甘味中華? 洋食中華!? 町中華探検隊が名店50軒を徹底取材!
今回ご紹介するのは『町中華探検隊がゆく!』なる一冊。「町中華」とは、主に昭和のころに創業し、高度経済成長期~バブル期にかけて続々と増えた町の大衆的な中華食堂のことを指すのだそうです。そう聞くと「ああいうタイプのお店か!」とパッと脳裏に思い浮かぶ人も多いのでは?
本書はこれまで数多くの町中華を訪ねてきた、北尾トロさんを隊長とする「町中華探検隊」の隊員5名が東京の名店50軒を徹底取材し、知られざる「町中華」の物語に迫った内容になっています。
町中華というと、本場の中国料理店とは異なり、中華以外のメニューが並ぶこともしばしば。むしろそれこそが魅力のひとつといえましょう。本書にはそうしたユニークな店が次々に出てきます。
たとえば1章の「町中華の面白さを知る」には「甘味中華・洋食中華」なんていうカテゴリが。新御徒町の「今むら」にはラーメンやチャーハン以外にカツ丼や海老フライなどのメニューもあり、しかもお店の看板には「とんかつ」と銘打ってあるのだそう! 春日にある「ゑちごや」はタンメンや中華丼のほか、カレーライスやカツ丼、目玉焼き定食、そしてあんみつやしることいった甘味メニューもあるというから驚きです。
2章の「町中華密集地帯を歩く」では荻窪、浅草橋、堀切菖蒲園という3か所を特集。お店の紹介とともに、なぜその土地が町中華のメッカとなったのかやエリアごとの町中華の特徴などにもふれており、ぶらぶら街歩きをしながらお店をはしごしたい気持ちにさせられます。
続く3章「町中華のメニューを研究する」では、中華丼に冷やし中華、餃子、タンメン、チャーハンなどが実においしそうな写真とともに登場。「中華丼は町中華の実力のバロメーター」や「素材そのものが何よりの調味料」など、各店の定番メニューの魅力がとことん語られています。本書にはお店のご主人への取材が数多く収められていますが、店主の人柄やこだわりなどを垣間見ることができるのも大きな魅力です。
最後の4章は「町中華をディープに楽しむ」として、立地や建築、店主の趣味など独特のディープな視点から選んだ町中華が紹介されています。たとえば三河島にある「すずき」は、店内に4つあるテーブル席はどれも1人席という非常にユニークなレイアウト。これはどの位置からもちゃんとテレビが見えるという計算され尽くした角度になっている、おひとりさま優先のお店なのだとか。ほかにも手書きメニューがお店をさらに味わい深いものにしている椎名町の「十八番」や豊洲の大型団地の一階にある「中華いちむら」など、ベテランの町中華好きにも納得のお店が並んでいます。
こうして見てみると、いちおう定義らしきものはあるものの、その中身はとても自由で奥が深い「町中華」。探検隊のメンバー自体も、店の歴史にこだわる人やコスパ追及派、店主の人柄重視など、探索ポイントはさまざまだといいます。
であれば、私たちも肩ひじ張らずに、自分の好きなスタイルで町中華を楽しむのがいちばん。チェーン店とは異なる独自の進化を遂げてきた「町中華」の魅力に、もっともっと気軽に皆さんも親しんでみてはいかがでしょうか。読んだ後は近所の町中華にふらりと訪れたくなる、そんな食の楽しさを刺激してくれる一冊になっています。
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