人間の手のように柔らかく人間が学ぶようにAIが動かし方を学習するロボットハンドが登場

これまでのロボットハンドというと、金属質で「ガシャンガシャン」とぎこちない擬音が聞こえてきそうなものばかりだったが、ついに素材も動きも“次世代”を感じられるロボットハンドが登場してきた。ドイツに本拠地を置く大手空気圧機器メーカー・FESTOが開発中の“バイオニックソフトハンド”の自然な手の動きをご覧あれ。

動画:Festo – BionicSoftHand(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=5e0F14IRxVc&feature=em-uploademail[リンク]

バイオニックソフトハンドには骨格はなく、空気を通すゴム状の蛇腹の管を弾性のある高強度な繊維とシリコンの皮膚で覆った構造をしている。給気・排気を精密に制御する圧電バルブを通して蛇腹管に空気を送り込み関節を動かす。関節と指先のセンサーで“触覚”も伝える。

産業用ロボットアームに動作を覚えさせる“ティーチング”の現場では、AIが試行錯誤しながら効率的な動作を習得していくということは既に行われているが、バイオニックソフトハンドのAI学習はそれをさらに進めたものになるようだ。

バイオニックソフトハンドの学習は仮想空間上で行われる。例えば、バイオニックソフトハンドの広げた手の上に正12面体を載せ、指で12面体を転がして黒い面が上を向くように動かすという目標を与えるとする。この時、まずカメラとセンサーで手・指と12面体の位置を正確に検出し、コンピュータ上にそれとそっくり同じ3Dモデルを構築する。この3Dモデルを(どの指をどれだけ動かすといった具体的な指示なしに)動かして何千何万通りものシミュレーションを行った上で得られた“正解”をバイオニックソフトハンドにフィードバックして実際に動かす。このようにして一度学んだ動作を無限に共有し、世界規模で利用できるようにするという。これは恐らく我々人間が幼児期から無意識のうちに積み重ねてきた学習の仕方と同じであり、様々な動作を行わせるには一番の近道になるかもしれない。

12面体をコロコロする時の指先の動きは非常に滑らかで、数年後にはペン回しとか『ルービックキューブ』を解いたりしていそうな説得力のある動きに見える。手首辺りから漂う“ルークの義手”っぽさもたまらない。

画像とソース引用:『YouTube』及びFESTO公式サイトより
https://www.festo.com/group/en/cms/13508.htm#[リンク]

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