「現代のリーダーに必要なスキルは、“統率力”ではなかった」―“成果を上げる”チーム作りへの挑戦

「現代のリーダーに必要なスキルは、“統率力”ではなかった」―“成果を上げる”チーム作りへの挑戦

エーピーコミュニケーションズで2018年5月からシステム開発部の部長を務める阿部伸哉。これまでインフラ分野で活躍してきた阿部が、未経験の“システム開発”という分野でチームビルディングに挑みます。阿部はどんな理想を描き、どんなことを実践しているのでしょうか。

※本記事は、「PR Table」より転載・改編したものです。

経験したことのない分野へ――あらためて、リーダーの役割を見つめ直した

▲社内のエンジニアイベントで総評を述べる阿部

これまで15年間、私はずっとITインフラに携わる仕事をしてきました。

ITインフラの要件定義から設計・構築、実際に運用されてからの監視・運用など、あらゆるフェーズを経験。部長を担いながら、常にプレイヤーとして第一線で案件に携わってきました。

こういった経歴を持つ私が、システム開発部の部長に任命されたのは3カ月前の2018年5月のこと。

これまで経験してきた監視・運用業務では、インフラだけではなくその上に乗るミドルウェアやアプリケーションなどの知識も必要とされてきました。

なので、アプリケーションなどの開発自体は未経験の分野ではありながら、開発業務に携わることに対する心理的ハードルは、さして高くありませんでした。

ただ、「今のチームでやりきれていない」という想いが、私をためらわせました。自分で納得のいく成果を残せないまま離れていいのだろうか…

正直なところ、この葛藤に踏ん切りをつけることはできませんでした。

それでも拝命することを決意したのは、当時所属していたチームにしろ、システム開発部にしろ、新しい体制になるからこそ起きる変化や、出せる成果があるのではないか、そう思ったからでした。

そして、納得のいく成果を残せなかった今までの自分を変えるため、システム開発部ではこれまでの“プレイングマネージャー”を脱し、「技術的な部分はメンバーに頼り案件もすべて任せる」というスタンスを取ることを決めました。

では、私の仕事は何か。

「このチームには素晴らしいメンバーが集まっている。彼らがイキイキと力を発揮できる環境を整え、彼らを支援すること。そしてチームとしてのパフォーマンスを最大化し、成果を出すこと。それが自分の仕事だ」

以前の部署でも、1on1などで多くの時間を割いてメンバー一人ひとりとの関係をつくってきました。

しかし、私がプレイヤーとして案件を抱えていたこともあり、メンバー同士のつながりは自然任せ。振り返ってみると、チーム内の関係性は私が起点となるハブ型になっていました。

「マネジメントに専念する以上は、一人ひとりを活かすだけではなく、メンバー同士がそれぞれで繋がるフルメッシュの関係をつくれるようにして、相乗効果でチームのパフォーマンスを最大化させていく」

こうして私なりの新しい組織づくりへの挑戦がはじまりました。

理想のチームを描き、見つけた、ひとつの共通項

「時にはケンカをしながら、メンバー同士が遠慮なく議論しあう」「困ったときには『Help!』といえて、困っている人に気付けばチームでサポートする」「ひとつの目標に向かって一人ひとりが力を発揮する」

理想とするチームのイメージは色々浮かびますが、これらの根底にあるのは、“心理的安全性”です。

このチームの中なら、何を言っても、何をやっても大丈夫――

チームをこんな空気で満たすにはどうすればよいか?

新参者の私が、いくら「このチームは安全です!」と言ったところで、何の役にも立ちません。

一度何かをしただけでつくれるものではありませんが、普段の業務とは異なるシチュエーションをつくることで、私とメンバーそしてメンバー同士の新たなコミュニケーションが生まれることを期待して、リーダー陣を対象とした1泊2日の合宿をしようと決めました。

合宿のプログラムは、戦略立案や品質向上を支援するエンジニアリング戦略室に依頼。

「ばかげていると言われてもいいので、普段やらないようなアクティビティを入れてください」とお願いして企画を練ってもらいました。

合宿という非日常の中だからこそできた発見

▲合宿で実施したゲーム「ヘリウムリング」

結論からいうと、合宿は大成功でした。

合宿は懇親会からはじまりました。もちろんただの飲み会ではありません。ここでもちゃんと企画が用意されており、「共通点探し自己紹介」を実施。

その中で、普段は真面目で実直に仕事を進めるメンバーが、こんなふうに自己紹介をはじめました。

「私が大切にしている価値基準は…“お金”です」

彼のイメージと発言内容のギャップに、全員が爆笑。

全員の距離感がグッと縮まると同時に、お互いがお互いに対して改めて興味を持ち合った瞬間でした。

このアクティビティを通して知った内容は、仕事に直接関係のない事が大半。でも、その内容がお互いの距離感を縮めるのに役立っていました。

また、どちらかというと個人プレーを好むメンバーが、チームワークの重要性について自発的に発言する場面も。

フープリレーやヘリウムリングといったゲームを実施した後の「なぜゲームがうまくいったのか」という振り返りでのことでした。

一匹狼タイプのあるメンバーが「全員が共通の目的を持つ。それがうまくいった理由じゃないかな」なんてことを言ったんです。

きっと私が何百回チームワークの重要性を説いたとしても、あの発言には繋がらなかったでしょうね。

リーダー陣だけで実施した合宿でしたが、これで終わらせるのはもったいないということで、他のチームメンバー向けに半日程度のミニ合宿も実施することに。

合宿を通して普段の業務の中では見えない人となりや行動が見えて、意外な発見もたくさんあり、私も含めメンバー同士の距離感が縮まったように感じます。

徹底的にお互いを知るーーそれが健全な関係性を築くためのキモ

▲今後も様々な施策を通して、メンバーの心理的安全性を追求し続ける

合宿は成功でしたが、これだけで心理的安全性が定着するわけではありません。

次の手として考えているのは、ストレングスファインダー(米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツール) を活用した「個人の特性の見える化」です。

人間は知らないことに対して、不安や恐怖を覚えます。

チームの中で不安や恐怖を感じるのは、相手の考え方がわからなかったり、相手が自分のことをどこまで理解してくれているかがわからなかったりするからではないでしょうか。

自分と相手の共通点や相違点を知り、それをお互いに受け入れる。

たとえば、自分が成果よりもプロセスを重要視する思考タイプで、相手がその逆だとします。

正反対の思考タイプのふたりが議論をすれば、当然すれ違いが出てくるでしょう。その時に、お互いが思考タイプの違いを認識していないと「自分を否定された」と感じてしまいます。

しかし、お互いが思考タイプの違いを認識していればどうでしょう?

相手がなぜそういった意見を出すのかが理解できるため、感情的にならず安心して議論ができます。そういった健全な関係性ができると、チームはもっと強くなる。

そう私は信じています。

もちろん技術スキルや品質の向上など、向き合うべき課題は他にもありますし、売上や粗利といった収益目標の達成のために、あせる気持ちも当然あります。

だからといって、ガチガチのルールをつくり、メンバーをなだめすかして数字だけを追っていても先はありません。

目標を達成するために、どう行動すべきなのか。それを自分たちで自由に考え、試し、決定していく。

こうした良いスパイラルが回るようになれば、必然的に成果は付いてくると、私は考えています。一朝一夕でできることではありませんが、必ずこのチームはやってくれると確信しています。

会社説明会では語られない“ストーリー“が集まる場所「PR Table」

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