恐いけど聴いちゃう・・・ディストピア感あふれる名曲3選!!
ディストピアとはユートピア(理想郷)とは反対の社会を指す言葉。
SF映画や小説などで架空の世界を描いた作品の中には、ディストピアをモチーフにしたものも多く見られるのでSF好きな人ならお馴染みの言葉だと思うが、映画や小説だけではなく音楽の中にもディストピアの世界の雰囲気が漂う楽曲が存在する。
今日はそんなディストピア感あふれる名曲を3曲紹介したい。
「あなたもロボットになれる」/ 坂本慎太郎feat. かもめ児童合唱団
1曲目に紹介するのは、元ゆらゆら帝国のフロントマンとしても知られる坂本慎太郎の「あなたもロボットになれる feat.かもめ児童合唱団」だ。
南国チックな明るい曲調に子ども達の朗らかな歌声が耳に心地良い。坂本氏が自ら作画を担当したPVもポップなのでNHK「みんなのうた」で流れていてもなんの違和感もないように思える。
しかし、歌詞の内容が恐ろしい。要約すると「眉間にチップを埋めてロボットになろう!痛くないし、不安から解放されるよ!」という内容になっている。国家による行き過ぎた国民管理が進んだ未来の社会を想起させる。
眉間ではないが、スウェーデンでは手にマイクロチップを埋め込む人が増えているという。鉄道の乗車券や入退室管理に使われているようだが、この曲が描く未来もあり得ないものではないと思えてくる。この曲は7インチレコード及びiTunesの配信で販売されている。また、坂本氏がボーカルを務めたバージョン(こちらが元曲)は、2014年発売のアルバム「ナマで踊ろう」に収録されているのだが、このアルバムにはこの他にも「スーパーカルト誕生」「この世はもっと素敵なはず」などディストピア感あふれる名曲が多数収録されているので是非聞いてほしい。
「禁断の惑星」/TABOO1feat,志人
次に紹介するのはMC漢率いるヒップホップクルーMSC所属のラッパーTABOO1のソロ1stアルバム「LIFE STYLE MASTA」収録の「禁断の惑星 feat志人」。
TABOO1の淡々としたラップと志人の高速で畳みかけるようなラップが、SFアニメ映画「ファンタスティック・プラネット」をサンプリングしたビートに乗っかり神秘的だが少し不気味な雰囲気の楽曲になっている。
経済及び技術発展の末、核戦争により崩壊した未来の世界の様々な悲劇を描いた歌詞は私たち人類への警鐘にも感じられ、怖いながらも考えさせられる一曲。
2010年に発表になった曲なのだが、翌年発生する原発事故についても触れられており予言の曲ではないかと話題になった。歌の歌詞だと侮らず、人類の未来に実際に起こりうることだとしてしっかり聴いてほしい。
「THERAPY」/group_inou
最後に紹介するのは、2016年に活動休止した「group_inou」の中毒性の高い打ち込みのトラックが脳みそにこびりつく「THERAPY」(アルバム「_」収録)。
曲の世界観は一聴するとディストピア云々というよりもシュール。脳みそから染み出てきた言葉をそのまま歌にしているようだ。
曲の中では「自宅で簡単イルカセラピー」というフレーズが何度も登場するのだが、そもそも自宅でできるイルカセラピーとはなんなのかよくわからない。しかし、高度な頭脳を持つイルカ人類が陸に上がり、人類を洗脳しようとするために人間に化けて行っていることだとすれば合点はいく。そしてそんな世界はまさに、ディストピアである。
PVを制作しているのは映像制作ユニット「AC部」。クセが強い映像に定評があるAC部が作ったPVを見ながら曲を聞くとは中毒度が倍増。電子ドラッグ一歩手前だ。何時間も見続けていると本当に洗脳されてしまいそうだ。
このPVに登場する「イルカのイルカくん」は2018年11月にAC部の手によって絵本になっている。(タイトルは「イルカのイルカくん」)
(Written by 山崎健治)
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