最近SIerがだいぶヤバくなっている件

gothedistance

本流の仕事が枯渇し始めると、支流も厳しくなる…。当然の流れかもしれないのだけど、辛いですね。
何か大きな変革が必要かも。今回はgothedistanceさんのブログからご寄稿いただきました。

via IT業界(http://anond.hatelabo.jp/20090722121639)から思ったことを。

Twitterでつぶやいたら結構こんな感じで厳しい状態になっているSIerが増えているようなので、僕なりに現状をまとめてみる。

よくわかるSIer涙目の構図

 1. サブプライム、金融危機でSIerのお得意様の金融・メーカー様が大打撃を食らう。
  * 2008年はとりあえず様子見で予算編成は据え置きだったが、今年に入って財布にチャックがかかる。
 2. 先行き不透明なので、ゴールデンウィーク明けぐらいの今期のIT予算が相当カットされた数字になった所が続出。
  * 計画していた新規案件を中止するなどする。運用でなるべくカバーする方向へお客様が動く。
  * その結果SIerは新規案件がなくなる。案件自体がなくなっていく。予算がないから当たり前。
 3. 大手がプロパーの仕事がなくなってきたのでプロパーで人数減らしてまわし始める。
  * プライムで食い込んでいるお客様の仕事が減ってきたので、外注に仕事が依頼できる余裕がなくなる。
  * プロパーなら多少の無理は利く。外注だと作業指示等のアレコレで無茶なことはさせられない。
 4. 大手から仕事をもらっていた中小SIerの案件が枯渇し始める。
  * インフラ・運用の案件があれば継続的に仕事はあるけど、開発は案件が消えたらそれでおしまい。
  * このご時勢でIT予算を増加する所は皆無だろうから、単純にパイ自体が縮小し始める。
 5. 技術者の稼動が空き始める会社が続出する。
  * 人月商売の会社は技術者が稼動しないと会社として収入が入らない><
  * 余裕があれば投資や既存案件でやりくりできただろうけど、その余裕もなくなりつつある。
 6. 「え、なにそれこわい・・・」という仕事でも取り始める。
  * 短期スポットの割にタイトな案件、ふつーなら見送るような案件に手を出し始める
  * 単価下げろ期間縮めろ圧力が益々強くなる(それ以外に価格を下げる要素が薄い)
 7. 営業努力もむなしくトラブル案件が増える
  * 元々怖い案件のためバッファが少ないので、もめるとリカバリが難しい。
  * 案件を取ってきても辛いし、取らなくても辛いという閉塞感が強くなる。
 8. 売上下がる⇒利益下がる⇒モチベーション下がる⇒売上下がる⇒利益下がる(ry

厳冬の時代

ココ2年ぐらいは、SIerにとっては冬の時代が続くように思えます。大きな案件をまわせる巨大SIerと、細々と小さい仕事をするSIerに二極化するんじゃないかな。1億か100万か、みたいな。そんな感じ。不動産投資で失敗してしまった某独立系SIerは住商系列に食われそう(http://company.nikkei.co.jp/news/news.aspx?scode=9737&NewsItemID=20090703NKM0250&type=2)なので、経営権握られてしっかり解体されてSCSと合併とかありえるかも。

また、人月単価商売を考え直さないといよいよ厳しくなってきた。人月モデルはわかりやすいけど、価格競争に弱い。独自性を出しにくい。元来、技術者に技術者を足して2にしようという発想が大変よろしくない。それが根本的に間違いだったんじゃないかなと思うけど、産業構造が未熟だったのと技術の変遷がその歪みが生む問題をさらに明確にさせた、という所だと思います。

SIerの経営方針としては、「どんなカタチにせよ、生産性を高めるのである」という方向に行くと思います。生産性を高める要因は2つしかなくて、「開発プロセスの改善」と「ソフト生成の自動化」です。要するにワンタッチでポンでシステムが出来ればすげぇじゃんっていう発想。でも、そもそも要件定義が終わると全部終わるので、どうにかして改善されたプロセスを最大限に働かせるアジャイル的プロセスへの移行は不可避だと思う。

また、「そもそもシステムを作るっていう発想があれだね」っていうSaaS的な何かで「毎月のランニングだけ頂く」仕組みでスケールしたいと考えると思うのだが、それを加速していくとヒト(技術者)が要らなくなるってことだから、 SaaSをやろうとしているSIerも頭が痛いのかもしれない。自己否定につながる。色々SaaSに参入したという話は聞くけど、どこも苦戦していらっしゃるようだ。SaaSという形態自体は僕は魅力を感じるのだけど、まだまだボタンの掛け違いが多いようです。

冬の時代を迎えたSIerがどうやってこの先を模索するのかに注目です。

(こちらの記事はgothedistanceさんのブログより寄稿頂きました : 元記事はこちら

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