カリスマ経営者が大事にする成功の秘訣は“3つ”ー「スキル」「ミッション」そして…?ーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス
『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー(→)。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』です。
『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】
こんにちは。俣野成敏です。
名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものもあります。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい奥深い一言をピックアップして解説します。
©三田紀房/コルク
【本日の一言】
「1人の人間の信念は100万回の会議に優る」
(『インベスターZ』第6巻credit.46より)
大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。
「あなたは信念を持って仕事をしているか?」
学校の帰り道。財前が街中を歩いていると、以前、よく通っていたカメラ屋が閉店していたことに気がつきます。それを見て、一抹の寂しさを感じる財前。しかしそれとは逆に、街の小さなカメラ店から大企業に成長した会社もあります。例えば、テレビ通販でお馴染みのジャパネットたかたがそうです。
その違いに興味を持った財前は、ジャパネットたかたの創業者・高田明氏について調べます。高田氏は、もとは長崎県佐世保市にある小さなカメラ店の店主からスタートしました。氏が商売の極意を会得したのは、実家の家業を手伝っていた時のことです。当時、高田氏は観光地のホテルと提携して、宴会場で観光客の写真を撮っていました。氏はそこで「笑顔を撮ると、その写真はよく売れる」ことに気づきます。
以来、より多くの笑顔を撮るために会話術をマスター。その後、自身のカメラ店をオープンします。転機は、ラジオショッピングに出演した時のこと。氏が5分しゃべっただけで、約50台ものコンパクトカメラが売れたのです。同社はこれをきっかけに通販事業に参入し、現在に至っています。財前が調べてみて感じたのは、「成功するかどうかの違いは、実はごくわずかでしかない」ということ。その違いとは、「信念を持って商売をしているかどうか」なのでした。
商品を売れる人と、そうでない人との違いとは
そもそも通信販売とは、顧客に直接会うことなく商品を販売する形態です。通常、顧客の購買行動にはニーズとウォンツに分けられます。ニーズとは必要に応じて買う行為であり、毎日購入している消費財や食材などがそれに当たります。対するウォンツとは、顧客が普段、必要だとは意識していない潜在需要のことを言います。
ウォンツの場合、買ってもらうためには、先に顧客に「欲しい」と思ってもらう必要があります。例えばコピー機を販売するために、子どもと一緒に写った写真をA4サイズに引き伸ばして見せ、「見てください!この大きさにコピーしてもこんなにきれいです!」と実演して見せます。ICレコーダーを販売する時も、従来の議事録用としてだけでなく、「家族との心のこもったメッセージのやりとりに」と提案します。
このように、「顧客に実際に使っているシーンを想起させることができるかどうか?」で、売上に大きな差が生まれるのです。
顧客に良さを実感していただくことの大切さ
これに関して、私の事例をお話しましょう。私は現在、金融の専門家とともに一般社団法人日本IFP協会公認マネースクールを共同運営しています。以前、私たちはマネースクールで学べる20時間分の知識を2.5時間のセミナーに短縮して、「こんなことが学べます」と当スクールを紹介していました。しかしこれだと知識を詰め込みすぎて、受講した方が内容を理解できるまでに時間がかかりました。
私たちのマネースクールでは、ただ単にお金の知識をお伝えするだけでなく、受講生1人1人の方の状況に合わせた最適のマネープランを作成・ご提供しています。そこで、紹介セミナーの際に、手を挙げていただいた方のマネープランをその場で作成し、たった今から改善できる点をアドバイスすることにしました。
紹介セミナーを現在の形にしてからというもの、受講アンケートの満足度も高くなり、ご加入いただける方も随分と増えました。それは「ここで学べば自分なりのマネープランを描き、それを実現するイメージがつく」ことをご実感いただけるようになったからなのだと考えています。
©三田紀房/コルク
「大事なのは熱意」
ジャパネットたかたの話に戻りますと、高田氏は、かつてインタビューに答えてこのように述べています。「相手に伝わるしゃべりには、スキルとマインド、そしてミッションの3要素が不可欠です。中でもマインドはパッション(情熱)と置き換えてもいいくらい、本当に大切な要素です」と。
高田氏に直接会った人が驚くのは、普段はテレビの時よりもずっと低い声で話される、ということです。商品を説明する時になると、「何とかしてこの商品の素晴らしさをお客様に伝えたい」という思いでテンションが高くなるために、あの独特の声になる、というのです。
一般に、情報とはメディアを通してしまうと、間にさまざまな意図や憶測を含んでしまうものですが、それにも勝る信念があれば、必ず相手に伝わる、ということなのです。
マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス 第36回
俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』および『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は42万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。
俣野成敏 公式サイト
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