プロ監修!ニンニクの育て方・栽培方法|家庭菜園
ニンニクの育て方(栽培方法)をプロに教えてもらいました。植えつけから肥料、収穫のタイミングまで栽培のポイントをおさえれば、美味しいニンニクが収穫できます。家庭菜園初心者はもちろん、上級者もニンニクを育てる前にぜひチェックしてくださいね!【家庭菜園の基本シリーズ】
加藤正明さん
練馬区の農業体験農園「百匁の里」園主。 NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」では、栽培管理や講師を務める。著書に『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)がある。
ニンニクの栽培をする前に知っておくべきこと
© PIXTA料理の風味づけや、肉や魚の臭み消しなどに重宝なニンニク。
食欲をそそる独特の香りの源はアリシンという成分で、ビタミンの吸収を助け、疲労回復に効果があると言われています。
ニンニクは栽培が極めて簡単で、手間がかからないのも魅力。秋に「タネ球」と呼ばれる球根を植えつけ、春先に1回追肥をすれば、初夏には収穫できます。
栽培で失敗しない一番のポイントは品種選び。ニンニクには、寒さに強い「ホワイト六片」などの寒地系品種と、沖縄の「島ニンニク」など温暖な気候でもよく育つ暖地系品種があります。
関東地方以西の平野部では暖地系品種を、それ以外の地域や高冷地では寒地系品種を選びましょう。
育てる地域の気候に合わない品種を選ぶと、寒さで育たなかったり、春以降に暑さで腐ってしまったりするので要注意!
また、タネ球はホームセンターなどで園芸用として売られているものを選んで。食用のニンニクは、芽が出にくいよう処理されている場合があります。
栽培期間が長いので、植えつけ前にはしっかり土作りを行うことも大切。
特に、水はけが悪い土では生育が悪くなるので、牛ふん堆肥の代わりにバーク堆肥を投入して土をふかふかにする、畝を高くして水はけを良くするなど工夫してくださいね。さらにポリマルチ(ポ リフィルムのシート)で土の乾燥を防ぐと、球がよく太ります。
【ニンニク栽培データ】
ユリ科 ●畝のサイズ(※長さは自由)畝幅:70cm、畝の高さ:5~10cm(水はけが悪い畑では15cm)、株の間隔:15~20cm、列の間隔:15cm ●適正pH6.0~6.5 ●土のpH調整(植えつけの2~3週間前)苦土石灰:80~100g/m² ●元肥(植えつけの1~2週間前。全面施肥)牛ふん堆肥(またはバーク堆肥):2~3l/m²、化成肥料(N-P-K=8-8-8):80~100g/m² ●気をつけたい病害虫:アブラムシなど。
ニンニクの栽培カレンダー
ふかふかで水はけの良い土にタネ球を植え、あせらずじっくり育てましょう。
ここで紹介するニンニクの栽培カレンダーは、中間地の場合です。
※寒冷地
植えつけ:8月下旬〜10月上旬
収穫:6月中旬〜7月中旬
※暖地
植えつけ:9月中旬〜11月上旬
収穫:5月上旬〜6月上旬
【9月〜10月下旬】ニンニクのタネ球の植え付け
土作りを済ませた畝に、透明なポリマルチを張って乾燥を防ぎ、球を太らせます。
あらかじめ、15cm間隔で4列の穴が開いているマルチが便利。
透明マルチには、春先の地温アップ効果があります。
雑草を防除したいなら、黒マルチでも良いですよ。
【Point!】タネ球を1片に分け、1穴1片ずつうえる
外側の厚い皮をむいて、タネ球を1片ずつに分けます。まわりの薄皮は、むかなくてOK。マルチの穴に1片ずつ、とがったほうを上にして押し込んでください。深さは3~4cmが目安。土をかぶせて、手でしっかりと押さえてくださいね。
【12月】暖地系の品種のみ防虫ネットで防寒
暖地系品種のニンニクを育てる場合は、12月になったら防寒対策として防虫ネットをトンネルがけするのがおすすめ。強い北風や、霜を防ぐ効果がありますよ。
ただし、寒さに当たってニンニクの球が太る性質があるため、過度な防寒は厳禁!
【3月】春、寒さが緩んだら1回だけ追肥
春、再び生育が始まるころに追肥をすると球が太ります。マルチの各穴に、化成肥料を20~30粒まいてください。
追肥は基本的に1回のみですが、葉の色が薄かったり、生育が悪かったりしたら4月上~中旬にもおこないましょう。
【4月】開花前に花茎を摘んで球を太らせる
春になると、ニンニクの花茎(先端に蕾のような花芽がついて、株の中心からスッと伸びた茎)が出てきます。
放置すると花に養分を奪われて球が太りにくくなるので、早めにハサミで付け根から切り取るのが栽培ポイント。
開花前に摘み取った花茎はやわらかく、ニンニクの芽としておいしく食べられますよ。
【5月中旬〜6月中旬】葉が枯れ始めたら、引き抜いて収穫!
ニンニクの葉が部分的に枯れたら、手で引き抜いて収穫。
晴れて土が乾いている日を選んで収穫すると、球が腐りにくいですよ。
収穫後は根と茎を切り落とし、雨の当たらない風通しの良い場所に置けば、長期間保存できます。
【Column】ニンニクのプランター栽培のポイントは?
ニンニクは土の中に球ができて太るので、深型のプランターで栽培するのがおすすめ。
幅60cm×奥行き20cm×深さ30cmのプランターに、株間15cmで4株育ててください。
水はけを良くするため、底には厚さ3~4cmで鉢底石を入れるのも忘れずに。
水のやり過ぎも球が腐る原因になるので、土が乾いたら、たっぷり与えるようにしましょう。
追肥は2回。3月と4月上~中旬に、1株につき化成肥料20~30粒をまいてくださいね。
※寒冷地・・・北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地。
※中間地・・・福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部。
※暖地・・・四国、九州南部、沖縄県。
【ニンニクレシピ】アイオリソース
大事に栽培したニンニクを美味しくいただく、おすすめのレシピをご紹介!
市販のマヨネーズでパパッと作れるのでぜひ作ってみてくださいね。
【材料】(作りやすい分量)
ニンニク・・・2片
マヨネーズ・・・大さじ2
白ワインビネガー・・・大さじ1/2
パセリ(みじん切り)・・・適量
【作り方】
ニンニクは皮をむき、においが気になるようなら、ふんわりとラップに包んで電子レンジ(600W) に20秒間かける。すり鉢に入れ、すりこ木で滑らかになるまですりつぶす。すり鉢とすりこ木がなければ、フォークの背でつぶしてから包丁でたたいてもよい。
1にマヨネーズ、白ワインビネガー、パセリを加えてよく混ぜる。
スティック野菜や温野菜、グリルした肉などに添える。
ニンニクの育て方・栽培はいかがでしたか?
収穫まで8〜9ヵ月と時間はかかるものの、ほとんど手間いらずです。
ぜひニンニク栽培にチャレンジしてみて!
写真・万来舎・丸山滋/八木竜馬
イラスト/服部あさ美
構成、文、料理写真、料理監修/北村文枝
「Pacoma」はホームセンター系のフリーペーパーに出自を持つ、「暮らしの冒険」がテーマのライフスタイル系Webマガジン。ノウハウ記事からタレントの取材記事まで「暮らしを楽しむためのアイデア」をテーマに日々発信しています。
ウェブサイト: http://pacoma.jp/
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