日産はなぜPasocomMini PC-8001版「走れ!スカイライン」の使用をOKしたのか 日産の担当者に聞いてみた

8月に開催された「PC-8001 40周年記者発表会」で、NECパーソナルコンピュータは1979年に発売された8ビットパソコン「PC-8001」を手のひらサイズでよみがえらせたミニチュアパソコン「PasocomMini PC-8001」を発表。エミュレータ上でN-BASICが動作し、BASICや機械語によるプログラミングができるほか、当時PC-8001でプレイできた16本のゲームを収録しているのですが、この中にはもともと非公式のレースゲーム「走れ!スカイライン」が収録されています。

発表会では、PasocomMini PC-8001の開発を担当したハル研究所がすべてのゲームについて権利処理を行い、「走れ!スカイライン」も日産自動車から使用許可をもらったというエピソードが明かされました。

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「走れ!スカイライン」は、1984年にコムパックからPC-8001用ゲームとして、カセットテープのメディアで販売されたゲームソフト。160×100ドットという解像度ながら、疑似3Dのスピード感のあるグラフィックが当時称賛された名作レースゲームです。プレイヤーが操るゲームの主役は、テールランプの丸目4灯が印象に残る当時のスカイライン。

タイトル画面にもゲーム画面にも「スカイライン」「SKYLINE」の文字はないのですが、当時のスカイラインをモデルにしていることは明らかです。このゲームを収録することに、なぜ日産はOKを出したのでしょうか。

日産でスカイラインの国内マーケティングを担当する日本マーケティング本部チーフマーケティングマネージャーオフィスの上村紘士さんと、商品化ビジネスを担当するIPプロモーション部課長の後藤敦子さんにお話を伺うことができました。もともとの経緯は、日本事業広報渉外部の鵜飼春菜さんに問い合わせが来たことに端を発します。

――今回、どのようなルートで日産に許諾確認の連絡があったのでしょうか。

鵜飼:この製品に関わる友人を持つ知り合いから、私にメッセンジャーで「どうにかできますか?」と連絡がありました。ちょうど新型スカイラインを発表する前の時期だったので、これは面白いお話だと思い、広報部がある14階からマーケティング部のある15階へ駆け上がっていった記憶があります(笑)。

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――そこで、マーケティングの上村さんにお話があったと。上村さんはこのゲームのことはご存知でしたか?

上村:お話をいただいた当時はゲームのことは知りませんでした。1984年ごろこういうゲームがあって、と説明を受けたときに、スカイラインでいうとちょうど「R30」や「R31」というモデル、国内メーカーもこぞっていろんなセダンタイプを開発していた時代のゲームなんだなと。

新型スカイライン発売のタイミングですので、当時ゲームを楽しんでいた方々や、当時からのスカイラインファンの方々にも、いろんなタッチポイントで改めてスカイラインに触れてもらういい機会だと思いました。権利関係をチェックしてもらう前提で話を進めましょうということで、後藤さんに窓口になっていただきました。

後藤:IPプロモーション部はスカイラインやGT-Rといった日産の商標等を玩具やアパレルメーカー様にライセンスして、利益の一部を商標の利用料としていただく商品化ビジネスを担当しています。

今回はハル研究所から三津原さん(ハル研究所 取締役所長の三津原敏氏)たちがいらして、何種類かゲームを見せていただきました。中でも「走れ!スカイライン」は人気が高かったので、スカイラインの名前を外して復刻版を出すわけにはいかない、名前を使用する事を承諾してほしいというお話でした。

通常はライセンス契約を結んで許諾をするのですが、ロゴやデザインに監修が入ったり、契約の締結自体に費用が発生します。今回復刻版製作の主旨やハル研究所さんの思いを伺った上で、ライセンス契約で許諾という形ではなく、無償で使って頂くための契約を結びました。

その旨をお客様に理解をして頂くために、タイトル画面には日産のライセンス商品ではない事を表記して頂きました。

※ゲーム選択UIの「走れ!スカイライン」タイトル画面では、「日産自動車(株)のご厚意で、発表・発売当時のゲームを収録しています。同社のライセンス商品ではありません」との記載があります。

――使用許諾契約ではなく、権利を行使しない契約なんですね。お金にならない、こういった契約をするケースというのは他にもあったりするのでしょうか?

後藤:はい、他にもこのようなケースはあります。今回の「走れ!スカイライン」については、多くのお客様の思い出のゲームというお話でしたので、是非懐かしいゲームを楽しんで頂きたいと考えました。今後もお客様と日産ブランドとの接点を作っていただけるようなケースであれば柔軟に対応していきたいと考えています。

後藤さんはハル研究所との打ち合わせの際に実際のゲームを見ていますが、上村さんは触ったことがないというお話だったので、実機で遊んでみてもらいました。

――実際に遊んでみて、いかがですか?

上村:すごく運転にハマる、ちょっと慣れれば上手になるゲーム、という印象ですね。スカイラインは、走って楽しいDNAがあるクルマなので、シンプルなゲームでもその一端を味わえるのはいいな、と思います。

個人的な話なのですが、子供の頃、幼稚園にも行っていないぐらいの年代に、おじいさんの家にこの時代のスカイラインの白があったんですよ。子供にも憧れのクルマだったな、カッコよかったな、と感じたことを、いま思い出しました。

新型スカイラインは、ゲームに登場するR30、R31の遺伝子を受け継ぐ丸目4灯が復活。受注は好調なのだとか。

上村:昔、スカイラインのセダンに乗っていた上の年代の方に「やっぱりスカイラインってこうだよね」という反応をいただいている一方で、40代以下の若い方も買われています。ハンドルを握ってアクセルを踏んで楽しいクルマを待っていたという、セダンユーザーより若めの方がいるようですね。

――本日はありがとうございました!

新型スカイラインの発売というタイミングと合ったからこそ実現したとも言えるPasocomMini PC-8001版「走れ!スカイライン」。新型スカイラインは9月17日に全国で販売を開始します。走りだけでなく、ハンズオフ運転など安全技術も進化した最新型のスカイラインに興味を持ったら、是非販売店に足を運んでみてください。PasocomMini PC-8001はキャンペーンのサンプルということで入手困難ですが、ハル研究所は9月28日に体験会を実施することを決定。「走れ!スカイライン」も触れるかもしれないので、チェックしてみてください。

【緊急速報!】
9月28日(土)に、「ハル研究所主催 PasocomMini PC-8001体験会@秋葉原ラジオ会館」を開催します!
ただいまイベント企画を鋭意検討中です。
詳細のお知らせまで、どうぞもうしばらくお待ちください。


https://twitter.com/PasocomMini/status/1171354285583388673

日産:スカイライン [ SKYLINE ] セダン Webカタログ トップ
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/skyline.html[リンク]

PasocomMini公式サイト|PasocomMini
https://www.pcmini.jp/[リンク]

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shnsk

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

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