宿題はロボットにお任せの小中学生たち。保護者は困惑(中華IT最新事情)
今回はtamakinoさんのブログ『中華IT最新事情』からご寄稿いただきました。
宿題はロボットにお任せの小中学生たち。保護者は困惑(中華IT最新事情)
文字を自分の筆跡で書いてくれるロボットが、小中学生の間で広まっている。書き取りの宿題をロボットにやらせるためだ。保護者たちは困惑をしているが、宿題のあり方を議論する保護者もいると捜狐*1 が報じた。
*1:「熊孩子写作业用上了“黑科技”,家长怒了! 」『搜狐』
http://www.sohu.com/a/295330338_766215
書き取りをしてくれる宿題ロボットが1万3000円
中国は2月に旧正月を祝う春節があり、この期間は小中学校も冬休みとなる。しかし、その間に大量の宿題が出される。
黒竜江省ハルピン市の張さんは、2月13日に小学校3年生の娘の宿題に奇妙な点を感じた。国語の教科書の本文を書き取りするというかなり手間のかかる宿題であるのに、わずか2日で仕上げてしまったのだ。しかも、ものすごくきれいな字で書いてあり、誤字脱字もなく、間違いを直した跡すらなかった。字の間隔もきちんと揃っており、張さんは、なんて一生懸命宿題に励んだのだろうかと感激をした。
翌日、張さんが娘の部屋の掃除をしていると、見慣れない箱を見つけた。そこには「書き取り神器」と書いてあり、説明には「どんな筆跡も真似て書くロボットです」と書いてある。
娘を問い詰めると、旧正月に親戚などからもらったお年玉で、ネットのECサイトで800元(約1万3000円)で買ったという。しかも、冬休みの宿題に間に合わないので、30元を追加して、お急ぎお届け便の指定までしていた。
▲宿題ロボットにペンをセットし、ノートを置くと、そこに文字を書いてくれる。行間、行幅などはPCから調整をする。
▲ECサイトで販売されているさまざまな宿題ロボット。ほとんどが使用者の筆跡まで再現するという高性能ぶりだ。
使用者の字の癖まで再現する高性能ぶり
張さんは、それでもまだ気がついていなかった。こんなおもちゃのようなもので、書き取りの宿題ができるということが信じられなかったのだ。娘は、困惑する張さんに実演をして見せた。
専用のアンドロイドスマホアプリをダウンロードして、そこに指定された文字をいくつか指で書くか、紙に書いた字をカメラで読み取る。これだけで、その人の筆跡が分析される。
あとは、パソコンから付属ソフトウェアに、書く文章のワード書類を読みこます。教科書のテキストデータはネットから拾ったという。その後、ソフトウェアで、文字の大きさ、間隔などを調整して、ロボットをスタートさせると、1分間に30文字から40文字の速度で文字を書いていってくれる。
その間、娘はおやつを食べながら、ゲームに勤しんでいたという。
▲PCの設定画面。文字間、行間など細かく指定できる。字体も選べるものが多い。
▲素晴らしいことに、表組みもできるようになっている。
利用者からのFAQは「先生にばれませんか?」
このような宿題ロボットは、ECサイトで多数販売されていて、価格は400元(約6600円)から1200元(約1万9000円)ぐらいまでさまざまだ。
この宿題ロボットを販売しているある業者によると、最も問い合わせが多いのが中学生であるという。しかも、「先生にばれませんか?」という質問が多いという。このロボットは筆跡を真似るので、一見手書きと区別がつかないが、同じ文字が何回も登場すると、それは寸分違わず同じ筆跡になる。そこがわかっている教師は簡単にロボットを使ったことを見抜いてしまう。そう説明しているという。
▲実際に宿題ロボットで書いた文章。手書きにしか見えないが、同じ文字が同じ筆跡であるため、先生にはばれてしまう危険性があるという。
保護者の間で起きる賛否両論
この宿題ロボットは、小学生と中学生の間でかなり売れており、ヒット商品になっている。保護者たちは困惑をし、議論が起きている。最も多いのは、このようなものは販売規制すべきだという意見だが、宿題ロボットを擁護する声もある。それは、この時代になってまで、手で大量の文字を書かせるという宿題のあり方がどうなのかという問題だ。もっと、思考させたり、体験させたり、表現させたりする宿題を出すべきなのではないかという意見もある。小学生でもこの宿題ロボットを使いこなす生徒も多く、その能力を賞賛する保護者もいる。
しかし、やはり多くの保護者が、このような商品は好ましくないと考えているようで、各ECサイトに販売を自粛するように求めている。現在のところ、それに応じたECサイトはまだないようだ。
▲最も売れている熊仔科技の宿題ロボット。字だけでなく、絵も描いてくれる。
執筆: この記事はtamakinoさんのブログ『中華IT最新事情』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年3月28日時点のものです。
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