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『イソップの思うツボ』上田監督・中泉監督・浅沼監督インタビュー「『カメ止め』の様な爽やかな鑑賞後感もありつつ心に重さが残る映画」

動員数220万人以上、興行収入31億円を突破!2018年最大の話題作となった『カメラを止めるな!』。本作を手がけた上田慎一郎さん、助監督を担当しスピンオフ版の監督も務めた中泉裕矢さんと、同作でスチールを担当した浅沼直也さんがトリプル監督を務める『イソップの思うツボ』が8月16日より公開となります。

構想3年、『カメ止め』を超える≪ネタバレ厳禁≫な内容になっている本作。青春、クライム、サスペンス、アクション、コメディ…ジャンルを軽々と超越した遊び心満載で予測不能な本作はどの様に作られたのか? 3人の監督にお話を伺いました。

――映画大変楽しく拝見しました! 『イソップの思うツボ』は構想に3年かかったそうですね。

上田:3年間ずーっと作品作りをしていたわけではなく、企画が固まるまで2年くらいかかっているんです。この3人が出会ったのが、2012年の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」で、埼玉県と「SKIPシティ」が若手育成という名目のもと、2年に1回オムニバスの映画というのを作ってるのですが、2015年に僕と浅沼さん、中泉さん、もう一人の監督で『4/猫 ねこぶんのよん』という独立した短編が4つ入った映画を撮ったんです。その時に意気投合して、居酒屋で「またオムニバスの短編をそれぞれやるのはちょっとなあ」「長編とりますか」って半分冗談で話していたんですけど、それが現実になったのがコレです。3人で長編撮るにはどういうのがいいのか、って形を探るのに時間がかかって。

――その間には昨年社会現象となった『カメラを止めるな!』の公開もあって。

上田:そうなんです。僕が『カメ止め』で忙しかったこともあり、もうこの時期までに作らないとダメだというリミットの時期が近づいて、短期間で集中して作りました。2年間話し合ってきた時間があったので、短い制作期間の中で作れたんだと思います。

中泉:上田さんは本当に忙しくて、脚本を書く時間がなくて「(移動の)飛行機の中で書くわ」と言って、帰ってきても全く書いていないとか(笑)。

上田:本当にすみませんでした!

――(笑)。そんな中での新作作り大変だったと思います。現場では実際にどの様に撮影が進んでいったのですか? 3人いることで意見が割れたりとか、そういったことは?

浅沼:このシーンは誰、ここの担当は誰って決まっていたのでそういう大変さは無かったです。

上田:3つの家族を描いた話なんですけど、それぞれの監督が担当家族を決めて。僕が兎草家で、中泉さんが亀田家、浅沼さんが戌井家です。担当家族がメインの時は担当の監督がメインで演出し、他の2人は助監督というスタイルでした。常に3人が現場にいて、メインの監督が決定権を持つ。後半は3つの家族が入り混じってくるので、場面によって誰が監督をするか話し合いをしながら進めて。

――脚本も同じ流れで進めたのですか?

上田:プロットの原型は浅沼さんとアドバイザーの竹内清人さんに作ってもらいました。その後、それを受け取って、プロット改稿とメイン脚本は僕が書きました。でも僕1人で書きあげたわけでは無くて、2人の意見を大幅に取り入れながら書いているので共同脚本という形なんです。

――『カメ止め』が大好きで、本作をとても楽しみにしている観客の方は多いと思いますが、全然違った作品で、良い意味で裏切られますよね。

上田:テイストが全然違いますよね。そんな中で、『カメ止め』と同じ様な作品ではもちろんダメだけど、離れようとしても逆におかしいので、通じる部分も残ってはいると思います。

浅沼:この映画に出てくる家族は、お互い嘘をついて騙しあったり、出し抜いたりする。どちらかというと家族の光が当たらない部分を描いているので、『カメ止め』のような爽やかなカタルシスとか鑑賞後感も残しつつ、もやもやと心に残る重いものもあると思います。

――皆さんはとても映画を愛してらっしゃると思うのですが、最近ご覧になった作品で心に響いたものは何ですか? 新作でも旧作でも構いません。

浅沼:2作品あって、まず小津安二郎の『生まれてはみたけれど』(1932)。戦前の映画です。最近授業をやっていて、何の映画を観せたら良いだろうと思った時にクラシックな作品をよく選んでいて。これはとても面白かったですね。もう一つは『俺たちに明日はない』(1967)。これも昔の映画ですが今観るとたくさんの気づきがあるんです。

上田:僕は日々楽しい中で、映画をたくさん観れない事だけがストレスなんですが(笑)、最近だと『天気の子』(公開中)ですね。初日に観に行きました。純粋に面白かったというのもあるし、東宝全館でやっていて、大きな映画会社が日本全国でやっているにも関わらず、ものすごく監督の私的な映画で。学生の卒業制作みたいな手触りの作品を、超一流の監督やスタッフが集まって作っている。”新海汁”が飛び散っているんですよね(笑)。そういう映画って良いなあって思います。

中泉:僕、この質問、すごく苦手なんです。でもこれかな。元々好きな映画で最近観直したのですが、『月に囚われた男』(2009)です。僕にとってあれって、自分で作れそうな映画の最高峰だったんですね。SFでありながら、人間のお芝居だけで見せていくという。これを見返すと「こういうのがやりたいなと思っていたな」と原点に帰れるというか、刺激をもらえるんですよね。

――皆さんそれぞれ全然選ぶタイプも時期も違って面白いです!こういった映画談義は結構されたですか?

浅沼:めちゃくちゃしましたね。構想3年の中の2年半はそれぞれの映画のベスト10を見せあったり、好きな作品について話し合ったり。

上田・中泉:(うなずく)

浅沼:だからそれぞれの好みを知っているんです。それって雑談の様でいて、すごく大事な作業だったと思います。

――それぞれの好みが混ざり合って、それを尊重しつつ1本の映画にまとまっているのですものね。また3人で映画を作りたいですか?

浅沼:しばらくは良いかなって感じですかね。また1人で作品作りをして行きたいなと。でも3人で連続ドラマはやって見たいなって思いますね。

上田:もうちょっと時間経ってからだよね。今はそれぞれ自分たちの作品に戻って。

中泉:僕も上田さんとの距離が近すぎるかなというのは客観的にあって。また出来たら良いなと思います。

――これからはどんな映画を作っていきたいですか?

上田:この先数年はありがたいことにお仕事をいくつかいただいているので、色んなやり方にトライしてみたいですね。原作モノであったり、他の方の脚本を映像化してみたいという気持ちはあります。今までは編集も自分でやっていたので、編集を違う人にお願いするとか。それの一つがこの『イソップの思うツボ』でもあるんですけどね。

中泉:僕が作りたいのは、ワンシーン、ワンカット、長回しですかね。

上田:ホンマに?(笑)

中泉:『カメ止め』のスピンオフを撮らせてもらって、それもワンシーン、長回しだったのですが、もっとやりたかったなという気持ちもあって。自分の撮りたいものはずっと変わらないので、今のこのタイミングは”色々広げるべき”だなと思っていて。カーアクションとか、やったことない、やろうと思っていなかった事に挑戦してみたいなと感じています。

浅沼:歌の無いミュージカル映画を作ってみたいなと思います。主人公本人が歌わないで、ミュージカルになってる様な。構想がそのまま形に出来ればヒットすると思うんです。ここでは言いません! 後は3画面で物語が進行していく様な、そんな映画だったり、アイデアは色々あります。

――皆さんのこれからの作品も、また共同で作品が作られることも、楽しみにしております。今日はありがとうございました!

『イソップの思うツボ』上映中!
http://aesop-tsubo.asmik-ace.co.jp

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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