アニメ監督 富野由悠季の展覧会 『アトム』から『ガンダム Gレコ』まで

アニメ監督 富野由悠季の展覧会 『アトム』から『ガンダム Gレコ』まで
富野由悠季の世界/画像は公式サイトより
『機動戦士ガンダム』で知られるアニメ監督・富野由悠季さんの55年間にわたるキャリアを振り返る展覧会「富野由悠季の世界」が、6月から福岡市美術館をはじめ全国6箇所で開催される。

6月22日(土)の福岡を皮切りに、年内に兵庫、2020年に島根、青森、富山、静岡を巡回する。

公式サイトでは、展覧会の開催に向けて富野さんのコメントを掲載。『鉄腕アトム』や初監督作品『海のトリトン』、そして出世作となった『機動戦士ガンダム』を経て、最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』と、自身のキャリアを振り返っている。

同時に、最初は「『展示するものなどはないのだからやめたほうがいい』と何度も伝えました」ということだが、徐々に「『トミノは巨大ロボットを動かすだけではないという部分を記録してみたい』と思うようになりました」と説明。

「映像作家を目指す諸君には、ここから独自の道筋をお考えいただければ、と心から願うのです」と、開催の経緯やキャリアに対する考えを語っている。

展覧会「富野由悠季の世界」によせて
「概念の展示」は不可能なのだが……

この展覧会の企画について、美術館の学芸員の方々からご提案をいただいたときには、嬉しかった反面、「展示するものなどはないのだからやめたほうがいい」と何度も伝えました。「演出」という仕事は、感覚的な仕事であると同時に、たいへん観念的な作業で、「概念(考え方)を示すことができる仕事」なのです。つまり、この一行半を展示で説明することはできないのです。しかし、美術館の学芸員の方々は、みなさん方がとても熱心で、ぼくの言うことを聞いてくれませんでした。(笑)

そして、彼らと話し合いをするうちに、「トミノは巨大ロボットを動かすだけではないという部分を記録してみたい」と思うようになりました。

それで、子供のころから学生時代までの記録を見直してみて、記憶の通りでありながらも、結局は、当時ただひとつ好きだった連載漫画『鉄腕アトム』に引っ張られながらも、アメリカのSF映画群から「映画的なるもの」に触発され、好きでもなかったアニメの世界に入ってしまったのです。しかも手塚治虫主宰のプロダクションに就職したのですから、たいへん幅の狭い道でした。

しかし、中高時代は漫画離れをして、ペン画や短編小説を試作し、大学時代は学生運動というほどのものではないにしても世間を覗くことができて、その結果、テレビ漫画『鉄腕アトム』の演出の仕事にはいり、それから、初監督作品『海のトリトン』から始まって、出世作となった『機動戦士ガンダム』を経て、『ガンダムGのレコンギスタ』まで55年間。

仕事を成立させるために、先に思い(観念的なこと)を吐き出してしまい、そのあと付けを考えるということを繰り返してきました。それは基礎学力のない情けないキャリアで辟易するのですが、しかしながら、「アニメは映画だ」というコンセプトだけは振り回してきたつもりです。

そのことは何なのだ!? その説明はとても不可能なのですが、「映画というのはただ動く絵の陳列ではないんだよ」ということを知っていただきたい、もっと素敵で強固な媒体なのだ、ということを想像していただきたいのです。そのために、今回のような形で恥を晒してみせましたので、映像作家を目指す諸君には、ここから独自の道筋をお考えいただければ、と心から願うのです。 富野由悠季さんコメント/公式サイトより

『機動戦士ガンダム』の生みの親 富野由悠季

富野由悠季さんは1941年、神奈川県小田原生まれ。日本大学芸術学部映画学科を卒業後、1964年に虫プロダクションへ入社。

手塚治虫さんの『鉄腕アトム』の脚本・演出を手がけたあとフリーに。『海のトリトン』で初監督をつとめて以降、テレビアニメの原作・総監督として『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』など、数多くの名作を生み出した。

最新の監督作として『ガンダム Gのレコンギスタ』のほか、斧谷稔や井荻麟などの別名義で絵コンテ・作詞も手がけている。

引用元

アニメ監督 富野由悠季の展覧会 『アトム』から『ガンダム Gレコ』まで

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