彼女はなぜ入社1年で「課長」に昇進したのか?――残業しない人・チームは“新たな手法”を貪欲に取り入れる
『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)の著者である石川和男さん。石川さんは、建設会社総務部長・大学講師・専門学校講師・セミナー講師・税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパービジネスパーソンです。そんな石川さんに今回は「慣習にとらわれず、新しい手法を学び取り入れることの大切さ」についてお聞きしました。
プロフィール
石川和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。最新刊の『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)ほか、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)など、勉強法、時間術などのビジネス書を6冊出版している。
彼女は、なぜ入社1年で課長に昇進できたのか?
私の友人が不動産投資関係の仕事に転職しました。その職場は、毎日夜遅くまで残業する会社でした。
朝10時から社員全員で一斉に電話をかけ始めます。電話を使って面会や訪問のアポイントを取る、俗にいうテレアポでの営業です。テレアポは12時まで続きます。
電話を受けた方からすれば、知らない会社から高額な商品を案内されるわけです。
話を聞いてくれることすら厳しい状況で、先方の怒鳴り声や、無言で切られることにより、精神的に疲れた社員が退職することも多いそうです。
午後からは飛び込み営業のために外出。アポが取れない限り夕方6時までは会社に戻れないという暗黙のルールがあります。帰社後も打ち合わせや反省会を行います。さらに日報の作成を行いますが、項目も多いため毎日1時間以上かけて作成していたそうです。
こんな過酷なサイクルで仕事をしている会社に友人が入社したのです。友人は30代前半の女性ですが、営業職は初めてで、不動産投資の知識もありません。
しかし彼女は1年も経たずに課長に昇進したのです。毎月の契約率はチームでトップ。しかも残業はゼロ。
彼女は、残業もせずにいかにして成約率トップになったのか?
商品を買ってもらうためには、売り込んではいけない
彼女は新人研修を終えた後、「テレアポも飛び込み営業も一切しません。3か月だけ自由にやらせて下さい。その代わり、それまで成約できなければお金も一切いりません」と上司に宣言したのです。
「給料もいらない」と言っているからなのでしょうか…理由は分かりませんが、その条件で上司から了解を得たそうです。
その後に彼女が行った行動は、SNSで情報を発信することでした。ブログ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムで毎日投稿を行います。他の社員が電話営業、飛び込み営業をしている間に原稿を書き続けます。発信する内容は商品の宣伝ではありません。「商品を買って下さい」ということは一切書いていないのです。
そもそも記事には商品が載っていません。例えば、サラリーマンがマンション経営をした場合のメリットやデメリット、年収がいくらから不動産を購入できるのか、奥さんをオーナーにしたら、相続税や贈与税の節税対策など、不動産関係の知識を分かりやすく、色んな例え話を載せながら投稿するのです。
慣習に縛られず、新しい試みを行ってみる
本人も不動産投資についてはまだ素人です。調べながら書きます。素人なので、なるべく専門用語を使わずに解りやすく書くので、読み手にも伝わります。会社に勤務している8時間、一切の時間をこの投稿内容を作ることに集中していました。
閲覧してくれる人が増えたところで、同時並行して作っていたホームページとメールマガジンのリンクを貼りました。
リンク先であるホームページで商品の購入を促したのか?
実はここでも、一切の売り込みをしません。リンク先には「不動産投資の無料セミナー」の告知だけがされています。もともと不動産関係に興味を持っている人がブログやフェイスブックを見ています。しかもセミナーは無料。セミナー会場に足を運ぶことになります。
参加者は、彼女が毎日更新しているブログなどで不動産の知識を得ています。もともと興味も持っています。会ってはいませんが毎日の投稿で良好な関係性も生まれています。セミナーを聞いた参加者は(強引な営業をしているわけでもないのに)、かなりの確率で不動産の契約を結ぶそうです。
残業しないチームは新しい手法を学び取り入れる
このような流れで営業を行いました。その結果、朝から晩まで働いている社員よりも、少ない時間でより多くの成約を結び、1年も経たずに課長に昇進したのです。
今ではテレアポ、飛び込み営業の時間を3分の1に減らし、彼女の作った営業の流れを強化しています。発信の情報の精度を高めるために、ブログを作るスタッフを充実させました。飛び込み営業も3時には終え、無駄な日報の項目を減らし、その時間を不動産投資の研究やセミナー能力を高めるための勉強会に充てたのです。
残業だらけチームは、以前の慣習にとらわれ、効率の悪い仕事のやり方を続けます。残業しないチームは新しい手法を学び取り入れることで成果も時間も手に入れているのです。
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