【なぞなぞ霞ヶ関】政府にサイトのことをいろいろ質問してますます謎が深まる
いちブロガーから見て「なぜ?」と感じる、国会や官公庁の慣習や仕組みについて、政治家や官僚、メディアの中の人に聞いてみる『なぞなぞ霞ヶ関』。3回目は、官庁のウェブサイトの制作や運用をどうしているのか調べる……つもりでした。
ですが、調べ始めるとかなりやっかいだとすぐに気づかされました。まず、政府として運営しているサイトの数を確認すること自体からしてたいへん! 各省庁の広報担当数名に聞いても、「私どもでは把握しておりません」とか「後ほど調査してご連絡いたします」といったお返事。結局のところ、どうやら70以上のドメインがあるようですが、正確な数は分からずじまいでした。
また、サイトの制作の決定と、制作会社への発注―霞ヶ関用語では調達-では、部署が違っているケースが多いようです。例えば、『政府広報オンライン』(http://www.gov-online.go.jp/)の場合、CMや新聞広告と同じく政府広報室からの要望に対して官房長官(大臣)が決裁し、担当参事官名で入札公告をして制作会社によるコンベンションが行われる、というプロセスを経ているとのこと。
ただ、これもケースバイケースで、課や室レベルでサイトやページの制作が決まることも少なくないそうです。内閣府のサイトの下部には「行政刷新」や「男女共同参画」といったリンクがずらりと張ってあり、その多くが内閣府の「cao.go.jp」ドメインの下部に格納されているのですが、更新作業などの運営はもちろん、調達の段階で各担当部署が行っているのがほとんどだというお話でした。
また、節電ポータルサイトの『節電.go.jp』(http://setsuden.go.jp/)や『消費者行政・食品安全の総合案内』(http://www.anzen.go.jp/)のように、複数の官庁にまたがるサイトが、誰が主導でサイト制作の意思決定がされて、誰の責任で調達が行われ、どのように運営されているのか。電話で聞いてもたらい回しにされてしまって、関係部署がどこなのか調べるのも困難でした。どの部署にも担当は存在するようなのですが、専任というわけではなく、多くの日常業務の中の一つとしてこなしている、というのが実情だということはなんとなく分かりました。
このことについて、ある内閣府の官僚にてんまつをお話しすると、「人事の入れ替わりもありますし、スタッフ皆が全体を把握するのは難しいですね。サイトが大切だと分かっていても、日々の業務はそれだけでないですし」とのお返事を頂きました。
全体として、煮え切らない報告になってしまった今回の『なぞなぞ霞ヶ関』。個人ブロガーが巨大な官僚組織の壁にぶつかった様相ですが、諦めずにこれからも政府や行政の“なぞ”に迫ってみたいと考えております。
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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