ラベンダー(イングリッシュラベンダー)の育て方|園芸のプロ解説

ラベンダー(イングリッシュラベンダー)の育て方|園芸のプロ解説

イングリッシュラベンダーの育て方をご紹介。種まきや植え付け、水やりなど、きれいな花を咲かせるのに大事なことばかり。ラベンダーを育てたことのない園芸初心者必見です。【花の育て方シリーズ】

目次

ラベンダーについて

イングリッシュラベンダーの育て方で押さえたい3つのコツ

イングリッシュラベンダーの育て方【基本編】

イングリッシュラベンダーの育て方【シーン・トラブル編】

ラベンダーの育て方Q&A
遠藤昭

ガーデンプロデューサー。サラリーマン時代、家族とともに赴任したオーストラリアでガーデニングに開眼。帰国後は自宅の庭づくりに注力し、さまざまなガーデンコンテストで受賞。定年後、2010年日本ガーデンデザイン専門学校造園ビジネス科修了。2011年英国王立園芸協会コンテナガーデンマスター認定。プロガーデナーとして活動し、川崎市緑化センターでの園芸相談、各種ガーデニング講習会など、自らの経験をもとにガーデンニングの楽しさを教えている。
遠藤昭さんのHP

 

ラベンダーについて

© PIXTA

育て方の前に知っておいてもらいたい、ラベンダーの特徴や品種についてご紹介。

 

ラベンダーの特徴

ハーブの代表格・ラベンダー(シソ科ラベンダー属)は、カナリア諸島や地中海沿岸、スペイン、アフリカ北部、インドなどを原産地とする低木です。
花だけでなく葉や茎からも香りを放つため、エッセンシャルオイルの原料としても有名。

またラベンダーはたくさんの系統があり、それぞれ花姿・葉の形・育てやすさが異なるため、栽培地の環境などで選ぶのがポイントです。

難易度 中級者向き

耐寒性 強い

耐暑性 普通

耐陰性 弱い

乾燥 強い

樹高 20~130cm

 

ラベンダーの品種

ラベンダーは、いくつかの系統に分けられます。

まず、南フランス原産の「アングスティフォリア」系。
「イングリッシュラベンダー」「コモンラベンダー」とも称されていて、他種類よりも香りが強いと言われています。
高温多湿が苦手なラベンダーだから、梅雨から夏の管理が肝心。

「ストエカス系」、別名「フレンチラベンダー」「スパニッシュラベンダー」は、スペインやカナリア諸島、アフリカ北部、トルコで生まれた系統です。
ふっくらとした花穂と、ウサギの耳のような苞をもつ愛らしい姿が人気。
「アングスティフォリア系」より耐暑性があるため、育てやすい系統です。

ギザギザの切れ込みのある葉が特徴の「デンタータ系」。
アフリカ北部などが原産で、四季咲き性が強く花期も長めですが、香りは少し弱めです。

カナリア諸島など暑い地域生まれの「プテロストエカス系」は、「ストエカス系」と同じく夏の暑さには比較的強いものの、耐寒性は弱め。
そのため、冬は室内栽培がおすすめです。
「ピナータラベンダー」「レースラベンダー」の別名もあり。

 

イングリッシュラベンダーの育て方で押さえておきたい3つのコツ!

コツ1  高温多湿が苦手!適度に剪定を

コツ2  多肥を嫌うので、肥料は控えめに

コツ3 花の満開前に剪定し、株を弱らせない

※この記事のカレンダー・育て方は、中間地でイングリッシュラベンダーを育てた場合のものです。

【寒冷地】
種まき 5月、9月
挿し木 6月、9月
植え付け・植え替え 5月、9月~10月上旬 
肥料 5月~6月上旬、9月~10月上旬
剪定 2月~3月 6月
開花 6月~7月 

【暖地】
種まき 3~4月、9~10月上旬
挿し木 3月下旬~5月、9月~10月
植え付け・植え替え 3月中旬~4月、9月中旬~下旬
肥料 3月中旬~4月中旬 9月中旬~10月上旬
剪定 5月中旬、12月
開花 5月~6月上旬

寒冷地=北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地。
中間地=福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部。
暖地=四国、九州南部、沖縄県

 

イングリッシュラベンダーの育て方【基本編】

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イングリッシュラベンダーの育て方をご紹介。
置き場所から種まき、水やり方法まで、ラベンダーを育てるうえで大事なことばかりですよ。

 

置き場所・日当たり

イングリッシュラベンダーは、日当たりのよい場所で育てます。
日が当たらないところで育てると、花つきが悪くなるので要注意!
耐寒性はマイナス15度まで耐えられるほど強いので、室内栽培は避け、冬も戸外で日に当てて育てるのがおすすめです。

また高温多湿を嫌うため、梅雨や秋の長雨、夏の高温期を快適に過ごせるよう、風通しの良い場所で栽培して。

 

種まき

ラベンダーの種まきの適期は、3~4月と9~10月中旬です。

【種まきの方法】

平鉢に赤玉土か種まき用土を敷く。種をまいて薄く覆土したら、土がしっかり湿るように水やりをする。

種まきした平鉢の土が乾かないように水やりを欠かさず、明るい日陰で管理。

20日ほどで発芽したら、本葉が6枚になるころを見計らって、育苗用の3号(直径約9cm)ポットなどに植え替えを。

ポットの下の穴から根が少しでてくるくらい成長したら、定植のタイミング。ラベンダーの根鉢を崩さないように気をつけて植え付けする。

 

植え付け・植え替え

ラベンダーの植え付け・植え替えは、3月下旬~4月、9月中旬~10月に行います。
ラベンダーは過湿に弱いため、地植する場合はよく土を耕してほぐし、水はけのよい状態にして。
さらに、高植えにすると多湿を避けられてGood。

買ってきた苗を鉢植えする場合は、土の量が少なく湿気をためにくい、大きすぎない鉢に植え付けるのがおすすめ。
3号の育苗ポットから定植するときには、6号(直径約18㎝)鉢くらいが適当です。

なお、地植えは植え替えの必要がありませんが、鉢植えは根詰まりが心配なので1年に一度植え替えを。

 

土の選び方・肥料

ラベンダーの土は、市販の園芸用土やラベンダー専用の土でOK。
自分で土づくりするときは赤玉土7、腐葉土3でブレンド、さらに水はけをよくしたい場合は赤玉土5、腐葉土3、川砂2の配合もおすすめです。

肥料は、ラベンダーを植え付ける時に緩効性化成肥料などを元肥として与えて。
その後、春に植えた株は9月中旬~10月上旬、秋に植えた株は3月下旬~4月に、追肥として液体肥料や置き肥を適量与えてください。
2年目からは、3月下旬~4月と9月中旬~10月上旬ごとに追肥を適量与えてください。

 

水やり

鉢植えのラベンダーは、表土が乾いたらたっぷり水をあたえるだけで充分。
過湿を嫌う性質のため、水を与えすぎると株が弱ってしまいます。

地植えの場合は、ひどく乾燥した日が続かない限り水やりは不要。

 

イングリッシュラベンダーの育て方【シーン・トラブル編】

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シーン・トラブル別にイングリッシュラベンダーの育て方をご紹介。

 

剪定

ラベンダーは剪定をすることで、株の健康を保ち、花つきがよくなる植物です。

まず12月になったら、樹高の半分~1/3くらいまで刈り込み剪定をして。
刈り込み剪定で古い枝を整理することによって、新しい元気な枝が発生し、翌年にまた開花が望めますよ。

梅雨入り前の5月下旬には、花枝を付け根からカット。同時に古い枝も整理するようにしましょう。
剪定をすると、株の内部まで日が届き、風通しがよくなって蒸れを防げます。

 

増やし方

ラベンダーは、種まきと挿し木で増やせます。
挿し木の適期は、4~5月と9~10月です。

【挿し木の方法】

虫食いや病変のない濃い緑色の葉がついている若い枝を先端から約10㎝にカット。

水揚げをする。枝についている下半分の葉を取り除き、水を入れたコップに30分ほど挿して。

枝の土に挿すほうを斜めにカットし、発根促進剤を塗布。

赤玉土または挿し木専用土を平鉢に敷き、そこに3をしっかり挿す。土が乾燥しない程度に水やりをすれば、約1カ月で発根。その後、定植する位置に植え付けて。

 

季節の手入れ

ラベンダーは耐寒性があるため寒さで枯れにくいですが、梅雨や秋の長雨シーズンに傷むことが多々あります。
特に鉢植えのラベンダーは、梅雨と秋に雨対策が必須。
軒下など、雨のかからない場所に移動し、水やりも「土が乾いたら水やり」のルールを厳守して。

また、梅雨の蒸れ対策として剪定も忘れずに行ってください。5月中旬頃から開花してきたら、2分咲程度で花枝を付け根からカットするのがベストです。花を長く楽しみたい方は、遅くとも5月下旬の梅雨入り前までに剪定をしましょう。

 

病害虫

ラベンダーは、うどんこ病によくかかります。
過湿状態でよく発生する病気なので、雨を避けたり、適度な剪定を行ったり、風通しを確保したりすることが肝心です。
もし茎や葉に白い粉がふいたような、うどんこ病による病変が見られたら、すぐに殺菌剤を使用して。

そのほか、アブラムシがツボミや花穂、茎や枝に取りつくことも。
捕殺するほか、専用薬剤を早めに塗布することも大切ですが、被害にあう前に浸透性殺虫剤を用いると安心です。

 

ラベンダーの育て方Q&A

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ラベンダーの育て方にまつわる疑問に、遠藤さんがズバッと回答してくれました!

 

Q1フレンチラベンダーの育て方のコツは?

イングリッシュラベンダーと同様、梅雨前に蒸れ対策として花枝を付け根からカットすることが大事です。

高温多湿に対する耐性がイングリッシュラベンダーよりも強いとはいえ、油断すると枯れてしまうので注意してください。

 

Q2イングリッシュラベンダーの花数を増やす方法は?

元気な株に育てて、枝数を増やす必要があります。

枝数を増やすためには、5月下旬と12月に剪定をおこない、風通しを確保しつつ、株の中心に日が当たるようにしましょう。
さらに、3月下旬~4月と9月中旬~10月上旬に、花を咲かせるための栄養として適量の追肥を施すことも大事です。

 

ラベンダーの育て方はいかがでしたか?
正しい育て方をマスターすれば、きれいなラベンダーの花が咲くはずですよ。

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