空から超音速旅客機が消えた理由
特に男性の方を中心に、子どもの頃の夢はパイロットだった、という人は多いはず。
そんな人は、たとえ別の職業についていたとしても、飛行機や空の旅には今でも強い関心を持っているのではないでしょうか。
『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』(講談社/刊)の著者、坂井優基さんは現役パイロット。本書はそんな坂井さんが一般には知られていない航空業界や空の旅の裏側を解説しています。
思わずエッ!?と驚くものや、誤解しがちなことが多く取り上げられているので、今日は一部紹介します。
■昔のパイロットが双眼鏡を持っていたワケ
今はもう行われていませんが、1980年代までパイロットには意外な仕事がありました。
それは、「島」を見つけること。
新しい島が発見された場合、その島は発見者の国籍に基づいて領土となります。新しく発見された島が自国の領土になるのとならないのでは、漁業や海底資源の掘削において大きな差があるのです。
そういった理由から、当時のパイロットはフライト中に双眼鏡で海面を観察していたのだそう。
もちろん今は人工衛星が発達したため、この仕事は行われていません。
■「ドシン!」と着陸させるパイロットは操縦が下手?
できるだけ衝撃が小さいように着陸させることのできるパイロットは操縦が上手で、「ドシン!」と乱暴に着陸させるのは下手なパイロットだと思っていませんか?
実はこれ、半分は正しく半分は間違っています。
たとえば、視界良好で天気もよく、飛行条件がいい場合なら当然衝撃なくスムーズに着陸した方が“上手なパイロット”だといえます。
しかし、雨や雪が降っているなど、気象条件の悪い日にスムーズな着陸を狙うのは上手なパイロットではないのだそう。
雨や雪が降っていると、滑走路が滑りやすくなります。そのため、スムーズな着地を狙って機体の揚力を残したままフワッと滑走路に降りてしまうと、タイヤに加重がかからず、機体を制御しているコンピュータが「飛行機が地上にいる」と認識できない可能性があるのです。その結果、ブレーキがかからないという事態になることが考えられるため、天気が悪かったり滑走路が滑りやすい時は、意図的に「ドシン!」と着陸するのだそうです。
■超音速旅客機はなぜ消えたのか
コンコルドを代表とする超音速旅客機の出現に胸を熱くした人は多いかと思いますが、残念ながら商業機として定着せず、すでに商業飛行は終了しています。
超音速旅客機が根付かなかった理由はなんだったのでしょうか。
代表的なものが「ソニックブーム」と呼ばれる衝撃波の問題です。
超音速で飛行気が飛ぶことで発生した衝撃波によって地上の建物のガラスが割れたり、牛や馬がびっくりして暴れ出すなどの被害があったため、超音速が出せるのは海の上だけに制限されてしまったのです。
それだけではなく、環境負荷の大きさや客席数が少ないことなど、超音速旅客機は様々な問題を抱えていたようです。
本書には、飛行機好きにはたまらない豆知識の数々がまだまだ紹介されているので、旅行好きな人や乗り物好きな人はぜひチェックしてみてください。
(新刊JP編集部)
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