プレゼンから「マイナス要素を消す」3つのポイント(前編)──澤円のプレゼン塾・レビュー編

プレゼンから「マイナス要素を消す」3つのポイント(前編)──澤円のプレゼン塾・レビュー編

そのプレゼンテーション能力の高さと経験・実績から、プレゼンスキルについての講演やレビューを依頼されることも多いという澤円さん。

今回の「澤円のプレゼン塾」では、プレゼンテーションを成功に導くために必要不可欠な「マイナス要素を消す」ポイントについて、ご執筆いただきました。2回連続でお届けします!

プレゼンのマイナス要素を消し、プラス要素を伸ばす

澤は、プレゼンテーションをする予定がある人たちのレビューをさせていただく機会があります。その方のプレゼンテーションが成功する確率を上げるお手伝いをする、実にやりがいのあるお仕事です。

プレゼンテーションを成功に導くためには「マイナス要素を消し」「プラス要素を伸ばす」の二つのポイントがあります。「プラスの要素を伸ばす」は、この連載で何度も繰り返しお話ししている「核」の作り方や、スライド構成などにフォーカスをしてアドバイスします。

今回は「マイナス要素を消す」ために不可欠ないくつかのポイントをご紹介したいと思います。

【フォーカスポイント1】立ち方・座り方

最初に見るのは、立ち方・座り方です。主に、手の位置、体重の掛け方、頭と肩のバランス、顔の角度などをチェックします。

プレゼンテーションをする前に、わざわざマイナスの印象を与えるのは得策ではありません。もし第一印象に少しでも悪い影響を与える要素があれば、取り除いておくに越したことはありません。

ただ、これは「個性」とも密接に関わっているものなので、答えは一つではありませんし、プレゼンの内容によっては、同じ人でも姿勢が変わってきます。

新製品の魅力をたっぷり伝えるプレゼンと、自社製品の問題に関する報告をするプレゼンは、やはり視覚的に与える印象を変える必要があります。そのあたりも考慮しながらアドバイスしていくことになります。

ここでは、謝罪のプレゼンについてはいったん忘れて、ポジティブな話題を提供するようなプレゼンを例にとって、いくつかポイントを挙げてみたいと思います。

1)立った時の姿

まず、立った時の姿をしっかりと認識しなくてはなりません。私が実際に見ている時には、ポジションを修正しながら言葉で状況を伝え、本人の感覚とのズレを確認していきます。

まっすぐ立っているつもりが猫背だったり、堂々と見せようとしすぎて背中が反り返っていたりすれば、きちんと指摘してあげます。

2)動画を活用して姿勢をチェック

レクチャーする時は、なるべく動画を撮影します。今はスマートフォンで簡単に撮影できるので便利ですね。本人のスマートフォンで撮影すれば、何度でも反復して確認ができます。

プレゼンの動画を撮られるのが苦手という人は、それはそれはたくさんいます。大半の人が苦手なのではないのでしょうか。でも、動画撮影ほど自分のことを完全に認識させてくれるものはありません。プレゼンが上手くなりたければ、動画撮影は絶対に避けられないものです。

「静止画でもいいのでは?」という方もおられますが、静止画は体重移動や手の動きなどを見ることはできません。静止画では姿勢がいいように見えても、途中の動きで大きく姿勢が乱れる人が多いのもの事実です。

潔くあきらめて動画をしっかり見て、自分の姿勢と動きをしっかり認識しましょう。

3)「体幹」を意識するトレーニング

立ち方、座り方で最も意識する部分は「体幹」です。しっかりと体の中心部分を意識してもらうことにしています。

そこで使う技術が「ドローイン」です。しっかりと腹部を凹ませて、体幹に緊張感を持たせるトレーニング方法です。

内臓をすべて肋骨の内側に入れる」と澤は表現しています。これを普段から意識すると、立ち姿・座り姿が良くなって、ダイエットにも効果があったりします。

こちら、ドローインの参考書籍です。元プロ格闘家で、今は駒沢でパーソナルトレーニングジムを経営している、石井基善さんの著書。とても参考になります。

ドローイン・ダイエット ~脂肪燃焼!! 10秒でくびれができる最強コアトレーニング!~

【フォーカスポイント2】視線の配り方

次に見るのが、視線のコントロールです。プレゼンを行う人が、どこをどのように見ているのかをチェックします。

1)視線のコントロール

プレゼンが今ひとつ得意でない人たちの問題は、視線のコントロールにあるパターンも多くあります。非常によくあるパターンは、以下の二つです。 手元の画面・資料を見っぱなし オーディエンスと一緒にスクリーンを見っぱなし

共通しているのは、視線をオーディエンスに向けていないということです。

資料が頭に入っていないと、どうしてもスクリーンやカンペを見たくなるのは仕方ないのですが、それでも視線はオーディエンスに向ける努力をしましょう。(もちろん、資料が頭に入っていないのはそもそも問題なんですけど…とりあえず今は横に置いときます)

2)視線を上げるタイミング

ずっと見ている必要はありません。手元に目を落としている時間の方が長くても、素晴らしいプレゼンテーションとして成立する場合もあります。

例えば、すばらしいプレゼンテーションの最高峰とも言える、故スティーブ・ジョブズさんのスタンフォード大学でのプレゼンテーション。手元の原稿を見ている時間の方がずっと長いのが特徴です。

ただ、途中でふと視線をあげてオーディエンスに目を向けます。このタイミングが、本当に絶妙。長いセンテンスを読み終わる頃に、すっと視線を上げます。もちろん、それまでのスピーチは「かむ」こともなくスムーズなので、効果は倍増です。

資料を読みながら話すのであれば、文章の終わりやつなぎ目に、すっと視線を上げるようにアドバイスします。

3)姿勢をキープする

スクリーンを見てしまう場合には、無意識かどうかを確認します。無意識で振り向いてしまっていると、たいていの方は同時に姿勢も崩れます。せっかくポイント1で修正できたとしても、これで台無しです。

なので、姿勢をキープすることを意識させることで、振り向きを少なくするように仕向けます。振り向くくらいなら、手元の資料に目を落としている方が、よほど姿勢的にはいい印象を与えられますので。

ちなみに、意識的に向くという技もあります。何かの画像やグラフを見て、あたかも「感動を共有している」という雰囲気を作るときなどです。

「どうですかこのデザイン、見とれてしまいますね~~!」とか、「2015年のこのグラフの伸びには、本当に驚かされますね!」などのセリフと合わせてスクリーンやモニターを振り向けば、表示している情報への「反応のお手本」となることができます。ある意味、感動の強要とも言えますが(笑)。 ※次回「【フォーカスポイント3】声の出し方」に続きます

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著者プロフィール

澤 円(さわ まどか)氏

大手外資系IT企業 テクノロジーセンター センター長。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年より、現職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術」

Twitter:@madoka510

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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