マーガレットの育て方・栽培のコツ|プロ監修
マーガレットの育て方をガーデニングのプロに教えてもらいました。基本的な水やりから、置き場所、マーガレットの植え付け方法、アブラムシなどの病害虫対策まで網羅。梅雨や夏場など季節で注意する育て方もお見逃しなく!【花の育て方シリーズ】
目次
マーガレットについて
マーガレットの育て方で押さえたい3つのコツ
マーガレットの育て方【基本編】
マーガレットの育て方【シーン・トラブル編】
マーガレットの育て方Q&A
遠藤昭
ガーデンプロデューサー。サラリーマン時代、家族とともに赴任したオーストラリアでガーデニングに開眼。帰国後は自宅の庭づくりに注力し、さまざまなガーデンコンテストで受賞。定年後、2010年日本ガーデンデザイン専門学校造園ビジネス科修了。2011年英国王立園芸協会コンテナガーデンマスター認定。プロガーデナーとして活動し、川崎市緑化センターでの園芸相談、各種ガーデニング講習会など、自らの経験をもとにガーデンニングの楽しさを教えている。
遠藤昭さんのHP
マーガレットについて
© PIXTA育て方の説明の前に、まずはマーガレットの特徴・品種についてご紹介します。
マーガレットの特徴
マーガレット(キク科モクシュンギク属)は、カナリア諸島原産で地中海性気候を好む多年草です。
日本にやってきたのは明治時代。当時、からりとした地中海とは似ても似つかない日本の気候で栽培するのは、とても大変だったそう。
今や日本各地で元気に育つようになりましたが、やはり日本の高温多湿の夏と、厳しい冬の寒さは大の苦手です。
その反面、夏越し・冬越しができれば、がぜん丈夫に生長します。何年も育つうちに地面に近い茎が木のように頑丈になり、木質化するのです。マーガレットの和名の「木春菊」は、木のように育つ姿を反映したものだとか。
また、ひとくちにマーガレットといっても、もともとマーガレットとして扱われていたモクシュンギクの園芸品種もあれば、モクシュンギクの交配種も含まれるため、とても品種が多いです。
おなじみの白い一重咲きの品種のほか、八重咲きやピンク花も人気です。
開花株の鉢植えで販売されていることが多く、上手に育てれば、4~6月、9~10月と、長い間花を楽しめるマーガレット。
ほのかに漂う甘い香りも楽しめますよ。
難易度 中級者向き
耐寒性 弱い
耐暑性 弱い
耐陰性 弱い
乾燥 比較的強い
草丈 20cm~80m
マーガレットの品種について
マーガレットといえば、一重咲きの白い花がまず思い浮かびます。
これは、「在来白」と呼ばれるフランス生まれの園芸品種で、明治時代に日本に渡来したのもこの系統です。
そのほか花色は、赤、ペールオレンジ、クリーム色などもあります。
品種も多く、マーガレットとハナワギクとを掛け合わせた「風恋香」、華やかな八重咲きのピンク花「ドリームレディー」、暑さに強く鉢植え向きの「サンデーリップル」、原種によく似ている「チェルシーガール」などがあります。
マーガレットの育て方で押さえたい3つのコツ
コツ1 鉢植えは通気性・水はけのよい素焼き鉢を使用
コツ2 冬越し前の11月、枝を整理してサイズダウン
コツ3 夏は直射日光や西日を避ける工夫を
※この記事のカレンダー・育て方は、中間地のものです。
【寒冷地】
挿し芽 6月のみ
植え付け 4月中旬~5月下旬
植え替え 4月下旬~5月下旬のみ
肥料 4月下旬~6月と9~10月
切り戻し 6月と9月
摘心 3月下旬~5月下旬
開花 4月中旬~6月下旬と9~10月
※地植えは霜の降りる前に堀り上げ、鉢植えにして室内へとり込む。
【暖地】
挿し芽 4月中旬~5月と9月
植え付け 3月中旬~5月下旬
植え替え 3月中旬~5月下旬と、9月~10月
肥料 5月~6月と9~10月
切り戻し 6月と9月
摘心 3月中旬~5月下旬
開花 3月下旬~6月と9~10月
寒冷地=北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地。
中間地=福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部。
暖地=四国、九州南部、沖縄県
マーガレットの育て方【基本編】
© PIXTAマーガレットの育て方には、ちょっとしたコツがあります。
育て方をマスターすれば、毎年可憐なマーガレットの花を楽しめますよ!
置き場所・日当たり
マーガレットの苗の植え付けは、温暖な3月下旬~5月下旬が適期。
鉢植えをひと回り大きい鉢に植え替えるのは、3月下旬~5月下旬、9~10月が良い時期です。
マーガレットは生育旺盛で、すぐに根詰まりしてしまいますから、年に一度は植え替えを。
なお、マーガレットを鉢植えにするときは、湿気がこもりがちなプラスチック鉢は避け、適度に水分を蒸発させる素焼き鉢を選ぶのがポイントです。
生長して大きくなると倒れやすくなるので、支柱も立ててください。
植え付け・植え替え
マーガレットの苗の植え付けは、温暖な3月下旬~5月下旬が適期。
植え替えは、3月下旬~5月下旬、9~10月が良い時期です。
マーガレットは生育旺盛で、すぐに根詰まりしてしまいますから、鉢植えの場合は年に一度植え替えを。
なお、マーガレットを鉢植えにするときは、湿気がこもりがちなプラスチック鉢は避け、適度に水分を蒸発させる素焼き鉢を選ぶのがポイントです。
生長して大きくなると倒れやすくなるので、支柱も立ててください。
土の選び方・肥料
多湿が苦手なマーガレットは、水はけがよい用土を好みます。
地植えの場合、腐葉土や川砂などをマーガレットの植え付け前にすき込んで水はけを改善してください。
鉢植えに使う培養土にも腐葉土や川砂を少し混ぜて水はけよくしておくと、夏の高温多湿の時期を乗り越えやすくなりますよ。
自分で土をブレンドするときは、赤玉土5、腐葉土3、川砂2の割合を目安にし、規定量の化成肥料を混ぜて。
マーガレットの元肥は、発酵油かすや化成肥料を。根の下に仕込むなら、肥料の上に土を挟み、根が直接肥料に触れて肥料焼けしないように注意してください。
追肥は休眠期の真夏を避け、3月~6月と9~10月に与えます。
地植えのマーガレットには、発酵油かすの置き肥を1カ月に1度。鉢植えは2週間に1度、規定量の液肥を施して。
マーガレットは少な目の肥料でもよく育つので、多肥には要注意。
特に夏場に肥料を与えると栄養過多になり、株が元気をなくすので気をつけてください。
水やり
多湿が嫌いなマーガレットなので、特に鉢植えは水の与えすぎ厳禁。
土の表面が白く乾燥してきてから、鉢底からあふれるくらいに水を与えます。
休眠期にあたる7~8月は、特に乾かし気味に。
また4月~6月と9~10月の花期には、マーガレットの上から水をかけると花やつぼみが傷んでしまうので株元に与えるのがポイント。
水やりの際、枯れた花をそのままにしておくと水気がたまりカビるので、花がら摘みを事前におこなうようにしてください。
マーガレットの育て方【シーン・トラブル編】
© PIXTAマーガレットは種ではなく挿し芽で増やす、強く切り戻すなど・・・。
育て方にちょっとしたコツがあります。
「覚えておいて損なし!」ですよ。
摘心・間引き・切り戻し
マーガレットの摘心は、植え付け前の3月下旬~5月下旬に行います。
摘心したマーガレットが次々に花をつけるまで成長したら、必ず切り戻しをしてください。マーガレットは切り戻すことで新しい枝が生まれ、その新しい枝に花が咲くためです。
切り戻しの時期は6月と9月で、6月の切り戻しは秋の開花を促進させるために行います。
9月の切り戻しは、次の春の花に向け新しい枝を出す目的と、サイズダウンして株の負担を減らし冬越ししやすくするためです。
ばっさりと、3分の1~2分の1程度に切り戻しをしつつ、込み入って風通しが悪い枝と枯れ込んだ枝は、枝もとから切って間引くのがポイント。
増やし方
マーガレットの殖やし方は、挿し芽が一般的です。
適期は5月と9月で、元気のよい新芽の先を7cmほどにカット。
テラコッタの平鉢を用意し、そのなかに育苗用土を敷きつめて水でしっとりと湿らせたのち、新芽を挿します。挿し芽には事前に、発根促進剤を塗っておくと根付きが格段によくなるのでおすすめ。
挿し芽後、テラコッタ鉢よりひと回り大きい鉢に水を入れて腰水し、常に水気がある状態をキープ。マーガレットは挿し芽をしてから1カ月くらいで充分に発根するので、5月に行った挿し芽は6月に定植してください。
9月の挿し芽は、いったん小さな鉢に植え替えて冬越しし、3月下旬~5月下旬に植えつけます。
季節の手入れ
関東以西の中間地・暖地では地植えでの冬越しが可能ですが、霜に当たると枯れてしまうことも。
霜除けが難しい場合、堀上げて鉢に植え替え、室内で冬越しさせます。
寒冷地でも寒さに当たる前に掘り上げて室内で管理すれば、冬越しは可能。
病害虫
マーガレットは、30度を超える夏場の立枯病に注意してください。
根が腐る病気なので、乾かし気味に管理すると発生を抑制できます。
また、立枯病に効く殺菌剤を与えたり、水分を蒸散しやすい素焼き鉢に植えるとよいでしょう。
害虫では、アブラムシには悩まされがち。
特に若い葉がどんどん生長する時期や、冬越しのためとり込んだ室内で大発生することが。
発生する前に予防策として浸透移行性殺虫剤を施してアブラムシを寄せつけない、アブラムシを発見したらすぐに殺虫剤を散布するなど対策をしてください。
マーガレットの育て方Q&A
© PIXTAマーガレットの育て方にまつわる疑問について、遠藤さんにズバッと答えてもらいました。
Q1.マーガレットを地植えしていますが、大きくなったものの、だんだん花数が少なくなってきています。対策は?
マーガレットはとても根張りがよいので、地植えでも2~3年に一度、植え替えをすると花付きが良くなる場合があります。
また、肥料に窒素系の成分が多いと、葉や枝など大きく成長するほうにばかり栄養が投入され、花が咲かなくなることも。
花付きがよくなるリン酸系の肥料を与えてみるのもおすすめです。
Q2.スタンダード仕立てにするにはどうしたらいいですか?
茎の上だけに花枝をまとめるスタンダード仕立ては、2年以上の年月をかけて、ゆっくり仕上げていきます。
【スタンダード仕立ての方法】
小さな苗の段階で、株立ちしている数本の茎から元気のよい1本だけを主茎として残し、あとは株元から間引きます。
残した主茎からは脇芽が発生しますが、下部から発生したものは手でもぎ取って、茎を太らせ伸ばします。上の脇芽は間引かず、しばらく自然のままに。
マーガレットの草丈が40㎝くらいまで育ったら、地面から30cmくらいは枝を払って茎のみに。30㎝より上で分岐した枝は、間引いて3本に調整します。
間引いた後の3本の先端を摘心して脇芽を発生させ、たくさんの花の咲く枝を育てます。こんもりと枝が増えたら盆栽のように丸く刈り込んでできあがり。
スタンダード仕立てのマーガレットの場合には、6月と9月の切り戻しは行わないで、形を整えるカットのみにしてください。
Q3.花瓶にいけたいのですが、花をたくさん切っても株は大丈夫ですか?
マーガレットはしっかり根付いてしまえばとても丈夫で、花を切っても株が弱ることはほんとどないでしょう。
ただしカットする際にはウイルス病が心配なので、ハサミを消毒してくださいね。
お花畑を連想する楚々としたマーガレット。ぜひ育て方をマスターして、あなたの庭やベランダに”お花畑”を作ってくださいね。
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