「上司は部下の悪口をノートに書くべき」その真意とは?

「上司は部下の悪口をノートに書くべき」その真意とは?

1人でも部下を持つ人なら、部下に対してイライラ、ムカムカ、モヤモヤといった感情を持ったことがあるでしょう。

ある調査で、部下への不満をランキングにしたところ、以下のような結果が出ました。

1.言い訳をする 22%

2.注意しても素直に聞かない 19%

3.仕事の覚えが悪い 17%

4.ミスを認めない 17%

5.人間的に気に入らない 15%

6.仕事がまったくできない 10%

出典:日本法規情報 法律問題意識調査レポート 「労働環境に関する意識調査」(2014年3月発表)

こうした不満には、共感する内容も多かったのではないでしょうか。

自分の足を引っ張る部下に怒りを感じる人も多いでしょうし、また、自分自身の指導力に限界を感じる方もいるかもしれません。

ただ、こうした不満を溜めこんでいても、自分のためにも部下のためにもなりません。『簡単なのに驚きの効果「部下ノート」がすべてを解決する』(髙橋恭介・望月禎彦著、アスコム刊)では、上司の不満を軽くし、部下を変えるための「ノート」を使った取り組みが紹介がされています。

■なぜ「部下ノート」で人が育つのか?

本で紹介されている「部下ノート」の書き方はいたって簡単。まずは、普段の部下の気になる言動を1~2行、ノートに書くことから始めればいいのですが、まずは「部下の悪口を書く」けばOKなのだそうです。

「また、遅刻した。もう何回目なんだ」とか、「書類の誤字脱字が多い、ちゃんとチェックしないからこういうことになる」といった内容で問題ありません。まずは、部下への不満をノートにぶつけてみると、心がスッとします。

とはいえ、これだけでは上司の気持ちが軽くなるだけで部下は変わりません。

次は、部下の言動の後に、その部下に対してどんな指導をしたのかを1~2行で書いてみましょう。

例えば、誤字脱字が多い部下に「きちんとチェックしなきゃダメだよ」と言ったとします。

しかし、部下が次にまた同じようなミスをしたときに、どんな言葉をかけるでしょうか。

普段は何となくしか意識していない上司として自分の言動が、ノートをつけることで、「見える化」されます。すると、「あいつは毎回同じミスをするけど、俺も毎回同じこと言っているな」と気づくはずです。

「何度同じことを言わせれば気が済むんだ」と怒る気持ちもわかりますが、同じ指導を繰り返していては同じ結果しか出ないのも自明の理です。そこで、ちょっとだけ言い方を変えてみるようにします。

「1文字1文字、丁寧にチェックしてごらん」とか「30分時間をとって集中してチェックして」などと伝えれば、部下の行動に具体的な変化が生まれ、それがいい結果につながる可能性も高まります。このセルフフィードバックを継続して、できるのが「部下ノート」なのです。このノートはつけはじめて早ければ1週間で変化が見え始め、3カ月継続すれば、部下が見違えて成長してくるといいます。

■人材育成のプロが10年以上の経験を基に作成

また、部下に指導する際は、その部下がどんなタイプの人間なのかを把握したうえで指導すると、より効果があります。

人は大きく4つのタイプに分類されます。自分の部下が、どのタイプに当たるのかを見極めて適切な声のかけかたをすることが重要です。

・理論派 … 結論を急がず、長所と短所をしっかり示す

・行動派 …納得したらすぐに行動するので、本人が納得するような裏付けを用意する

・協調派 … 上司が、部下の行動を「応援する」といい、安心感を与える

・感覚派 … 個人的なインセンティブなど、自尊心を揺さぶるやり方をする

この、「部下ノート」。著者の一人である、人事政策研究所代表の望月禎彦氏が、様々な企業の人材育成コンサルティングを手掛けるなかで、10年以上の年月をかけて生み出されたもの。また、共著者の髙橋恭介氏が会長を務める株式会社あしたのチームは、「部下ノート」のメソッドを活用した人事評価制度を、1500社を超える中小企業に導入しています。

働き方改革で、生産性向上が叫ばれる昨今、上司の指導も今まで通りというわけにはいきません。とはいえ、小難しい「●●シンキング」を身に付ける時間も暇もない。そんな方は「部下をよく見て」「ちょっとだけ言葉を変える」という、当たり前だけど今までやってこなかったことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

表紙

(新刊JP編集部)

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