「デュアラー」って何? トークイベントに参加してみた
3月7日(木) 、SUUMO(リクルート住まいカンパニー)による「実践者に学ぶ! 二拠点生活のリアルを語り合う会」が開催されるということで、取材半分&個人的興味半分で参加してみました。前半は実際にデュアルライフ実践者2人によるリアルなトーク、後半は実際のサービスの紹介がされました。
ちなみに、「デュアル」というのは「DUAL=二重の、二通りの」という意味。「デュアラー」というのは、デュアルライフを実践する人。住まい領域でいえば、「都心と田舎の2拠点で生活する人」のことだそう。
今回のトークイベントに登場したのは2人のデュアラー。
3歳の息子をもつワーキングマザーの古後紘子さんと、千葉の流山市と南房総市の二拠点生活を送る現役ビジネスマンの成田剛史さんです。
Case1 自然ならではアクティビティを満喫。子育てデュアラー
今回のトークゲスト、八ヶ岳(蓼科)で家族で週末を過ごす古後紘子さん(写真撮影/飯田照明)
古後さん
「マウンテンバイクで山の中を走りたいと言う夫が、“いちいち自転車を運ぶのは面倒”、“東京の部屋に自転車を置くスペースはない”という理由で、蓼科のアパートを借りました。今は、平日は港区の賃貸マンションで暮らしつつ、家族3人で月に1~2回の頻度で蓼科に。“都会の子育てだけでは得られない経験を”と、夏はマウンテンバイク、登山、バーベキュー。冬はスノーボードと、アクティブに楽しんでいます。 息子くん、3歳にして自転車で山の中を走り抜けています(筆者の息子が自転車に乗れたのは6歳だったことを考えると、凄すぎ! (写真撮影/古後さん) 夏は登山、キャンプやバーベキューなどアクティビティいろいろ(写真撮影/古後さん)冬はスノーボードに挑戦(写真撮影/古後さん)
古後さん
「借りているのは、18平米のワンルーム。家賃は駐車場込みで2万円。狭いけれど、1日のほとんどは、アウトドアで外出しているので、アパートは基本寝るだけと考えれば問題ありません。お風呂は近くに広~い温泉があるので、ユニットバスは使わず、収納スペースに。ガスは使わないから契約もしておらず、光熱費が浮きます。それに狭い集合住宅なので、別荘に比べると暖房費も低く抑えられるのもメリットですね」蓼科のアパート。お風呂のユニットバスはふたをして上も下も収納スペースに(写真撮影/飯田照明)
古後さん
「車は蓼科でしか乗らないため、蓼科に置き、都内から蓼科(最寄駅は茅野駅) までは電車移動で約2時間半。車のほうが渋滞で時間がかかるうえ、行き帰りの運転でヘトヘトに。電車なら車内に乗ったときから、ワクワクした気持ちになれます。交通費もJRの特別急行あずさの回数券を利用すれば、片道約4000円ですみます」
確かに、家族で週末に旅行すると、ホテル代だけで1泊2万円オーバー。2連泊すると4万円以上することを考えると、別拠点を持つことも、ぐっとリアルティを増してきます。 夏休みやゴールデンウィークなら宿泊料金はかなり高額になるので、なおさら。賃貸なら、「事情が変われば辞める」という選択も簡単です。
Case2 南房総で週末DIYを楽しむデュアラー
もう一人のトークゲスト、南房総で週末をDIY中心に楽しむ成田剛史さん(写真撮影/飯田照明)
成田さん
「8年前に南房総にある600坪の古民家を購入しました。最初は家族で過ごしていましたが、現在は1人で、ほぼ毎週、仕事終わりの金曜日から南房総に通っています。何をしているかというと、DIYですね。DIYって1人でやるより、みんなでやるほうがすごくはかどるんですよ。同じデュアラー仲間や地元住民などにも手伝ってもらいながら、反省会、懇談会と称し、飲み会もしょっちゅうやっています(笑)。 仲間が加わり、DIYが形に。東京の友人を呼ぶこともあるそう(写真撮影/成田さん)DIY仲間、地元の人たちとの宴会の様子。確かに楽しそう! (写真撮影/成田さん)
成田さん
「街のイベントに参加しているうちに、自然とDIY仲間ができました。東京では基本、会社や肩書ありきの会話が始まりますが、南房総ではまったく関係ない。その人のキャラクターとか、何ができるかのほうが大事です。例えばDIYでチェンソーをうまく使えるかとか、力仕事は苦手だけど、酒のつまみをつくるのは得意だよ、とか。そういう丸裸の人間関係って、やっぱりすごく貴重だなと思うんです。ビジネスの場面では、どうしても人は営業成績などの“成果”といった面で評価されがちです。でも人ってそれだけじゃないですから」
「旅行と二拠点生活は何が違うのか」の答え
確かに楽しそうなデュアルライフ。でも、
「同じ拠点に通い続けるより、旅行のほうがいろんなところに行けて楽しくないですか?」
「旅行も新鮮な非日常で楽しいですけど、張り切っていろんなことを盛り込んで、疲れる側面もあるでしょう。下調べしたり、知らないことで不安になったり、時にはストレスもあるわけです。でも二拠点生活における2つ目の拠点は、非日常ではなくてあくまでも家。自然に囲まれた生活を、日常の一部とする二拠点生活はリラックスできるし、愛着もわく。旅行のリフレッシュ部分だけ味わえるような感覚なんです」古後さんの旅行とデュアルライフの解説に会場も納得(写真撮影/飯田照明)
正直、二拠点生活のデメリットはある。でもまず体験してみる
古後さん
「冬は本当に厳しい。その代わり、ウインタースポーツが楽しめますけど。二拠点居住をするなら、まずは1年通して経験してからの方がいいですね。あと、土日を丸々遊びに使ってしまうので、週末にまとめて家事ができないというのは、共働きのハードルにはなりやすいかも」
成田さん
「意外と交通費がかかることですね。元々ワンボックスカーで、気ままに日本全国旅するのが趣味。そのときは、普通の一般道路でぶらりぶらり行きましたけど、今は、少しでも早く南房総の家に行きたいので、高速を使う。ガソリン代も含めると、月4回で3万円弱。これは想定外でした」
成田さんは、第二の拠点である南房総の古民家は購入していますが、実際に「購入」となるとハードルが高いのも事実。そんな中、印象的だったのが、成田さんが二拠点目を持つに至った、きっかけ。それが8年前の3.11でした。
「いずれは、自然豊かな場所に別邸を持ちたいと考えて、いろいろ探してはいたんです。でも結局、先送りのままになっていたときに起きたのが、2011年、東日本大震災でした。ボランティアに行った際、倒壊した家、家財道具、がれきの山、途方に暮れる人たちが立ち尽くす光景を目の当たりにして、何が起きてもおかしくない。時間は限られていると痛感しました。いつも仕事では、“時間は有限だ”と言いながら、時間を無駄に使っていたなと思い、それからは別宅探しにギアがかかったんです。私は購入しましたが、最初はシェアハウスや民泊といった形で始めるのも手だと思います。今はそういうサービスも多様化していますから」
デュアルライフをサポートする団体も。具体的に行動を起こす一歩に
2人のイベント後は、こうしたデュアルライフをサポートしてくれる団体の方々が壇上に上がり、さまざまな取り組みを紹介。まずは地域のことを知ってもらおうと、旅行気分で地元の人や先輩デュアラーや移住者と交流できるイベントがあったり、今回のトークイベントのような東京都心の情報発信地もあったりと、興味をもつきっかけになりそう。ほかにも、リゾート・別荘専門サイトや、地方に生活の基盤をもつデュアラーのための定額でホステル泊まり放題のサービスなども。デュアルライフは思っていた以上にぐっと身近になっているようです。 4つのサービス提供団体の代表が取り組みを紹介。まずはイベントに参加するのもアリ(写真撮影/飯田照明)左/Little Japan代表取締役 柚木 理雄氏さん
地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」をはじめ月1.5万円~のホステルパスで全国のホステルに泊まり放題になる「Hostel Life」など人の移動を つくるサービスを運営
右/「ヤマナハウス」主宰 永森 昌志さん
南房総で古民家と里山をシェアして里山生活を楽しむ「ヤマナハウス」を主宰。自身が共同経営している新宿のシェアオフィス兼イベントスペースでも定期的に南房総のイベントや情報発信を行う(写真撮影/飯田照明)左/Dialogue with代表 中村 一浩さん
「小布施インキュベーションキャンプ」等の活動のほか、長野県小布施町で古民家を活用した小栗八平衛商店を運営。地域のイベントを通し、暮らす人、訪れた人がつながるコミュニティの場を提供している
右/リゾートノート取締役 唐品 知浩氏さん
全国の別荘やリゾートマンションを専門的に扱う唯一の不動産ポータルサイト「別荘リゾートネット」を運営。高級別荘だけでなく、誰でもが別荘を持てる世の中を目指す(写真撮影/飯田照明)
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2019/03/163177_miann.jpg
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