ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

つながりのジャーナリズム 寺島英弥さんとの対話 第2回「新聞原稿でもルポでもない文章と引き裂かれる当事者」

つながり2

この記事は藤代裕之さんのブログ『ガ島通信』からご寄稿いただきました。

つながりのジャーナリズム 寺島英弥さんとの対話 第2回「新聞原稿でもルポでもない文章と引き裂かれる当事者」

東日本大震災の被災地のただ中の地方紙、河北新報の編集委員寺島英弥さんは、「出撃(現場に取材に行く事)」出来ない中で同僚の記者の活動をブログに記録し始めます。ブログ「Cafe Vita」で始まった記録のタイトルは「余震の中で新聞をつくる」でした。紙の新聞の危機を感じながら、ブログの可能性にかけた寺島さんに反応が届き、つながる実感を持てたといいます。
「余震の中で新聞をつくる」の特徴は、とにかく文章が長いこと。そして、インタビュー相手の言葉だけでなく、寺島さんの心象風景も、相手とのエピソードも「です、ます」調で綴られます。その理由を聞く中で「ルポ」という言葉が出てきました。

 つながりのジャーナリズム 寺島英弥さんとの対話 第2回「新聞原稿でもルポでもない文章と引き裂かれる当事者」

https://px1img.getnews.jp/img/archives/20120501144114.jpg

第1回「暗闇の中でブログがつながった」*1

*1:「つながりのジャーナリズム 寺島英弥さんとの対話 第1回「暗闇の中でブログがつながった」」2012年5月12日『ガ島通信』
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20120512/1336846906

藤代:ルポ調。うん?
寺島:自分をうまく切り取ってばっとみせる、みたいな。そういうものじゃなくて、相手はいて、その人のことを自分はただありのままに伝える。そういう自分は役目だと、取材の現場にいるときに思ってしまうんですよね。自分ができることってなんだろうかって、現場にいるとき記者はみんな思ったと思うんですよね。
でかすぎて、フレーミングができない。切り取れない。その中でも、その人の想いなり、その人の経験なりをいっぱい切り取って新聞記事一本にまとめて。後はその人に会いに行ってくださいというしかないわけなんですね。読んだ人がその人に直に会いに行って、という体験を時間の流れを含めて、まるごと追体験してもらいたいというのがあります。時間の流れというのはどうしても新聞の限られた行数の中ではやっぱり伝えられないですね。
藤代:そうですね。
寺島:それをなんとかブログの文章で、時間の流れも含めて、自分がそこにいた、立ち会った時間の流れそのものをいろいろ伝えられないかと。

■新聞原稿でもなくルポでもない文章

藤代:読んでいてすごく思うのは、寺島さんの言葉が伝わる感じがするんですよね。新聞ってできるだけプレーンになろうとするじゃないですか。フレーミングはあるにしても客観的な記述で記者の存在を消す。一方でルポは「俺は見た!」というパターン。
寺島:そうですね。そこから始まりますね。

藤代:そのどちらでもない。寺島さん自身も、自然に書いてあって、飾らない寺島さんがいて、それを通して読者が取材対象者を見るというのは、これまでにない文体だと思うんですよ。今回、寺島さんとお話する前に玉木さんの「言語としてのニュージャーナリズム」*2を読み返しました。カポーティから始まる流れ、ハルバースタム、沢木耕太郎とか、中立や客観報道ではなく、取材相手と関わっていく。寺島さんもそれに近いと思うんですが、なんとなく違う気もしたんですが…

*2:「言語としてのニュー・ジャーナリズム [単行本]」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4905640849?ie=UTF8&tag=gatotushin-22&linkCode=xm2&camp=247&creativeASIN=4905640849

寺島:あの、ルポでも自分の中で一旦記事を噛み砕いて消化して、そこから出てくるものじゃないですか。濃縮する。自分の中で消化して、もういっぺんだした言葉。だけども、今回の場合には、自分ではもう消化しきれないような体験をみんなもっているわけですよ。ナラティブっていうんですかね。そういうのを語るうちに。あの、聞き語りとも違うんですよね。それをちゃんとまず伝える、ありのままに。
藤代:なるほど。
寺島:聞いている私がいる。聞いている私がこう思った。私がこう思ったっていうのは、その人(取材相手)がその場で生き様とかを語ることに、自分が影響するものではなくて、あくまで自分も聞いてて、こうそのときにこう思ったっていう、のを置かなければいけないと思うんですよね。
藤代:それはあの、あれですか。ここだといるじゃないですか。藤代と寺島さんがいる。で、いま、会話をしている。ルポだと、一回僕が寺島さんの話を聞いて、私が見た寺島さんということを書く。でも、寺島さんの今回の話は、ここ(頭の上当たりを手で示しながら)になんかもうひとりの藤代がいて、寺島さんの話を聞いた時に藤代が率直に思ったこととか、ああなるほど、今こういう感情をもっているなということも含めて、全部、記述する。この、ここにいる人(頭の上にいる人)が記述しているっていうことですね。
寺島:ああーなるほどね。
藤代:ということなのかなあと、寺島さんの話を聞いて思ったんですが。
寺島:そうですね。確かに。自分はその時こう答えたっていうのも含めて全て。時間の流れ。起きた事。ありのままって結局そういうことなのかなっていう。なんていうんでしょうね。
藤代:あんまり寺島さんの中では今の話は自覚したことがないんでしょうか。
寺島:ええ。もう一人の自分とかっていうのはあんまり考えたことなかった。藤代さんに言われて…

1 2次のページ
寄稿の記事一覧をみる

記者:

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

山寺宏一&高木渉で『ポプテピピック』

GetNews girl / GetNews boy