年収1,000万を超えたバリキャリは夢を捨てよ:この世にパワーカップルなんて存在しない、マジで。(トイアンナのぐだぐだ)
今回はトイアンナさんのブログ『トイアンナのぐだぐだ』からご寄稿いただきました。
※元記事のタイトルは「バリキャリは夢を捨てよ:この世にパワーカップルなんて存在しない、マジで。」です。
年収1,000万を超えたバリキャリは夢を捨てよ:この世にパワーカップルなんて存在しない、マジで。(トイアンナのぐだぐだ)
パワーカップルという、はかない夢を見ていた。
パワーカップルとは、夫・妻ともに年収が高い共働きカップルのことだ。従来、日本では世帯所得が高いグループを調べると「男性が稼ぎ頭、女性が専業主婦」のパターンが多かった。
家族を養うのだから、世帯年収が高い男性と専業主婦のカップルが多いのは不思議ではない。ただし、2019年までに 共働き世帯の数は専業主婦世帯の2倍になった*1 。
*1:「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」『独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)』
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html
社会保険料や消費税の増加で実質所得は下がり*2 、額面上の年収が高くても専業主婦を養う馬力がある男性は減っているからだ。したがって専業主婦志望の女性にとって、結婚の難易度はどんどん上がっている。
*2:「焦点:台風・増税で企業は景気後退を視野に、「補正2兆円規模」の試算も」『REUTERS』
https://jp.reuters.com/article/budget-consumptiontax-typhoon-idJPKBN1WU0FG
パワーカップルを求めるバリキャリは希望を抱いた
共働き歓迎のバリキャリにとっては、これが朗報だった。結婚しても、子どもが生まれても仕事は続けたい。むしろ、仕事を優先したいから子どもはいてもいなくてもいい。といっても、自分たちは野心溢れるハイパーウーマンではない。出世を強く願うのではないが、マミートラックにはまって年収が落ちたり、ワクワクする前線で働けなくなるのが嫌なだけだ。
はたから見るとバリキャリかもしれないが、本人の意識では「ゆるキャリ」である。仕事でやりがいを感じたいが、出世第一ではない。結婚もしたいけれど、不当に減俸されるのは嫌。
いい企業に就職していたら、30歳で年収1,000万くらい貰える。このままいけば40代で2,000万くらいは狙えるのに、出産を機に辞めたら600万まで落ちるだろう。いくら何でも年収1/3って、バカみたい。男女逆転したら「そらそうだ」と思う男性も多いんじゃないだろうか。
そんなタイプにとって、同じくらいの年収でともに歩んでくれるパートナーは心強い。年収1,000~1,500万を超えてくると、安定よりも成果主義の仕事が増えてくる。正社員でもボーナスの比率が高まり、年収は業績次第だ。そうなれば自分の年収がガクンと落ちたとき、一時的に支えてほしいと願うのは当然だろう。
逆に相手がリストラされても、自分が夫を一時的に支えることもできる。パワーカップルの結婚には、財政上のリスク低減というメリットがある。だからお互いに尊敬できる相手といつか結婚できるはずだ……と、願って生きてきたのだ。
「空気を読んで」自立した女性がいいと述べるエウレカ男子
そしてこのご時世、バリキャリはモテる。高年収の男性から見たバリキャリは、自分の財産を搾取しない女性に見えるからだ。ルンバも食洗器もある、家事代行サービスも普及してきた。妻は家にという時代でもないし……と、20代後半で結婚していく。
そして、男性は結婚して数年後に目覚める。
「俺、本当は家庭的な子に癒されたかった」と。
人は自分の育った環境に居心地のよさを感じやすい。親が専業主婦ならば、毎日手作りの夕食があるのは当たり前だ。それが基準になっているから、惣菜を買って食べるとなんとなくわびしい気分になる。そして高年収男性の育った家庭は、同じように高所得で、専業主婦の家庭が多い。だから本来は専業主婦のいる家庭に居心地の良さを感じるのは、当然のことなのだ。
だが、このご時世に「自分を支えてくれる専業主婦との結婚がいい」などといえば、眉をひそめられるのは分かっている。手取り年収も下がっているから、使えるお金の自由が減るのは耐え難い。
そうやって沢山の高年収男性がバリキャリと結婚し、週1でしか洗えない洗濯物や買ってきたお弁当を食べながら「俺が求めていた家庭はこれじゃない」とエウレカ(ギリシャ語:わかった! 目覚めた!)して離婚。再婚相手に癒し系女性を選ぶ姿を、30代になった私は目の前で見ている。
さらに私は仕事柄、この手のエウレカ男子からよく相談を受ける。
妻とは離婚して、彼女(不倫相手)と再婚したい。家にくたびれた姿で帰ってきて惣菜を食べるより、ニコニコ自分の話を聞いてくれる彼女と結婚したい。
結婚したときは、知的な会話ができる相手が欲しかった。でも仕事の繁忙期にホテルへ泊まりこんで帰ってこない家庭は何か違う。僕は子供が欲しいけど、妻は”昇進の時期と重なるから、産むなら数年後”と譲らない。でも、いま付き合っている彼女はいますぐ産みたいと言ってくれてるし、育児も任せられる。
バリキャリだって、同じように癒されたい
こういう相談を受けると、私まで串刺しにされる。夫の気持ちもわかる。支えられたいのは自分だって同じだ。家に帰って、温かいご飯があればどれほど幸せだろう。風邪を引いたとき、リンゴを切って食べさせてくれたら涙が出るほどうれしい。けれどそれは対等な夫からは与えられない。なぜなら、彼は自分と同じくらい忙しいからだ。
だから、バリキャリは夫から離婚を切り出されても泣いてすがったりできない。相手が癒しを求める気持ちもわかるし、自分が仕事を辞めて「支える妻」になる自信がないからだ。
「わかった」とクールに答えて事務手続きを終え、友達の前で盛大に「離婚しちゃった~」と飲んで笑って、家へ帰ってから茫然とするのだ。ここまで書いてから気づいたけれど、これは完全に2018年の私*3 だった。つらい。
*3:「離婚して、わんわん泣ける女になりたかった。」2018年1月17日『トイアンナのぐだぐだ』
https://toianna.hatenablog.com/entry/2018/01/17/173000
ハッキリと「癒し系がいい」と離婚してくれる夫はまだいいほうだ。世間体を気にして離婚できず、男性が癒し系の女性と婚外子を作る末路も見た。バリキャリの妻は浮気を発見しても「ああ、こういう癒し系の人が本当はよかったんだ」と静かに傷つくことしかできない。産まれた子の人生まで変わってしまうのだから、誰も幸せになれない。
成功するパワーカップルは女性が降りている
では、この世に1%ほど存在するパワーカップルは何者なのか。答えは簡単で、女性が一歩降りているのだ。そもそも、三菱総合研究所によるパワーカップル*4 とは「夫が年収600万以上、妻が年収400万以上のカップル」を指す。
*4:「高収入夫婦の超合理的なライフスタイル事情」『東洋経済ONLINE』
https://toyokeizai.net/articles/-/260306
まず、水準が低い、低すぎる。パワーを冠するからには、年収1,000万以上同士、世帯年収2,000万以上の話かと思っていた。日本は大丈夫か。都内で世帯年収1,000万は子を産むか悩むレベルだ。悩める周りの女子も30代前半で年収が1本を超え、管理職になるせいで激務から逃れられない。だから辛いのに。
そして、妻が夫より年収が低い前提なことも衝撃だ。パワーカップルですら対等な年収じゃないのか。妻が200万円ほど年収を下げて「あなたって私より仕事ができて立派ね」といえるパワーカップルは、確かに私の周りでも婚姻を続けている。
「夫を立てて、転がすのが本当の賢さだよ」とは腐るほど言われる。確かにそうだろう。だがそれは、冒頭に書いた「不当に下がる年収」そのものではないか。といっても、夫をけなしたいわけではない。ただ、お互いに対等な仕事をして尊敬しあいたい。ただそれだけのことだが、彼らは専業主婦の家庭に育っている。
私たちもそうだ。私たち親世代は、母親が働いていた家庭も “家事・育児ができるなら外で働いてもいいよ” と条件付きでやっと夫の許可が下りるケースが多かった。
だから、なんだかんだ子どもは母親の手作りご飯を食べ、受験に付き添われ、手の込んだ手作り弁当を食べ、風邪の日にはポカリをもらった人が圧倒的に多いはずだ。心に刷り込まれた「普通の家庭像」がそこにあるのだから、パワーカップルは難しい。
男女の経済的なパワーバランスを逆転させよう
だから、仕事が好きな女性こそ「一歩降りられる男性」を探したほうが幸せを感じやすい。自分を捨てるエウレカ男子が、癒し系の女性を求めるように。我々だって、癒されていい。
自分が繁忙期にホテルへ泊まりこんでも心から「がんばってね、でも体に気を付けてね。ホテルにご飯差し入れしようか?」とケアってくれる人は、経済的に対等な男性にはいない。彼らは、年収600万くらいまでの世界にいる。
だから、高年収女子こそワーク・ライフ・バランスを重視する年収200~600万男子を視野に入れよう。相手の年収もあまり気にせずに済むのが、高年収女子の強みなのだから。
キャリアを降りてくれる男性は日本に少ないが、対等を求めて迷路に入り込むよりは簡単だ。
さあ、気になる男性がいたら口説きにいこう。そして愛する人を養おう。もしくは、ちょっと考え直そう。自分の人生に伴侶は本当に必要なのだろうか? 親や友達、ポリコレのために結婚しようとしてやしないか? と。
そんなことを、企業の最前線で働く友達の嘆きを聞きながら思った。
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表のデータ元:厚生労働省「国民生活基礎調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf
執筆: この記事はトイアンナさんのブログ『トイアンナのぐだぐだ』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年11月7日時点のものです。
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