が不安定なだけでなく、ひどいつわりに苦しんでいる方が多い。何も食べれなくなり、入院する方もいたりする。お腹は出ていなくても電車や駅などでマタニティマークをつけている女性を見かけたら、適度にいたわってあげると良いかもしれない。
画像引用元:flickr from YAHOO
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傍聴人。近著『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)ほか古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社)など。好きな食べ物は氷。
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