相手を「イラッ」とさせるビジネスメール 7つのパターン

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メールの利用状況と実態を探るため、日本ビジネスメール協会が毎年行っている「ビジネスメール実態調査」。2015年版によると、過去1年間でビジネスメールを受けとり「不快を感じた」という人は、4割に達しているそうです。

不快と感じた理由のトップ5は次のとおり。

1位)文章があいまい

2位)文章が失礼

3位)必要な情報が足りない

4位)メールが読みづらい

5位)文章が攻撃的

このほか、「無駄な情報が多い」「文章が長い」「文章が冷たい」「件名がわかりにくい」などの声が上がっています。

そこで今回は、自分では気付かないうちに相手を「イラッ」とさせている可能性があるメールの書き方をチェックしてみましょう。

お話しいただくのは、日本ビジネスメール協会の代表理事であり、ビジネスメールやコミュニケーションに関するコンサルティング・教育を手がける(株)アイ・コミュニケーション代表の平野友朗さんです。f:id:k_kushida:20150902145852j:plain

▲(株)アイ・コミュニケーション代表の平野友朗さん

ありがちな7つのパターンをピックアップしましたので、心当たりがある方は、改善策を実践してみてください。

【「イラッ…」ポイント1】開いた瞬間に「うわぁ、読みにくい…」

メールを開いてパッと見た瞬間に、「読みやすい」「読みにくい」の印象が決まります。読みにくそうなメールは、それだけで「面倒だな」と、憂うつな気分にさせてしまいます。最初にそうした嫌悪感を持たれると、内容に対しても前向きな気持ちになってもらえず、結局は自分が損をすることになります。

読みにくいメールの代表格は「ダラダラと長い文章」。ちょっとした工夫で読みやすい印象になるので、以下を心がけてください。

<改善策> 一文を50~60字以内に収める。 適度に改行を入れて、空白を作る。 伝えたいポイントや用件が複数ある場合は、頭に「■」「●」などの記号をつけて箇条書きにする。

【「イラッ…」ポイント2】読み進めていかないと、本題・目的がわからない

これは、取引先や他部署の人など、初めてメールを送る相手には特に注意したい点。いきなり長い自己紹介から始まり、メールを送った経緯などがつらつらと書かれている。どういう用件でメールを送ってきたのかがなかなかつかめない……これでは相手をイライラさせます。

早い段階でこのメールの主目的を伝えれば、相手のアタマの引き出しが開き、対応する体制がとれるのでストレスを与えません。

<改善策> 最初に自社名・氏名を名乗った後、「~~の件でご連絡差し上げました」「~~をお願い(ご案内)したくご連絡差し上げました」などの一文を入れた上で詳細を記す。

【「イラッ…」ポイント3】「してください」を連発。お礼や労いの言葉はナシ

ビジネスメールの用件には「依頼」が多いものですが、1通のメールの中で「~してください」というフレーズが立て続けに並ぶと、「上から目線?」と感じさせてしまいます。

また、「~してください」「承知致しました」「受領しました」だけでは、冷たい印象となります。相手によっては、「こちらへの敬意がない」「失礼」ととらえるでしょう。

<改善策> 「してください」ばかりではなく、「~していただけると幸いです」「~していただけると助かります」などの表現を使う。頭には「恐れ入りますが」「お手数をおかけ致しますが」などを添える。 「いつもありがとうございます」「心強いです」「助かりました」などの一言を添える。

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【「イラッ…」ポイント4】判断するために必要な情報が欠けている

社内外問わず、ビジネスメールの用件で多くを占める「~~をしてください」という依頼。

しかし、依頼するときに「いつまでに」「どれくらいのボリュームか」「どの程度のレベル(完成度)を求めるのか」などの情報が欠けていると、相手は受けられるかどうかの判断ができません。

自分「~~~~をお願いできますでしょうか」

相手「いつまでに行えばいいですか」

自分「○日の×時までに送っていただきたいと思います」

相手「承知致しました。○日×時までなら対応可能です」

――これでは、1往復のやりとりがムダですよね。相手にとっても自分にとっても時間のロスです。

逆に、依頼に対して返事を返すケースでも、ムダがよく発生しています。例えば…

上司「こんな案件が来たんだけど、できる?」

自分「できません」

上司「どうしてできないの?」

自分「別の案件を抱えているので、×日までは手いっぱいです」

上司「なら、△日以降ならできる?」

自分「△日以降であれば大丈夫です」

――このケースの場合、最初に「別の案件を抱えているので×日までは対応できません。△日以降であれば可能です」と返信していれば、何度もやりとりする必要はないですよね。上司をイライラさせることもありません。

最近は、LINEなどチャットアプリでのコミュニケーションが常態化しているせいか、返信を一言二言で済ませる習慣がついている人が多いようです。

ビジネスメールでは、相手が判断するために必要な情報をすべて入れるようにしましょう。

<改善策> 「自分がこのメールを送ったら、相手は次に何を質問してくるだろうか」を先回りして考え、その情報を盛り込む。

【「イラッ…」ポイント5】件名がわかりづらい/件名と本文内容が一致しない

「ご報告」「ご依頼」「お世話になっております」「ありがとうございました」「**社の○○です」……こんな件名をつけたことはありませんか?

相手が受信した際、用件がわからないと、重要度の判断、急いで対応すべきかどうかの判断を瞬時に下すことができません。また「迷惑メールか?」と警戒させてしまう可能性もあります。数秒の手間とはいえ、忙しいタイミングだとイラッとさせてしまうかもしれません。

また、相手とやりとりを続ける中で、話題が変わってからも「Re:」で返信し、前の話題の件名のまま別の話をしているケースもあります。

これらはいずれの場合も、相手が後々「あの件はどういう内容だったかな」と読み返したいとき、メールボックスから該当するメールを探し出すのに時間がかかり、イライラさせてしまうことになります。

<改善策> 件名には「○○会議」「××プロジェクト」など、案件名や商品名など固有のワードを入れる。

会議であれば「△月□日」など日付を加える、「第2回」「No.2」といったように回数や号数を添える。 話題が変わったら件名も変える。

【「イラッ…」ポイント6】署名がなく、電話連絡がすぐにできない

今は、相手に電話で連絡を取りたいとき、真っ先にメールの署名を見る人が増えています。

そんなとき、メールに署名が付いていないと、名刺を探すなどしなくてはならず、手間をかけさせてしまいます。

用件が仕事の発注などであれば、「急いでいるから他へ頼もう」となり、ビジネスチャンスを逃す恐れもあります。

電話番号が入った署名は、基本的には毎回入れることをお勧めします。ただし、1日に何度もやりとりをする場合は省略してもいいでしょう。相手や状況に応じて判断してください。

<改善策> 署名の自動挿入設定をして、基本的には毎回署名をつける。

【「イラッ…」ポイント7】仲間内でしか通用しない専門用語・業界用語・カタカナ語

「○日×時からミーティングを行いますのでジョインしてください」

――自社では皆が当たり前に使っている言葉遣いが、他社の人は耳慣れず「何だかかっこつけている」と思われるケースがあります。口頭で言えば受け入れられても、メールの文章にすると違和感が強くなるものです。

カタカナ語のほか、専門用語や業界用語にも要注意。

ありがちなのは、ASAP、アジェンダ、アサイン、コンセンサス、ペンディング、オリエン、バーターなど。

メールを受け取った相手は、自分が知らない言葉を使われると「配慮に欠けている」と不快に感じるので注意しましょう。

<改善策> 相手をよく知らない段階では、なるべく丁寧かつ平易な言葉を選ぶ。専門用語は「誰にでもわかる一般的な表現」に言い換えるか、注釈をつける。

<プロフィール>

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平野友朗さん/株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役、一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事、ビジネス実践塾 主宰

会社URL:http://www.sc-p.jp/

1974年生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、2003年、日本で唯一のメルマガ専門コンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。ビジネスメール教育の専門家。得意とする分野は、メールコミュニケーション効率化や時間短縮などの業務改善、ウェブマーケティングの戦略立案やメルマガ・ウェブサイトの改善、メディア戦略を含めたブランド構築や出版プロデュースなど多岐に渡る。著書に『カリスマ講師に学ぶ!実践ビジネスメール教室』『ビジネスメールの常識・非常識』ほか。

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