デキる上司が「部下を平等に扱わない」理由

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デキる上司が「部下を平等に扱わない」理由

こんにちは。俣野成敏です。こちらのコーナーは、主にビジネスパーソンの方を対象に、よくある悩みや疑問にQ&A形式でお答えしていく、というものです。

本コーナーを執筆する目的は、これをお読みのあなたに、今までとは違った視点をご提供することです。少しでもお役に立ちましたら幸いです。

真面目で頑張り屋の人ほど、マネージャーになると上手くいかなくなる理由

それでは、本日の質問はこちらです。

【本日の質問】

人事異動で来月からマネジメントを任されることになりました。初めてのことで、部下とどんな風にコミュニケーションをとればいいのか不安で仕方ありません。すぐに立派な上司になれるとは思っていませんが、まずは上司の心得として、やってはいけないことがあればアドバイスをお願いします。

もともと、マネージャーに昇進する人の多くが、現場で結果を残してきた人です。つまり“優秀で頑張り屋”なわけですが、このような人に限って、マネージャーになった途端、行動に精彩さがなくなったりしがちです。

それまでは、自ら動いて点数を獲得すればよかったところを、マネジメントを担ったからには、部下も含めた総合得点で勝負しなければなりません。点数の取り方が変わるということは、ルールが変わるということですから、まずはマネージャーとして、どうすれば点が取れるのか、新しいルールを知ることから始めるといいでしょう。

マネージャーの「点の取り方」を知る

マネージャーになったばかりの人によく見られるのが、「自分の仕事を部下に渡してしまったら、自分の価値がなくなってしまうのでは」という“ためらい”です。それまで自分が評価されてきた仕事や、懇意にしていた顧客を部下に引き継ぐというのは、確かに勇気が要ります。

実際、日本の会社では、プレーイングマネージャーを求められることが多いのも事実です。つまりマネジメントをしながら、引き続き自分にも目標が課せられることになりますが、行動のメインはあくまでもマネジメントであるべきです。そのためには、意識的に自分が獲れる手柄を、部下に仕事を渡していかなくてはなりません。でなければ、部下を見る時間がまったくなくなり、身動きが取れなくなってしまうでしょう。

マネージャーになるメリットとは、チーム戦で戦えるようになることです。要は、今までは自分1人で頑張って100点を取っていたところを、仮に50点を取る部下が2人配属されたとすると、計200点になります。自分の点数がマネジメントのために60点に下がったとしても、その分、2人に80点ずつ取ってもらえば、計220点になります。自分1人だった時よりも、こなせる仕事量が増え、かつ自分の時間に余裕が生まれます。これが、それまでとの大きな違いです。

マネージャーがやってはいけない2つの行動とは?

それでは、部下との接し方に関する注意点をお話ししたいと思います。私が考える、マネージャーがやってはいけないこととは、主に以下の2つです。

《マネージャーがやってはいけない2つのこと》

1、部下を平等に扱うこと

2、どの部下にも平等に時間をかけること

世間を見渡すと、どの部下にも同じ接し方をするのが当然と考える上司が多いのが実情です。けれど、それは逆に不平等と考えるべきです。こと仕事に関しては、出した結果に応じて部下への対応を変えるべきです。誤解を恐れずにいうと、マネジメントの本質とは「部下をえこひいきすること」だと言えます。

例えば、部下の1人に何らかの才能を見出し、そこを引っぱり上げたいと考えたとします。その部下に「俺は君をこういうポジションに引き上げたい。(理由を述べ)君もそれを望むなら、そのポジションに必要な試練を課すが、どうだろう?」というように、スタートする前にヴィジョンとミッションのすり合わせをします。

2つ目の部下への時間の使い方については、基本はデキる部下ほど仕事を任せるようにして、自分は結果を見るだけにします。デキる部下に対しては、余計な横槍を入れないほうが、よい結果を出す可能性が高いからです。

マネージャーが手をかけるべきなのは、思うような結果を出せていない部下です。といっても、自分が付き添って仕事を教えるわけではありません。要は、ミスを未然に防ぐために標準よりもチェックポイントを増やし、「この部下により相応しい仕事は何か?」と思案することです。そして、そのままの仕事内容でもこの層を標準レベルまで引き上げるのが業務マニュアルです。

本当の問題は、コミュニケーションが下手なことではない

そもそもデキる上司とは、「部下の強みを見つけて伸ばすことが自分の仕事だ」と認識し、それに対して責任を負っている人のことです。最近、世間ではやたらとコミュニケーション力がもてはやされていますが、上司とて人間ですから、言い方がマズかったり、上手く表現できなかったり、ということはあります。

言い方が多少マズかろうと、本来、部下は自分の強みを見つけて伸ばしてくれる上司に嫌な感情を抱くことはありません。ですから問題は、言葉選びの上手い下手ではないのです。

今回の話をもっと詳しく知りたい方は、拙著「わりきりマネジメント」(扶桑社)(→)をご一読ください。

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー

30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。

2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。

自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』(→)及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(→)のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。

ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

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