大ヒット中!『インクレディブル・ファミリー』プロデューサーに聞く「ヒーローごとのテーマソングは“日曜朝にやっているヒドイ番組”をイメージしたんだよ」

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アカデミー賞2部門(長編アニメーション賞、音響編集賞)に輝き、世界中の観客を魅了した『Mr.インクレディブル』の待望の最新作『インクレディブル・ファミリー』が8月1日より公開中! 全米では、『アナと雪の女王』や『ファインディング・ドリー』を超え、全米歴代アニメーション作品興行収入歴代No.1を記録し、日本でも既に興行収入20億円を突破する大ヒットを記録しています。

本作でプロデューサーを務めているのがジョン・ウォーカー氏。アソシエイト・プロデューサーとして『アイアン・ジャイアント』(99)、プロデューサーとして『Mr.インクレディブル』(04)、製作総指揮として『トゥモローランド』(15)など、本作を含めるとこれまで4本のブラッド・バード監督作品に携わり、その付き合いは20年来。この記事では、ジョン・ウォーカー氏に『インクレディブル・ファミリー』の着眼点について伺います。

インクレディブル・ファミリー

――『インクレディブル・ファミリー』大変、大変楽しく拝見させていただきました! 本作はドキドキのアクションの中に、女性の社会での活躍や男性の育児参加などの現代的なテーマを感じることが出来ました。その様な構想に至った経緯はありますか?

ジョン・ウォーカー:2作目の着手に10年もの月日がかかったのは、10年間ずっと作り続けていたわけではなくて、スーパーヒーロー物が溢れすぎていて、少し躊躇していたんです。でも、だんだん自分たちで「『Mr.インクレディブル』はヒーローは出てくるけれど、メインテーマは家族なのだ」という事に改めて気付き、他のヒーロー物とは全然違う、家族の要素を強く作ろうと考えたのです。

ヘレンがメインとなってスーパーヒーローの活躍をするというのは、ブラッド・バード監督は1作目を作った時から考えていた事なのです。ヘレンが注目を集めて、ボブがフラストレーションを感じてしまうという展開が面白いんじゃないかって。ヘレンはヒーローとしてもお母さんとしても素晴らしいキャラクターだよね。本作では手や足が大きく伸びて、その能力も皆が楽しんでくれているみたいだね。

インクレディブル・ファミリー

――前作に続き、素晴らしい音楽の数々でしたが、特にエンドロールに流れる、ヒーロー達のテーマソングが大好きです。

ジョン・ウォーカー:「Mr.インクレディブル」「イラスティガール」「フロゾン」というヒーローは実際にはいないので、もちろんテーマソングは無かった。音楽担当のマイケル・ジアッチーノに、「日曜日の朝にやっていたような、ひどい番組やCMのジングルを作ってくれない?」と言ったら、「分かった!ニューヨークで仲間を集めて作るね!」と快諾してくれて。でも蓋を開けたら、その時に集められたのは一流のアーティストとシンガーばかりで、請求書がどんどん来て困ったんだ(笑)。でも、出来上がった物は素晴らしかった!

【動画】「インクレディブル・ファミリー」ヒーローのテーマソング:イラスティガール
https://www.youtube.com/watch?v=VCI3MBgrvco [リンク]

――確かに、初めて聴いたとしても「ああ、この曲あったな〜」って思ってしまう様な、ノスタルジーに溢れていますよね。

ジョン・ウォーカー:そうそう! 「皆が昔観ていたひどい番組」というのがアイデアだったので、多くの観客がそう感じてくれて嬉しいんだ。また、ディヴァー兄弟の登場シーンで、ウィンストンがテーマソングを歌うけれども、あの数秒のシーンでウィンストンがどれだけ彼らのファンなのかが分かるよね。

――長年一緒にお仕事をされてきたジョンさんから見て、ブラッド・バード監督の一番のスゴさはどんな所にあると思いますか?

ジョン・ウォーカー:一番最初に仕事をしたのは『アイアン・ジャイアント』(1999)で、彼にとっても僕にとっても初めての映画だった。仕事が始まって3週間ほどで「彼はすごい奴だ」と確信したよ。その頃、配給のワーナー・ブラザースのアニメ部門が不振で閉まろうかとしている時期だった。だから、『アイアン・ジャイアント』が完成するのか、完成しても封切られるのだろうか、分からなかったんだ。お金もかけられないから、大変厳しい予算を言われて、僕とブラッド・バードはいつも喧嘩をしていた。でも、彼は映画に関わる全ての事を完全に把握していたんだ。とても遅筆だけれど(笑)、素晴らしい脚本家で監督て、音楽の事も分かっていて、アートにも長けている。

彼はこれまでに6本映画を作ったけれども、どれも素晴らしく、現代を代表する映画監督の一人だと思っています。『トゥモローランド』(2015)では一緒に仕事をして、この作品は興行収入的には振るわなかったのだけど、僕は彼の映画は全部好きなんです。本当に才能が素晴らしい。

――ちなみに。『レディ・プレイヤー1』(2018)にはアイアン・ジャイアントが登場しますが、ジョンさんはご覧になりましたか?

ジョン・ウォーカー:もちろん観たよ! 最高だった! でも『アイアン・ジャイアント』が出るなんて僕らは一切知らされていなかったから、映画を観た時にかなり驚いたんだ(笑)。「わあ! アイアン・ジャイアントだ!」って。僕はスピルバーグの大ファンだから、自分が携わったキャラクターを使ってもらえるなんて大感激だったよ。僕はあらゆる映画、ゲーム、コミックのオタクだと自負しているけれど、『レディ・プレイヤー1』は僕みたいな人にとって最高な映画だよね。もちろん『Mr.インクレディブル』『インクレディブル・ファミリー』が、多くの愛するオタクの皆にとってそんな作品になっていたら嬉しいな。

―私もそうですが、たくさんの愛すべきオタクがこの作品を愛していると思います! 今日はどうもありがとうございました。

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『インクレディブル・ファミリー』大ヒット上映中!
http://www.disney.co.jp/movie/incredible-family.html

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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