初対面の「雑談力」を磨け! 20年以上、業績を上げ続けるコンサルタントが現場で実践する4つのコツ

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「新規営業活動でアプローチした会社にアポイントを取り付けた」

「新たに提携を結ぶ会社の担当者と初めて打合せをする」

……こうした「人間関係を作る最初の一歩」の場面で、どのようにコミュニケーションを取るか戸惑ってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、リクルートグループの人材採用コンサルタントとして「MVP」連続受賞実績を誇り、1000人を超える経営者から信頼を寄せられる森本千賀子さんに、『初対面との相手との雑談術』を聞いてみました。今回は「対・企業の担当者/経営者」との雑談でどんな話題を取り上げるとよいかをご紹介しましょう。f:id:k_kushida:20150828102855j:plain

▲株式会社リクルートエグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント 森本千賀子さん

お天気談義で終わらせない。より強い信頼感を与える「価値観」への共感

皆さんは、営業先や取引先など初対面の相手と接する際の「雑談」を、どのように捉えていますか?

「緊張をほぐし、打ち解けやすくするためのもの(アイスブレーキング)」

「本題に入る前のワンクッション」

「沈黙して気まずい雰囲気になることを避けるための場つなぎ」

いずれも大切な役割ですよね。こうした目的の場合、無難な話題としての代表格は「お天気」などでしょう。

けれど、今後、相手との信頼関係を築いていこうとするならば、相手企業の「価値観」を知ることができるような話題を振ることをお勧めします。

なぜなら、ここぞというときの決断を下すには、「価値観」が判断の軸となるからです。

相手の価値観=大切にしていることをつかんでおけば、プレゼンをする際などにどのような角度から攻めればいいか、どんな判断材料を提供すればいいか、何を強調して伝えるべきか…といったポイントを押さえることができます。

そこで、相手の価値観を知るための雑談テーマとして、私が実践してきて有効と感じるものをお伝えしましょう。

オフィスの立地から見える「会社のあり方」へのこだわり

「近くに***があるのですね」

「この場所を選んだのには、何か理由があるのですか?」

駅から訪問先に向かう間、アクセスマップに目を奪われ、道を間違えないようにすることだけに意識を集中していませんか。けれど、駅から相手のオフィスに向かう間にも、「雑談ネタ」は転がっているものです。その街の環境や雰囲気、周辺にある施設や会社などを観察してみましょう。同じビルにどんな会社が入っているかもチェックポイントです。

面談相手が社長や経営幹部、管理部門のベテラン社員などの場合、「この場所にオフィスを構えた理由」を聞いてみるといいでしょう。「緑が豊かな街ですね」「このビルには法律事務所もたくさん入っているのですね」といったように、立地の特性や感想を伝えた上で「この場所をオフィスに選んだのは、何か理由があるのですか?」などといった雑談に持っていきます。

すると、その回答から、会社ならではのこだわりが見えてきたりします。社員の働きやすさを重視していたり、ブランドを大切にしていたり、顧客や取引先との関係を重視していたりと、十社十様の背景があったりするのです。

組織構成から見える「事業」へのこだわり

「***という部署があるのですね」

「***部門は規模が大きいのですね」

中小企業をはじめ大手企業の支店・営業所などでは、受付が無人で、内線電話と番号表のみが置いてあるケースが多いですよね。

中には、部署名が細かく書かれていたり、メンバー全員の名前が書かれているなどして、「こんな部署があるんだ」「この部署だけ人数が多いんだ」などとわかることもあります。

これをフックに、先方担当者とお会いした際に「**という部署があるんですね。どんなお仕事をされているんですか」などとたずねれば、雑談からその会社が力を入れている取り組みがつかめたりします。

さらに、「営業をかけるべきはこちらの部署の担当者だ」「商談を進めるにはこの部署の人とも会わせてもらったほうがよさそうだ」といったことに気付けることもありますし、

「今度、この部署の方にもご挨拶させてください」などと、次のアポイントにもつなげやすくなります。

オフィスのレイアウト/インテリアから「社風」を見る

「なぜこういうレイアウトになっているのですか」

「こういうインテリアは社長のお好みなのですか」

受付から会議室に通されるまでの道のり、前を歩く案内者の背中だけをぼんやり見つめていたりしませんか。

この間にも、相手の会社を隅々まで観察しましょう。

オフィスのレイアウト、インテリア、掲示されているもの、すれ違う社員のファッションや立ち居振る舞いなど、雑談ネタはいろいろあるはずです。

「会議室一つひとつに国の名前がついているのですね」

「フリースペースを広くとられているんですね」

「カジュアルなファッションの方が多いようですが、服装は自由なんですか?」

「御社の方々は皆さん、すれ違うときに挨拶をしてくださいますね」

――といったように、オフィス内で気付いたことなら、ごく自然な流れで雑談に持ち込むことができます。相手の「そうなんですよ、それはですね…」という説明から、その会社の風土や特性を理解することができるでしょう。

オフィス内を見ることができれば、そのレイアウトから社風もつかみ取れます。

例えばですが、空間を仕切るパーテーションが少なければ、オープンな社風、チームワークを重視する社風かもしれない…と想像したりします。逆に、個々のデスクが独立しているオフィスの場合、個々のペースに合わせた活動を尊重する社風、個人裁量が大きい社風かも…と考えたりします。

法人向け営業職の場合、組織風土の特性によって、提案すべき商品・サービスが変わってくることもあるかと思いますので、しっかりチェックしたいところです。

早い段階でこだわりをつかめば、営業の糸口が見えてくる

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私が印象に残っている事例をお話しましょう。

ある会社を訪問した際、すべてのデスクが入口の方に向いていることに気付きました。銀行やメーカーのショールームのように来店客を迎えるような業種であれば普通ですが、そこは総務・人事・経理といった管理部門のオフィス。出入りするのは自社社員が中心です。

そこで、面談相手の役員の方に「管理部門でこういうレイアウトは珍しいですね」と投げかけたところ、「今、CS(Customer Satisfaction=顧客満足)を強化してましてね、その施策の一環なんです」という答えが返ってきました。全社でCSの意識を高めるにあたり、管理部門にとっては自社社員が「顧客」であると捉え、正面から出迎えるスタイルにしたとのこと。

ここで早くも、相手が大切にしていること、課題としていることが「CS」であるとつかむことができました。

こうした場合、営業としては「CS」強化につながる提案をすることで喜ばれ、信頼関係構築につなげられるでしょう。

オフィスの周辺やオフィス内を観察 → 気付いたことを話題にし、雑談に持ち込む → その会社の価値観や課題をつかむ。この流れを意識してみてください。

<プロフィール>

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森本千賀子さん

株式会社リクルートエグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント

1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒業後、1993年にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援、転職支援を手がける。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、常に高い業績を挙げ続けるスーパー営業ウーマン。現在は、主に経営幹部、管理職を対象とした採用支援、転職支援に取り組む。

2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。『リクルートエージェントNo.1営業ウーマンが教える 社長が欲しい「人財」!』『1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣』『後悔しない社会人一年目の働き方』など著書多数。

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