トルコとロシアの天然ガスパイプライン「トルコストリーム」と米国との距離感のリスク… (トルコリラ円で人生一発逆転)
今回はayさんのブログ『トルコリラ円で人生一発逆転』からご寄稿いただきました。
トルコとロシアの天然ガスパイプライン「トルコストリーム」と米国との距離感のリスク… (トルコリラ円で人生一発逆転)
ロシアとトルコの関係経緯
少し前にロシアの戦闘機を撃ち落として、ロシアとトルコの関係は最悪な時期を迎えていましたが、ここ2~3年で激変しています。
なぜ激変したのか?
さすがヨーロッパ人という感じですが、お互いの利益が一致しているからです。
ちょっと経緯をまとめると以下のようになります。
2015年9月 ロシアがイスラム国空爆開始
シリアのアサド政権軍を支援するロシアが過激派組織「イスラム国」(IS)と反体制派への空爆を開始
2015年11月24日 トルコがロシア軍機を撃墜する
トルコ軍機が「領空侵犯をした」としてロシア軍機を撃墜。機体はトルコ国境に近いシリア領内に落下
2015年12月 ロシア報復措置
ロシアが17品目にわたるトルコ産品の輸入禁止リストを決定。天然ガスパイプライン「トルコストリーム」の協議も中断
2016年6月 エルドアン謝る!
エルドアン大統領がプーチン大統領に謝罪の意を伝え、関係正常化で合意
2017年1月 IS掃討に向けて、お互いの支援体制を仲直りさせる
アサド政権を支援するロシア、イランと反体制派を支えるトルコによる和平協議開始
2017年5月 シリアで成果を上げる
3カ国が政権軍と反体制派の停戦に向け、シリア西部の4地域に「緊張緩和地帯」を設置することで合意
2017年12月 ロシアから武器を買うトルコ…
トルコがロシアから最新鋭地対空ミサイルシステムS400の購入で合意
2018年9月 シリア政権軍=アメリカとの対決構図
ロシアとトルコが、シリア北西部イドリブ県に非武装地帯を設置することで合意し、政権軍の総攻撃をひとまず回避
2018年10月 とうとうアメリカ抜きで首脳会談まで実施
シリア内戦でロシアとトルコが進めてきた和平協議に独仏を加えた4カ国首脳会談を開催
2018年11月 トルコストリームの完成!
トルコストリームの完成。トルコ経由で欧州に天然ガスを通すルートが実現へ向かう。
各国の思惑とトルコストリームの完成
ブルガリアルートの「サウスストリーム」は圧力によってつぶされたので、トルコを経由して欧州にガスを届けたいロシアと何かとアメリカとの衝突が絶えないトルコ。経済的にも天然ガスパイプラインが通ることで利益が生まれますし、対シリアという観点では手を組むことで win-win でもあります。
<サウスストリーム計画>
アメリカとの距離感が出過ぎているエルドアン
どうもここ数年のトルコの不安定=エルドアン=対アメリカとの関係悪化の構図があります。エルドアンがクルド人に対して厳しい姿勢をみせることがそのことに拍車をかけています。
それは彼が大統領である間に変わることがないことが容易に予想できます。この前の選挙で権限を強められることを成し遂げており、2029年(74歳)まで政権を握る可能性があります。
これはなかなかのクライシスな展開です。早くバランスの取れた大統領に代わってもらいところですが、エルドアンのように強い要素がないとトルコの大統領は勤まらないのも事実でしょう。いい面も当然ありますし。
もう少しバランス感覚がもってもらえるといいのですが、それは果たしなく難しいことで、今後も米国との摩擦から経済が停滞し通貨に対して悪影響が出る可能性は持っておく必要がありそうです。
しかし2029年だと長いなー。
ロシアのパイプライン計画
ロシアはウクライナルート、海を通すルート、そして今回のトルコルートと天然ガスを欧州に届けるルートを構築してきています。ロシアにとって最大の売り物はエネルギーですし、各国はそれはそれで欲しいものであるため、そのあたりで揺れ動くといった感じです。
執筆: この記事はayさんのブログ『トルコリラ円で人生一発逆転』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年6月7日時点のものです。
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