盛岡駅周辺は穴場スポットがいっぱい!駅から徒歩で巡る旅
盛岡で発行される地域誌、『盛岡の「ふだん」を綴る本 てくり』のスタッフ水野が、JR盛岡駅を起点に、老舗のお店や最近できたカフェなど、盛岡街あるきスポットを紹介します。
JR東京駅からJR盛岡駅間は、東北新幹線で2時間ちょっとの距離。4月後半は山々も緑色に衣替えし、北国の春到来を感じる絶好のシーズンなのです。
【行程】
盛岡のランドマーク「赤レンガ館」へ
精肉店直営の焼肉ランチで、パワーチャー
「ひめくり」で、岩手のクラフト品と出合う
盛岡の伝統工芸「南部古代型染」って?
旅の締めくくりに、コーヒーでひと休み
最後は、新幹線内で岩手の味を満喫
JR盛岡駅。「もりおか」の文字は、地元の歌人である、石川啄木自筆の文字を集めて作ったそう
盛岡のランドマーク「赤レンガ館」へ
城下町文化が息づく盛岡は、ゆったり歩いて楽しめるコンパクトさが観光客にも人気です。古きたたずまいと新しい場所が、自然にクロッシングしている感じ。
まずは、歴史ある建物「岩手銀行赤レンガ館」を訪ねてみます。盛岡駅から盛岡都心循環バス「でんでんむし」(左まわり)に乗って、約10分。赤レンガ造りの洋風建築物が目に入ってきますので、すぐ先の盛岡バスセンターななっく前で降りてください。
国指定重要文化財「岩手銀行赤レンガ館」。明治44(1911)年に完成以降、銀行として平成24(2012)年まで営業しました
東京にお住まいの方は、外観を見て一瞬「東京駅?」と思うかも。そう、この建物は東京駅を設計した辰野金吾と葛西萬治(盛岡出身)が手がけています。100年以上銀行として使用されてきましたが、現在は通称「赤レンガ館」の名で親しまれ、保存を第一にしつつも、コンサートなどに使われています。無料見学エリアもあり、観光客も多く訪れる場所です。
大理石の床をはじめ、建築当時と変わらない内装 自然光が差す1階フロア1階入り口では頭を上に向け、天井にも注目!
赤レンガ館が建つ中ノ橋通周辺は、江戸時代に多くの商人が店を構えた繁華街。近隣には、明治期以降に建てられた建物もいくつか点在しています。
精肉店直営の焼肉ランチで、パワーチャージ
盛岡の歴史に軽く触れたところで、次は隠れた名店ともいえるランチスポットを紹介。赤レンガ館そばを流れる中津川沿いを上流方向へ歩いて7〜8分。上の橋のたもとにある、焼肉レストラン「肉の米内」です。
アットホームな雰囲気の店内
同店は、明治32(1899)年創業の老舗精肉店直営のレストランで、前沢牛や県産黒毛和牛を使った焼肉やステーキ、そして、盛岡名物の冷麺などを提供。ランチメニューの「カルビ定食」は人気の一品です。自家製秘伝ダレに漬け込んだカルビ肉が5枚! その大きさにほれぼれしながらほおばるひと口はモウ、幸せです。
和牛カルビ肉がどーん! ナムルやカクテキなども自家製ジューシーで柔らかな肉を生卵につけて食べるのが米内流
そして、盛岡では焼肉と冷麺を共に味わうのがスタンダードなのです。「肉の米内」の冷麺は、麺、スープ、キムチ、味付け肉すべて自家製。焼肉だけでなく、ぜひ一緒に堪能してほしいです。
「ひめくり」で、岩手のクラフト品と出合う
焼肉レストラン「肉の米内」を出たら、歩いて5分の場所に、岩手県内のクラフト品を多く扱う「shop+space ひめくり」があります。中津川沿いを散歩しがてら、店へと向かってみます。
市街中心部を流れる2つの川のひとつ「中津川」。川沿いをゆったり散歩もおすすめ
南部鉄器、漆器、手紡ぎ手織りの毛織物・ホームスパン、竹細工など、岩手の手工芸品をはじめ、東北にゆかりある作家のさまざまな作品が並ぶ店内。
元印刷会社勤務の店主は、てくりスタッフとも関わりが深く、時折てくりプロデュースの企画展もやったりしています。店内には『てくり』をはじめ、全国のリトルプレスや印刷物、紙モノもたくさんありますよ。
岩手らしい小物たちもいろいろ。盛岡の隠れた定番おやつ「ニックナック※」、口当たりの優しい漆塗りのスプーン、地元イラストレーターが盛岡の風景を描いたポストカードもおすすめです。
※編集部注釈:1936年に盛岡へやって来た6人の修道女たちが作り始めた焼き菓子。見た目はベルギーワッフルのようだが、素朴なクッキーのような食感。
地元経営の小さな喫茶店が多い盛岡のカフェ巡りには、てくりが作ったブックレット『盛岡の喫茶店 おかわり』も役立ちます。1日目の旅の振り返りや2日目に向けた予習に、よろしかったらどうぞ。
盛岡の伝統工芸「南部古代型染」って?
盛岡駅近くのホテルに宿泊し、2日目は、駅から歩いて10分ほどの材木町方面へ。全国各地のよりすぐった工芸品を扱う「光原社」があるのも、この通り沿い。商店街の先にある南部古代型染の「小野染彩所」を訪ねます。
南部古代型染とは、盛岡藩主・南部家御用染め物として武家の衣類に使われた型染め。型染めとは、文様を彫り込んだ型紙を使い、布に繊細な模様を染め付ける技法です。「小野染彩所」は、盛岡市で17代にわたって型染めの工房を営んできました。
寛永5(1628)年創業の「小野染彩所」
南部古代型染の繊細な型彫りが生み出した文様は、500種類近いそうです。現在は、その中から現代風のデザインを選んで使っていますが、それでも100種以上!
文様を生かし、カラフルに染めた手ぬぐい
南部家の家紋をモチーフにした「向かい鶴」が、南部古代型染の代表的な文様です。
中央のトートバッグ(赤)が、向かい鶴の文様。どこか、アジアのテイストを感じる文様です
着物はもちろん、トートバッグ、ペンケース、ブックカバーなど、普段使いできるアイテムも多いので、お土産にもぴったりです。
さらに店舗の2階資料室には、南部古代型染の工程を紹介する資料や、藩政時代の染め物などを展示してあり、自由に見学できます。
旅の締めくくりに、コーヒーでひと休み
盛岡の武家文化を感じつつ店を出たら、歩いて数分の路地裏にあるコーヒー店へ。盛岡は、昔から小さな喫茶店の多い街。今も個性ある店が、あちこちに点在しています。自家焙煎コーヒーの店も多く、お気に入りの味を探すのも楽しみ。
そんな中、2018年秋に、材木町の路地裏にオープンしたのが「BOUND COFFEE」です。
アメリカンモダンな雰囲気の外観
入り口の奥にカウンターを構える店内で出迎えるのは、店主の田中大祐さん。
どこの国の、どんな農園で生産されたかが明確で、欠点豆の少ない良質なコーヒー豆を選び、店内で自家焙煎しています。現在は、ケニアやエチオピア等、豆に合った煎り方で4種類を提供。
豆の特徴や淹れ方など気軽に相談してほしいと、田中さんは話します
コーヒーに合わせた自家製スイーツを時季に応じて出しており、伺った日はチーズケーキやバナナブレッドなどがありました。
迷いつつバナナブレッドを頼んで、コーヒーはお任せ。出してもらったマンデリンはフルーティーな酸味と甘みのバランスが絶妙、バナナの甘さとすっきりマッチします。飲んだ後も心地よい余韻の残る一杯で、旅の思い出をきちんと収納できたような気分でした。
単一農園で採れた、シングルオリジン※と呼ばれる豆を提供。店内で焙煎されたコーヒー豆も購入できる
※編集部注釈:様々な農園で採れたコーヒー豆を混ぜるのではなく、ひとつの農園で収穫したコーヒー豆のこと。
盛岡駅へ戻る途中、夕顔瀬橋から眺める岩手山の風景も旅のお土産に
最後は、新幹線内で岩手の味を満喫
そろそろ旅も終盤。盛岡駅構内には、地元食材を使ったお弁当がいろいろ並んでいます。帰りの新幹線でも、岩手の味を楽しんでいただけたらうれしいです。
盛岡駅ビル「フェザンおでんせ館1階」で見つけた、地元の魚屋さんが作った「もりおか西京漬け御膳」。岩手県産米「銀河のしずく」を使ったいくらごはんなど、岩手ならではの味がギュッと詰まっています。
そして、帰ってからのお楽しみに。盛岡には日本酒やワインなど地酒もいろいろありますが、地元のブルワリー「ベアレン醸造所」のビールも味わい深くておすすめです。
ベアレンビールクラシック(左)と、県産リンゴを使った女性に人気のドライサイダー
さて、盛岡の街あるきスポットを駆け足で紹介しましたが、バスはもちろん、徒歩でも充分に巡ることができる盛岡。派手ではないけれど、心安らぐ場所がいっぱいなので、1泊2日でゆったりと楽しんでほしいものです。では、また!
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