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「古典は本当に必要なのか」討論会へ行ってきた(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)

「古典は本当に必要なのか」討論会へ行ってきた

今回はDainさんのブログ『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』からご寄稿いただきました。

「古典は本当に必要なのか」討論会へ行ってきた(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)

「古典は本当に必要なのか」討論会

 古典不要派と必要派がガチで議論するシンポジウム「古典は本当に必要なのか」を見てきた。パネリストの紹介は[「古典は本当に必要なのか」シンポジウム*1 ]で、youtube や twitterまとめ([第一部]*2 、[第二部]*3 )で見ることができる。

*1:「「古典は本当に必要なのか」討論会」『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2019/01/post-6f56.html

*2:「古典は本当に必要なのか?第一部(前半)のツィート」『togetter』
https://togetter.com/li/1308755

*3:「古典は本当に必要なのか?第二部ツィートまとめ」『togetter』
https://togetter.com/li/1308807


「古典は本当に必要なのか(明星大学日本文化学科シンポジウム20190114)」『YouTube』
https://www.youtube.com/watch?v=_P6Yx5rp9IU

3行でまとめる+問題の本質

 長いので3行でまとめる。「高校の古典(古文・漢文)は必要か?」という議題に対し、

・不要派:古典は選択科目にして論理国語に注力すべき。あと現代語訳でおk
・必要派:幸せに生きるための古典は原文も一緒でないと
・会場の声:必要派が優勢だが、現場では現代語で教えてるのが実情

 そして、この問題の本質は次の通り。「古典は必要か?」と問われれば、必要に決まっている。問題なのは、どれくらい必要なのか? と問われていることに気づいていないことである。

 そして、もっと厄介なのは、「これくらい必要」の「これくらい」は何を根拠にそう言えるのかを、示せていないこと。なぜなら、高校の有限なカリキュラムにおいて、他の「必要な」教科単元をさしおいて、古典が必要な「程度」を示すことが求められているから。センター試験国語200点のうち、古文50点、漢文50点である根拠と言い直してもいい。

ショートコント「ニュートン力学不要論」

 これ、古典必要派は、ピンとこないかも。

 会場に集まった人たちは、国語教育に所縁のある方が多かったせいか、古典肯定派がメインだった。問題の本質が見えてなさそうなので、前哨戦で見かけた、「ニュートン力学不要論」の回答を紹介しよう。岡目八目ともいうから、問題の深刻度が見るかもしれない。

問)古典不要というなら、現代物理学(相対論・量子力学)を学ぶ上で、古典物理学(ニュートン力学)は、不要ではないか? 絶対的な時空間を前提とし、光と重力の関係を無視しているニュートン力学は、相対論とは真逆の前提で、現代物理学を学ぶ上で、阻害となっているから。

答)ニュートン力学は、物理学の基礎であるため必要。古典物理学を不要という人は、そもそも古典物理学をちゃんと学んでいない人なのだろう。古典物理学をきちんと学べば、その重要性は自ずと理解できる。

 もちろん、ニュートン力学は高校で必須である。量子力学が一般化する20年後ならともかく、「基礎だから必要だ」がまだ通る。だが、真の問題は、古文・漢文の必要派は、こんな回答をしていなかったか、にある。「君は古典を(ちゃんと)知らないから、その重要性が分からないのだ」は答えになっていない。こんなコントみたいな理屈を主張してこなかっただろうか?

 まともな答えの一つは、ニュートン力学と高校数学(微積分、線形代数、ベクトル)の関連性を示し、そうした数学を元に現代物理学も成り立っていることを示すことだろう。ニュートン力学は独立した「単元の一つ」ではなく、数学や天文学、そして現代物理学との結びつきの上に成り立っているのだから、それだけ切り離せるものでもない。

 こうした答えを、古典必要派はしてきただろうか? 不勉強なわたしは、「まともな答え」を聞けるものだとワクワクしながら会場へ向かった。

箇条書き400字ぐらいでまとめる

 古典不要派の主張をまとめると、次の通り。「不要」といっても、失くしてしまえと息巻いているわけではなく、他に学ぶべきものとの優先度に応じるため、選択にしたらと提案しているとこがポイントだ。

・高校生の時間は有限であり、そこで学ぶべきことは多種大量にあるため、取捨選択が必要
・何をもって選択するか? 国益や個人の収入UPという価値観で評価すべき
・その判断からすると、古典の優先度は下がるため、必須から選択にすべき
・反対に古典よりも、論理国語(企画、プレゼン、議論)を厚くすべき
・選択古典も、原文よりも現代語の方が効率がよい
・古典は、年功序列や男女差別を刷り込むツールとして有害な一面もあり
・教科とその学習量について、既得権と縦割りをバラして、最適化する必要あり

 いっぽう必要派の主張は、こんな感じ。徒然草の解説や、理系vs文系という対立構造では読み解けない江戸時代の医学書の話など、興味深いトピックが紹介された。

・古典は幸せに生きるための知恵を授けるもの
・古典への社会的敬意が低下しているからこそ、学校教育でその魅力を伝える必要あり
・例として、徒然草の紹介、連歌を用いた授業活動の提案
・近世の文献で翻訳されていない文献が多く、これらを解読して後世に残すのは納税者への責務
・古典を通じた文化交流もある

 つまり、噛み合っていないのだ。

 古典の重要性がどの程度かを判断するにあたり、経済性や実用性、コスパという観点から見る不要派と、人間形成や感性、教養といった観点から見る必要派という構図だ。そして、お互いに言いたいことを言い合って終わっている。

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