猫の熱中症、どう防ぐ??獣医さんが伝授する夏を乗り切るコツ

ヤッホー!ヤーマンだよ!
山と溪谷社の営業部員のヤーマンだよ。

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今年の夏、みんなは夏バテしてないかな?人間も暑くて大変な夏だけど、実は猫も夏バテをするんだって。僕の知り合いの『猫のための 家庭の医学』(山と溪谷社刊)を出版したベテラン獣医師・野澤延行先生が、猫と夏を乗り切るために大切なことを教えてくれたよ。野澤先生は東京都・西日暮里で動物病院をやっているんだけど、猫にも詳しくて「ネコ先生」なんて呼ばれているんだ。

先生、猫も夏バテするって本当ですか?

ネコ先生 今年は猫の熱中症、多いですね。急激に暑くなったので、体がついていかないのは猫も同じです。冷房をつけていても、部屋の上と下で温度差があるので、熱中症になってしまいます。あとは、飼い主が冷房をつけないで家を出てしまい、うっかり熱中症にさせちゃうケースも多いですね。猫は足の裏にしか汗腺がないので、人間のように汗をかいて体温調節することはできません。飼い主さんがしっかり注意してあげてください。

熱中症の症状としては、寝ているのではなく、ぐったりして覇気がない様子が見られます。また、突然の嘔吐や発熱(39.5度程度)があるとさらに危険です。体温を下げるため、冷房や扇風機などで冷風を当て、濡れたタオルや保冷剤を腋や股に当てて応急処置を行いましょう。熱中症の予防策は、飼い主がいない時でも冷房をつけておくこと。設定温度は28度までにしておくと良いでしょう。そして大切なのは、空気循環ができる冷房か、扇風機等で空気を循環させて部屋全体を涼しくすることです。室内での熱中症が増えたのは、マンションのような気密性の高い部屋での室内飼いが増えたからだと考えられます。少しでも空気を循環させる工夫をしましょう。また、猫用のひんやりグッズを活用するのも良いですね。接触冷感のシートなどが売っているので、猫ハウスの中などに入れておいてあげるとよいでしょう。

ーーーひんやりグッズは人間用の物もよく売っていますよね。猫が使うと体が冷え過ぎちゃったりしないんですか?

ネコ先生 猫は不快だと思ったら、ちゃんと離れるから大丈夫。冷房をつけている時も、冷気が嫌になったらちゃんと離れます。ドアを開けておいて別の場所へ逃げられるようにして、冷気を避けられるようにしておくと良いでしょう。ただし、寝たきりの老猫などは、自分で動くことができないので注意してあげてください。

ーーー暑い日でも、飼い主にくっついて寝る猫もよくいますよね。あれはどうしてでしょうか?とても可愛いのですが……

ネコ先生 そこは、暑さとかじゃなくて、飼い主にくっついていたいんでしょうね。接触していたいという気持ちが猫にある。人間の恋愛でも同じでしょう?一緒にいたい時、触れ合っていたい時は暑さなんて関係ありません(笑)

猫は人間と違って食中毒がないって本当?

ネコ先生 人間は夏になると食中毒に気をつけなくてはいけないけど、猫はニオイから食べ物の腐敗や異変に気づきます。

ーーー猫の鼻ってそんなに敏感なんですか!?

ネコ先生 猫の嗅覚はとても鋭くて、食べ物に対する判断基準は味覚より嗅覚になります。ニオイで食べられるかどうか判断ができるので、腐敗しているニオイをキャッチし、細菌性食中毒を避けることができます。
よく、新しい種類のご飯を食べてくれない猫がいますが、「食べない=ニオイがお気に召さない」と言ってもいいでしょう。体調不良で嗅覚が鈍っている時にも食べなくなることがあります。鼻炎などで鼻づまりを起こしていたり、口内炎などで食べづらい可能性が考えられますね。夏は特に、缶詰タイプのご飯は開封後の保存がきかないので、出しっぱなしにするとダメになってしまうので注意です。また、猫のご飯でポピュラーなドライタイプのキャットフードは、出しっぱなしにしておくと酸化するので、食べる分だけ与えてください。ただし、犬のように一気に食べるのではなく、「猫残し」と言われるように分けて食べることもあるので、4~5時間かけて完食するのが目安です。

ーーー他に夏を乗り切るために、注意することはありますか?

ネコ先生 郊外で外出自由な猫の場合は、カエルやヘビ、トカゲなどを食べた時の寄生虫に要注意な季節でもあります。これらの生物から感染してマンソン裂頭条虫が寄生するケースはとても多いです。完全に防ぐことは難しいですが、便に寄生虫らしきものを発見した時には、写メでもいいので画像か現物を動物病院に持参してください。あと、夏は猫草を食べたがる季節でもありますね。

ーーー猫はどうして猫草を食べるんですか?

ネコ先生 猫草とは主にイネ科の植物で、室内であれば冬でも育てられます。猫草は吐きたい時に食べる整腸剤の役割がありますし、葉脈の食感を楽しんだり繊維質をとって排便を促すためとも考えれられています。ただし、猫草に興味を示さない猫もいるので、食べないからといって、無理に食べさせないようにしてください。

冬は「猫バンバン」だけど……夏は車の下にご注意!

ーーーこんなに暑いと外にいる猫は大変そうだなあ。どこで涼んでいるんだろう。

ネコ先生 猫は心地よい場所を探すのが得意ですからね。駐車場などで車の真下や影で涼んでいる猫もよく見かけますが、あれは危ない。猫に気がつかずに車を発進させないようにして下さい。

ーーー冬はボンネットの中に入った猫を音を立てて追い出す「猫バンバン」が呼びかけられているけど、夏は車の下なんですね。

ネコ先生 涼んでいるとなかなか動かない猫も多いので、要注意です。車に乗り込んですぐに発進させる人もいるので気をつけてほしいです。

ーーー冬の「猫バンバン」は聞いたことあったけど、夏は盲点だったなあ。夏は車の下をひょっこり覗きこんであげると安心ですね。

一家に一冊!『猫のための 家庭の医学』を

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家猫も外猫も、みんなが夏を健康に乗り切れるといいよね。飼い主さん、ファイトだよ! 先生の本『猫のための 家庭の医学』には、今日ご紹介した他にも、役立つ情報がたくさん書いてあるよ。猫と暮らすおうちに一冊あると、とても安心だと思うなあ。次回は、猫と防災について聞いてみたいと思うよ! お楽しみに。

『猫のための 家庭の医学』
(山と溪谷社)

著者 :野澤延行(動物・野澤クリニック)
定価 :(本体1,600円+税)
発売日:2018年5月25日
ISBN978-4-635-59044-0

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