漫画家に聞いた! 周囲を振り回す“迷惑キャラ”にありがちな特徴
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今回は「面白水平プロジェクト」さんによる、漫画あるあるネタをお届け致します♪
*1:『第4回ネーム大賞』
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漫画でありがちな主人公の特徴のひとつに、“周囲を振り回すキャラ”というのがあります。例えば、『DEATH NOTE』のキラなんかがこのタイプです。彼の言動や行動に周囲が振り回され、ストーリーが進んでいきますよね。
周囲を振り回すキャラは、大きく2タイプに分かれます。それは、“自ら進んで問題を起こすタイプ”か、“無自覚で振り回しているタイプ”のどちらか。
前者は、キラ以外では、ちょうどアニメが放映されている『めだかボックス』の黒神めだかや、『よつばと!』の小岩井よつばなど。ありがちな特徴なので、すぐに思い浮かぶ方は多いはず。
一方、後者は“無自覚”。一体どんなキャラがこのタイプか、みなさんは思い浮かびますか? ここで、「そんなキャラいんのかよ!」と思いがちですが、実は、井田ヒロト先生のSF漫画『誰かカフカを守って』の近田傾佳がまさにこのタイプ。別に本人に何か目的があるわけでもないのに、なぜか周囲は彼を大事件に巻き込んでいきます。
こういったキャラで、本人を無視してストーリーは進むものなのか?
気になる疑問を解消すべく、井田先生に“無自覚で周囲を振り回す超はた迷惑なキャラ”の特徴と代表的なキャラ、そして、まさにそんなキャラである近田傾佳の魅力について語っていただきました!
※すべての画像をごらんいただけない場合はガジェット通信(http://getnews.jp/archives/224073)をごらんください。
「まず、“本人が結構無自覚のまま、周囲がその存在に振り回されまくるキャラ”をわかりやすく説明します。このタイプのキャラは、共通して以下のような特徴があります。
(1)基本は受動的で、本人は結構ボーッとしている
(2)勝手に気を揉まれ、周囲に余計なお世話をされることが多い
(3)周囲から必要以上に恐れられたり崇められたり、勝手に神聖化されたりしている
基本的に、複数の人間の思惑によって形成されていくキャラです。……と言うと、ちょっと難しいですかね? めちゃくちゃ簡単に言うと、“無自覚テポドン”って感じです(笑)。僕自身、そんな立ち位置のキャラ(とそれを取り囲む周囲の構図)が昔から結構好きでした」
なるほど! わかりやすいですね。それでは、一体どんなキャラがいるのでしょうか。
「既存作で言うと、以下の5人が、3つの特徴に当てはまると思います。
1.『すごいよ!マサルさん』の花中島マサル
マイペースすぎて、周囲を巻き込んでいる自覚はゼロ。本人は騒ぎを起こしたいわけではないのに、クラスメイトなどから奇異の目で見られているせいで、近くにいるメンバーが大変なことになる、代表例です。
2.『ヘタリア』のイタリア
おもに振り回されているのはドイツですが、いちいち国家レベルで振り回されている様にはシビれます。
3.『BILLY BAT』のビリー・バット
正直いまだにビリー・バットが何なのか把握していないのですが。これも、国家レベルで様々な人がコウモリ一匹に振り回されていると考えると凄まじいです。
4.『多重人格探偵サイコ』のルーシー・モノストーン
物語全体を貫く重要な人物でありながら、最初から死んでいるという。本人が全く出てこないにも関わらず、この複雑に入り組んだ物語の全ての元凶であり中心であるという、究極の“無自覚テポドン”キャラです。
5.『誰かカフカを守って』の近田傾佳
こいつは“本人結構ボーッとしているだけなのに”の最たるもののようなテポドンキャラ。本当にほぼ何もしていません……。山崎君(担任が大好きで活動的な男子中学生)の頑張りを見習ってほしいくらいです。
本人がどう感じどう動くかを見せる必要のないキャラであったので、彼についてはキャラクターというより“そうプログラムされた物体”という意識で描くように心がけました。
どうしても“ここでちょっと人間味が覗いたり、情緒の片鱗を垣間見せる描写をしたりしたい”という欲求にところどころでかられましたが……。人間性がそぎ落とされたそのキャラのあり様から、逆に何かを感じとってもらえると嬉しいなぁ、と」
ここでちょっと近田傾佳について説明させていただくと、彼を襲う人は、天から稲妻のようなものが落ちてきて死んでしまう、というキャラです。そのため、作品内では都市伝説化されています。けれども、本人は無表情。もちろん、弁解もありません。まさに無自覚テポドンですよね。このキャラを楽しむには、どういったところがポイントになりますか?
「傾佳自身の人間性が表に出てくるのは本当に最後のシーンだけです。それ以前の能動的に見える行動は、全て“再生された記憶の断片を繰り返しているだけ”。
例えば、作品内で兄の手を引っ張ったことで兄を絶望させたり、永井宇多子(近田傾佳を“神様”と呼び、遊び相手にする小学生)のダルマをキャッチして感謝されたりしています。しかしこれらは全て、傾佳の何の人間性も介在しない行動に対して、“受け取った側がそれに意味合いを感じとって心を動かされている”という構図なのです。
つまり、ポイントは、“本人の何も行動しない様・無気力さ”と“その存在によってもたらされる、周囲への影響との落差”という点。ここは、上に上げた数々の名作にも負けてないのではないかと思っています(笑)」
ボーッとした本人と大騒ぎしている周囲の対比が見どころ、というわけですね。井田先生、ありがとうございました!
ちなみに『誰かカフカを守って』は、『WEB@バンチ』*2 で試し読みできます。無自覚テポドンな近田傾佳が周囲を振り回して、トンデモ展開になっていく新感覚SF漫画です。未読の方は、一度読んでみては?
*2:『WEB@バンチ』
http://www.comicbunch.com/
文章:面白水平プロジェクト
コメント:井田ヒロト
参考:『誰かカフカを守って』 http://www.comicbunch.com/newbunchcomic/201202/kafuka/
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無自覚な迷惑キャラに、こんな特徴があったなんて驚きですね! でも何だかんだ皆、憎めないキャラですよね~。
ちなみに漫画onWebにもSF漫画はたくさんあります! スケールの大きいお話を堪能したい方は、是非是非『漫画onWeb』に遊びにきてくださいね~。
【SF漫画】
・『日本沈没』/一色登希彦
http://mangaonweb.com/creatorOCCategoryDetail.do?action=list&no=30167&cn=30000
・『星の王女様』/後藤寿庵
http://mangaonweb.com/creatorOCComicDetail.do?no=31275&cn=39429
・『汚れなき地球人』/勝様敬
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WEBマンガ新着情報「ガジェまん」
http://manga.getnews.jp/
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