デュアルライフの2拠点目はコスト重視。半数近くがなんらかの運用も
2拠点生活を指す「デュアルライフ」を実践する“デュアラー”に対して、リクルート住まいカンパニーが調査したところ、2拠点目の住まいをなにがしかの方法で運用していることが分かった。デュアルライフ実施者の実態を詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態調査」を公表/リクルート住まいカンパニー
増えつつある「デュアルライフ」への関心や実施意向
「デュアルライフ」という言葉、まだ聞きなれないという人もいるだろうが、徐々に増えつつある新しい暮らし方だ。2019年のトレンド予測として、リクルート住まいカンパニーがキーワードとして「デュアラー」を挙げている。(詳しくは、筆者の記事「2019年トレンド予測、住まいは『デュアラー』リクルートホールディングスが発表」を参照)
今回の調査では、デュアルライフを現在実施している人は、全体の1.3%とわずかだったが、今後したいと考える意向者は14.0%だった。
別の調査でも見てみよう。ジャパンネット銀行がミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代)とその親世代を対象に実施した「住まいと暮らし」に関する意識・実態調査で、「新しい住まい方・暮らし方」のひとつとして、デュアルライフへの興味・関心を聞いている。
その結果、興味・関心を持ったのは、ミレニアル世代で22%、その親世代で13%が興味・関心があると回答している。特に若い層で関心が高いことがうかがえる。
■「デュアルライフ」(2つの地域に拠点をもった生活 ※都市と田舎、国内と海外など)
ミレニアル世代…22% >親世代…13%
折しも、リクルート住まいカンパニー主催による「2拠点生活のリアルを語り合う会」が、渋谷区恵比寿で開催された。実施している人やサポートしている人がパネラーとして登壇したのだが、多くの報道陣を始めデュアルライフに関心のある一般の人たちが40人ほど参加する、盛況な会となっていた。「2拠点生活のリアルを語り合う会」の様子(撮影:住宅ジャーナリスト/山本久美子)
一般的な若い世代が都市部から2時間圏内で行ったり来たりの生活
新しい暮らし方として注目されつつあるデュアルライフだが、その実態はどういったものなのだろう?
デュアルライフを実施している人に調査した、今回の調査結果を見ると、20~30代、世帯年収800万円未満が5割を超えた。一般的な若い世代が2拠点での生活を実施していることになる。デュアルライフ実施者の属性(デュアルライフ実施者(1都3県+2府1県)/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「『デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態』調査」)
2拠点目の住まいへの移動時間(単一回答)は「1時間以上~1時間30分未満」(22.2%)と「1時間30分以上~2時間未満」(19.7%)で約4割を占め、その移動手段(複数回答)としては 「電車」(68.9%)、「自家用車」(57.2%)が特に高くなっている。都市部の1拠点目から、片道2時間程度(平均124分)で電車や車で行ける場所に2拠点目を持っていることがうかがえる。
2拠点目での滞在日数は、平均90日(3ヶ月)。おおよそ一年の4分の1を2拠点目で、4分の3は1拠点目で過ごしているわけだ。
2拠点目はコスト面を重視。半数近くが共同で使用、友人等に賃貸などの運用
では、2拠点目の住まいは、どのように選んでいるのだろう?
持ち家の割合は約61%、賃貸は約35%で、どちらにもシェアハウスが含まれる。賃貸ではマンスリーやウィークリー、その他では宿泊施設なども含まれ、必ずしも常時住まいを固定しているとは限らないようだ。2拠点目の住居形態(デュアルライフ実施者(1都3県+2府1県)/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「『デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態』調査」)
2拠点目の住まいを選ぶ重視ポイントとしては、「維持費(月間・年間の費用)が安く抑えられる」(25.9%)、「自分の好みに合った間取りや仕様の住宅であること」(20.2%)、「初期コストを安く抑えられる」(19.9%)と、コスト面をかなり意識していることが分かる。
そして興味深いのは、不在時の2拠点目の住まいをなにがしか運用している点だ。「共同で使用している」、「賃貸物件・レンタルスペースとして貸し出している」、「友人等に貸し出している」など、なんらかの形で不在時に活用している人が全体の46.1%もいたという。本人不在時の、2拠点目の運用状況(2拠点目運用実施者(1都3県+2府1県) /複数回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「『デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態』調査」)
デュアルライフが一般の若い世代にまで広がっている背景に、住まいの多様化などがあるだろう。都市部の住宅価格が高額化する一方、地方の住宅は購入でも賃貸でも低額化している。都市部の駐車場代で地方の狭い賃貸が借りられる場合もある。加えて、シェアハウスや民泊などの新しい形態も登場し、豊かな自然、趣味に没頭できる空間を手に入れる場所を得やすくなっている。
そうしてデュアルライフを実施したことで、「心にゆとりができた」(36.8%)、「趣味が充実した」(31.4%)、「オンオフの切り替えがよりできるようになった」(28.2%)、「新しいことに挑戦する機会ができた」(26.2%)といった変化(複数回答)があったという調査結果になっている。
今後は働き方も変わっていく。それに伴い、1地域1拠点にとらわれない暮らし方が、ますます広がっていくことだろう。
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