引きこもりにおたくの偉人!? 日本史のちょっとヤバい(?)裏話

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引きこもりにおたくの偉人!? 日本史のちょっとヤバい(?)裏話

 「歴史」と聞くと、少し難しそうなイメージを持ってしまいませんか? 易しく、楽しく学べる方法があれば、と思う人も多いでしょう。本郷和人氏著による『東大教授が教える やばい日本史』では、キャッチ-なイラストとともに楽しく日本史について知ることができます。

 まずは第1章「ゆかいなとりまきと天皇の時代」。日本初の女性国王である卑弥呼が紹介されています。本書では「クラスのみんなが学級委員長の座をねらってケンカをしているなか、ぬけがけして教育委員会にワイロを送り、一気に校長先生になったようなもの」と、「学校」を例に例えています。実際の卑弥呼は、学校どころか国のトップにまで登り詰めた”やり手”な一面があったようです。

 さらに驚くのは卑弥呼が実は引きこもりだったということ。宮殿では人々を導く占いに明け暮れ、その伝達や食事の世話はすべて弟がしていたとか。人前に姿を見せなかった女王ですが、民衆は占いの力を信じていたため統率はとれていたそうです。

 次に紹介するのは、本書第3章に登場する千利休です。なんの変哲もない竹や粗末な茶碗をあえて使う茶道を発展させ、「わび茶」を完成させました。そのスタイルがおしゃれだと、織田信長をはじめとする武将のあいだで人気となります。

 織田信長の弟・有楽斎(織田長益)も千利休に弟子入り。あるとき有楽斎が千利休とそっくりの茶入れとフタを用意します。しかしそれは、千利休がわざと「ダサい」と思って用意したものでした。本書によると、千利休はそのまま真似をした有楽斎にバッサリと「その茶入れには新しいフタのほうが合うと思いますが……?」と言い放ったとか。美意識が高すぎてちょっと意地悪な一面があったようです。

 最後は本書第4章から松尾芭蕉を紹介します。江戸(東京)から尾張(愛知)までを旅しながらたくさんの俳句を詠んだ、日本を代表する歌人です。源氏の武将が好きで、「夏草や 兵(つわもの)共が 夢の跡」という有名な句も源氏のことを詠んでいます。

 本書によると、その源氏好きは「おたく」レベルで、俳句を詠む旅の途中に聖地巡礼を組み込むほどだったとか。特に源義仲が一番の「推しメン」だった芭蕉は、死ぬ前に「わしを義仲の墓の隣に埋めてくれ!」と頼んだそう。その願いは叶えられ、おたく冥利に尽きる最期を迎えました。

 このように、本書ではわかりやすい日本史の解説とともに、面白いエピソードもあわせて紹介されています。これから日本史を学ぶ子どもにも、復習をしたい大人にも、優しい1冊です。歴史に残した偉人たちの人間らしい一面がわかり面白いですが、歴史上の人物たちは実は「やばい」人ばかり(?)だったのかもしれません。

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