ライター夏生さえりが妄想! 理想の間取りvol.1「付き合って3カ月の恋人たちが住む家編」
引越し予定の有無にかかわらず間取図を眺めては、「ああこんな家いいな」「ソファ置くならここでしょ」「え、何この間取り斬新だな?」「このスペース何置くの?」とあれこれ想像したことのある方はいませんか?
さらには「いやぁ惜しいなぁ。これでコンロ横に作業スペースがあれば完璧なのになぁ~」「あぁ~この謎の仕切りがなければパーフェクトルーム!」などと、実際に住むわけでもないのに偉そうに難癖をつけている人はいませんか?
ええ、そうです。わたしのことですね。はいみなさんこんにちは、ライターの夏生さえりです。
今回はSUUMOジャーナルさんにて「理想の間取りと暮らしを書いてみてください」という、わたしのための仕事がやってまいりました。うれしい。うれしすぎる。これまで何度となく間取りを見て妄想しては難癖をつけてきたかいがあった(と思う)!
本記事より3回にわたって、理想の間取りと、そこでの暮らしを精密に妄想してまいります。心の奥に誰にも触れられない(そしてどこにも存在しない)理想の間取りをお持ちのみなさん。「おいおいそこは違うだろ」「いや、これは……同意せざるを得ない」等、ツッコミながらぜひご覧くださいませ。【連載】
恋愛妄想ツイートが話題のTwitterフォロワー数合計19万人の人気ライター・夏生さえりが間取りを見ながら暮らしを妄想。著書に『今日は、自分を甘やかす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『口説き文句は決めている』(クラーケン)、『やわらかい明日をつくるノート ~想像がふくらむ102の質問~』(大和書房)。
第1回 恋人と暮らしたい賃貸編
さて第1回目は「付き合いたての恋人と暮らしたい賃貸編」! ってこれは編集部からもらったお題だったのですが、付き合いたての恋人と一緒に暮らすなんて、ちょっと、ちょっと、急展開じゃない!?
いや、もしかしたらイマドキの子は「付き合ってください!」「はい!」「じゃ、次のデートは不動産屋で!」「はい!」とかってサクサク同棲が決まるのかもしれない。山といえば川というように、付き合うといえば住むのかもしれない。「好き!」といえば「住も!」というのかもしれない。
といろいろな可能性を考えてみても(?)正直想像がしづらいので、まずは理想の間取りを考える前に、理想の住み始めを考えてみました。
~以下、無駄な文章となりますので読み飛ばしていただいても構いません~
付き合って1カ月半。今回の彼氏は、これまでの彼氏とは比べものにならないくらい好きだなという自覚があり、今までだったら友達と遊ぶのも楽しいし~仕事も楽しいし~という気持ちで彼氏とは週1会えれば超絶十分っていうかむしろお腹いっぱいっていう気持ちでいたのに、今回の彼氏とは2日に2回の頻度で会っているわけです。こんなのもはや、二人で一つ。いや、むしろあなたはわたし、わたしはあなた状態ですよ。
「なんか毎日一緒にいるね」
とかLINEでもやりとりしちゃうくらいの仲で、でも「舞い上がってはいけない、始まりがあれば終わりもある。それが自然の摂理だから。サークルオブライフ」と自分の中の仙人みたいな人がささやいてくるから、できるだけ冷静を装って過ごすこと2カ月と1週間。
運命の日がやってきます。そう、一人暮らしの家の更新タイミングですね。
「やば、あたし再来月で更新だ。引越そうかなぁ」
って何気なく言ったら、彼が「え、じゃあ一緒に家借りて住む?」とか言ってくるわけです。
え? あーいや、うん、うれしいよ。うれしいんだけど、こういうときってどういう顔したらいいんだろう? 好きだけど、でもほら、もしさ、もしうまくいかなかったらどうする? わたしの中のおつぼね姉さんも、カクテル回して髪をかき上げながら言ってるよ? 「若さの勢いで一緒に住むと大変なのよねぇ」って。たしかに同棲して万が一別れることになったら大変だって聞くじゃん? だから軽い気持ちでは同棲とかしたくないじゃん? でもそんな不吉なこと口にできないじゃん? どういうつもりなのか知りたいけど聞けないじゃん? と思っていると彼が「あ、ごめん、もし心配していたらって思って言うけど、結婚を前提に考えていて……。あ、いや、俺一人で決められることじゃないけど……。その……、軽い気持ちじゃないってことを言いたくて……」って言ってくれて、万事解決。完全無欠。千載一遇。超絶最高。結婚死魔翔。夜露死苦。
それで一緒に暮らす家を探すことにするわけ。そしてトントンと家が見つかって、契約したときにはまだ付き合って3カ月半。え~~~人生ってこんなにトントンと進むものなのぉ~~!?!?!?(もしドラマだったら、ここでオープニングの音楽が鳴る)。
~ここまで無意味でした~
最後まで読んでもらえるか心配になってきました。ここからはサクサクまいりましょうか。
付き合いたての二人、理想の間取りはこれ。
上記のような、付き合って3カ月程度の二人が住むならどんな家がいいか……? 真剣に考えました。ええ、それはそれは真剣に考えましたとも。まずは理想を書き連ねました。
(最後らへんは間取図とは関係なくなってしまったのですが、)これらを全てかなえてくれる間取りが……こちらです!(イラスト/岩間淳美)
イッツ ア パーフェクトルーム~!!!
これだ! 付き合いたての二人が暮らすのに、これ以上の部屋はない!!! それでは細かく見ていきましょう。
階段上りたい
(イラスト/岩間淳美)
最初の理想は、ズバリ「階段を上りたい」。
ロフトも憧れるし、リビングと寝室が分かれているタイプのメゾネットも憧れる。なんなんでしょうね、あの憧れは。ちょっと変わった部屋に住んでいる感? 今回は、玄関を開けるとすぐ階段! というパターンにしてみました。
でも、実際は階段ってめんどくさいんですよね。家を出たところで忘れ物に気づいたときとかもう最悪。開けて階段を上り、上ったものは下りなくてはならず、「あ、電気消してなかった!」と気づけば階段を再び上り、上ったものは下りなk…(略)。
一人暮らしだったら、あの「必殺:かかとだけで歩く技」または「必殺:つま先だけで歩く技」を駆使して靴のまま上がってしまうこともあるかもしれないけれど、二人暮らしだとそうもいかない。だから階段なんて、本当は面倒でなんのメリットもない。……と分かっていても、子どもが居ないうちこそ、こういうわがままを詰め込んだ部屋に住みたい……。
むやみに風を感じたい
(イラスト/岩間淳美)
それから、とにかく多めの窓は譲れない。わたし以前、窓が少なめの小さな家に住んでいたことがあるんですけどね、徐々に穴ぐらに住んでいるような気分になってくるんですよ。よく言えば、地中に棲むモグラさんみたいな感じ。悪く言えば、ただのアリの巣みたいな感じ。隠れ家みたいで悪くないと思う日もあったけれど、やっぱり窓が多ければそれだけ開放的な気持ちになるし、日がさんさんと入る部屋では喧嘩する気もなかなか起こらないのではないか(と、いう願望を込めています)。
「あ~、風きもちいいね~」
って言いたいし、「うん」と言いながら目を細めている彼の顔も眺めたいので、窓は二面にわたっていてほしい。かつ、大きめの窓は、間に壁が入らずつながっているタイプがいい。バーンと開け放つことができるタイプのやつ。
夏は窓を開け放って、広いベランダで一緒に洗濯物を干したりするんだよねぇ。ああ、いい。いい。いい。
スライドするとワンルームのやつ
(イラスト/岩間淳美)
広いリビングにも当然憧れる。理想は15畳くらい! ……だけれど、実際には金銭的に難しいのも事実。なので、リビングと寝室がつながっていて、スライド式の仕切り扉がついているパターンがいいのではないでしょうか。このとき、重要なのは「スライドしたときに壁が出っ張ったりせず、きれいなワンルームのように使える」という点。このちょっとした違いが、この後の二人の人生を変えることになるのです(嘘です)。
仕切り扉がある家って結構あるのだけれど、扉収納部分が出っ張っていたり、なぜか両側の壁が出っ張っていたりして、きれいな長方形というわけにはいかないことが多い。綺麗であればあるほど家具を置ける可能性が広がるし、なによりスッキリして気持ちがいいはず。
普段は開けっ放しにしておいて、たまに具合が悪くて先に眠りたいときなんかは仕切ればいいよね。
ドアは1つがいい
(イラスト/岩間淳美)
さらに、お気づきだろうか。リビング、寝室へのドアは1つしかない……ということに。
ドアは多ければ確かに便利なのだけれど、家にいる限り必ず顔を合わせなくてはいけないつくりのほうが絶対いい。例えば些細なことで喧嘩をしたとき。例えば忙しくてすれ違う時間が増えてしまったとき。同じ家にいるのに顔も合わせない時間が増えたら悲しいでしょ?
トイレは遠くに
(イラスト/岩間淳美)
そして、付き合って3カ月で一番大事なのはトイレがリビングから遠いこと。これは、学校で習ったフレミングの法則よりも大事なことです。
リビングの真横にあるトイレ、寝室に隣接しているトイレ、壁が薄くて音が聞こえるトイレ。ああいうものは、まだ自分を取り繕いたい恋人たちのために消滅してほしい。お腹痛くなったらどうするのよ。安心してトイレに行ける生活をどうか確保してください。
目の前が花屋
(イラスト/岩間淳美)
さて、窓から見えるもので最高なのは何でしょうか? 海もいい。川もいい。夜景もいいかも。けれどわたしが憧れるのは、「窓から見える花屋」です。
花屋っていいですよね。季節ごとに変わる色とりどりな花たちは眺めているだけでうれしいし、大事な人のためにおそるおそる入っていく男の人も見える。部屋に飾る花に困ることもないし、友人の誕生日プレゼントを買い忘れた夜も大丈夫。
この部屋であれば、ダイニングテーブルの横の窓から見えるといいな。紅茶でも飲みながら「あ、あの人この前も来ていたな」なんて考えていたら「またお花屋さん見てるの?」って彼が聞いてきて。
「おはなやさん」なんてかわいい響き……。と思って、じっと顔を見ていただけなのに「じゃあ俺も買ってこよっかな」とか言って、その日以来ちょこちょこ買ってきてくれるようになるんだよなぁ。
それでいつのまにか花の名前なんて、バラとカスミ草しか知らなかった彼が、「デルフィニウムがきれいだったよ」とか「トルコキキョウがたくさんあった」とか言うようになって、家の中には常に彼が買ってきた生花が……。うっ、うらやましすぎて息が苦しくなってきた。
もはや間取りは関係ないのでは? という声は聞こえないふりをするなら、あとはこれでしょう。
駅前が最高
東京に住んでいる人しかピンとこないかもしれないのですが、(東京に住んでいてもピンとこない可能性があるのですが)、付き合いたてカップルが住んでいてほしいのは東急大井町線沿い。いや、わたしが住みたいだけかも。
二子玉川でもいい。自由が丘でもいい。でももっといいのは、大岡山か尾山台。上野毛でもいいな……。小さな商店街がたくさんあって低い建物ばかりで、世田谷区なのにのどかで、駅がこぢんまりとしている大井町線……。
「駅前のケーキ屋、安かったから」とか言ってお土産買って帰ったら「えーー!? わたしも今日買ったのに!?」とか言って、
「ちなみに何?」
「じゃあ、せーので開けよう」
「「せーの」」
って同じモンブラン買ってきていてほしい。モンブラン地獄。甘んじて受け入れよう。
彼氏が優しい
そして最後の理想は、彼氏が優しい、です。
優しさに勝る間取りなし。ってどこかの慣用句的な言葉もつくりたくなるくらい、結局大事なのは優しさです。互いに想い合って、どうかすてきな暮らしを。
最後に
5000字を超えようとしており、そろそろ終わりにしたいと思うのですが、まだ言いたいことがたくさんある。
カウンターキッチンで一緒にご飯をつくるとか、クローゼットは半分ずつ使おうね!って言っていたのに結局互いのものが入り乱れるようになっちゃうとか、彼が買ってきた謎の置物が部屋の中で浮いているけど許しちゃうとか、観葉植物を買って水やり当番を決めるとか、お風呂掃除をちょっとサボったらすぐにバレて怒られるとか、散らかった部屋を二人で見つめながら「よし、やるか」と顔を見合わせるとか、ソファに座って夜な夜なあいのりを見るとか、買ったお菓子を勝手に食べられたとかくだらない理由で喧嘩したりとか、眠れない夜に一緒に散歩にでかけるとか。
ああ、これから同棲を検討しているみなさん。
少し狭い玄関で、「ただいま!」と言うと「ただいま!」と言う。こだまでしょうか? いいえ、一緒に住んでいる恋人です! という暮らしをエンジョイしてくださいね!!!
付き合いたての二人が暮らす、理想の間取り賃貸編いかがでしたか? みんなの理想も聞いてみたい……。次回は、「ついに検討、理想の間取り購入編」です。お楽しみに!!!!!!
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