赤ちゃんは遊びのなかで何を楽しんでいるのか [観察編] (note)

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赤ちゃんは遊びのなかで何を楽しんでいるのか

今回は臼井 隆志さんの『note』からご寄稿いただきました。

赤ちゃんは遊びのなかで何を楽しんでいるのか [観察編] (note)

こんにちは、臼井隆志(@TakashiUSUI)です。ここでは「子どもの探索活動」をキーワードに認知・発達・振る舞いについてのリサーチ過程を公開したりしていきます。

(自己紹介はこちら)
「はじめまして」2018年1月6日『note』
https://note.mu/uss_un/n/nb0b87b03c94d

今日は、ぼくが最初にしたリサーチ「赤ちゃんの観察」についてです。ここで登場する「赤ちゃん」の月齢はさまざまですが、概ね生後6ヶ月~1歳半ぐらいまでを想定しています。場合によっては2歳ごろまでも含みます。

このテキストで言いたいことは、「赤ちゃんの遊び」というのは、極めてシリアスなものであるということ。彼らは真剣に遊んでいるのだということ。

赤ちゃんは遊びのなかで何を楽しんでいるのか

いきなりですが「赤ちゃんの遊び」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。物を口に運んで舐めたり、いないいないばあをすると喜んだり、ガラガラを鳴らしたり、そんな感じでしょうか。概ね、笑顔でニコニコしている印象でしょうか。

7~8年ほど前、知人の家に遊びに行くと、生後8ヶ月ぐらいの彼の息子がその横で紙コップを、別の紙コップにぶつけていました。

「何をしているんだ?」と思いながら見ていると、きゃー!と声を上げて紙コップをぶつけたりこすったりするその子を見て、知人が「おお~今日は遊んでるねぇ~」と言いました。

「え・・・・?これが・・・遊び・・・?」

遊びってもっとルールがあったり、創意工夫があったり、全身を動かして発散したりするものだ。と思っていたぼくは「赤ちゃんは遊ぶことで何を楽しんでいるのか、全くわかっていない」ということに気づかされました。

ほめる前によく見る ー「上手上手病」からの脱出

それから、不思議と仕事で赤ちゃんと関わる機会が増えていきました。午前中の児童館の乳幼児イベントの企画に関わったり、プレイスペースの企画をして現場で赤ちゃんと遊んでみたり。しかしその頃は赤ちゃんにまだ不慣れで、彼らがなにかするたびに「上手~!」という言葉が口をついて出ていました。それは、あいかわらず一体何を楽しんでいるのかわからないので、褒めることで赤ちゃんに好かれようとする下心の表れでした。

しかし「下心をもった褒めが常習化すると、子どもは褒められることを行動の目的にし、好奇心にそって探求することをやめてしまう」という話を聞いて、「あ~!大人でもそれある~!!!」と納得し、自分の「上手上手病」を治さなければと思うようになりました。

まず、「上手~」と言いそうになるのをぐっとこらえて、じっくり赤ちゃんたちの行動を観察してみようと思いました。リサーチの手段は、職場のプレイスペースでの赤ちゃんの振る舞いを見ること、YouTubeで赤ちゃんの動画を見まくること、それらの観察を踏まえて赤ちゃんに遊びを提案し、その結果をふりかえることの3つです。

シリアスに遊ぶ赤ちゃんたち

観察を通して見えてくるのは、彼らの振る舞いから「没入状態」と「散漫な状態」がはっきり区別できること。そして、その「没入」のなかには、単に笑ったり嬉しそうな声を出したりするだけでない、ある種の緊張を孕んでいます。ニコニコすることもありますが、どちらかというと真顔の時間の方が多いかもしれません。

その中から赤ちゃんが没入しているいくつかの行為をピックアップしていきたいと思います。

1. なめる

生まれてすぐの頃から自分の手や持ったものを舐めたりしています。とにかくここから1歳になるぐらいまで何でも口に入れようとします。人気だったのはストローと、あと大きめのボルト。ストローは普段水を飲むときに使っているからかもしれないが、ボルトは見慣れない金属だからでしょうか。口に入れると独特の固さ、そして冷たさが伝わってくるのでしょう。

最初は食べ物と勘違いしているのか?と思っていましたが、あるときぼくも別のスタッフと「赤ちゃんの気持ちになってみよう」ということで、いろんなものを口に入れてみました。なかでも凄かったのは振動子で、手のひらでささやかに感じる程度の「ブルブル」は、口に入れてみると歯をガタガタ言わせるし、口いっぱいに振動が広がるし、わ!!!すご!!となりました。直感では手の触力(そんなものはない)が10だとすると、口の触力は100だなという感じ。なるほど、みんながモノを口に入れようとするのは、そのほうが情報がたくさん入ってきて面白いからだ、ということに気がつきます。

2. ちらかす

ハイハイして移動できるようになった赤ちゃんの代表的な行為。彼らに悪気はないと思うのですが、そこに物がまとまっていると散らかしたくなるようです。台の上に乗っているものをとにかくポイポイ落としたり、袋の中に入っているものをぶちまけたり。ボールプールを出せばボールを外にポイポイ投げる。

ボールプールが面白いならもっと粒度を細かくしてみよう、と思って「最悪食べても大丈夫!」(もちろん保護者がそばについて口に入れる前にディフェンスしますが)ということであずきを10kgほど入れたあずきプールをつくったら赤ちゃんたちが興奮しすぎて帰れなくなったことがあります。(興奮しすぎた赤ちゃんは、呼吸のやり方が変わり、映画『呪怨』のおばけの声みたいなのが出ます)

ちらかすことにはおそらく重要な意味があります。大人でもブレインストーミングをするときに付箋を1枚出しては1枚片付ける、ということをしますか?という話で、あれは付箋がバーッと広がっているから脳が活性化して良いアイデアがでる。それと一緒だと思います。

3. こわす

「ちらかす」と似ているのですが、1つのモノを複数に分解する、という意味でちょっと違います。ぼくが球状に丁寧にまるめた小麦粉粘土を指でぐにゅっと潰したりとか、1枚の紙を細かくやぶったりとか。紙コップを積んでタワーをつくって、それを押し倒して大喜びしたりするのは、大人をからかう行動のように見えるときもあります。

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