“いちいち窮屈な世の中ぶち壊そうぜ!”THE 夏の魔物、シェルターワンマン2DAYSで更に加速したロックンロールの魔力―OTOTOYライヴレポ

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“いちいち窮屈な世の中ぶち壊そうぜ!”THE 夏の魔物、シェルターワンマン2DAYSで更に加速したロックンロールの魔力―OTOTOYライヴレポ

2018年7月26日(木)27日(金)の2日間にわたり、下北沢シェルターにて、THE 夏の魔物のワンマン・ライヴ〈SHELTERの魔物 2DAYS〜Live or Die〜〉が行われた。

●DAY1

ジャケットにネクタイ姿の成田大致が「オーイェー!」と叫んだのを号令に、メンバー全員がシャウトして始まった轟音は「SUNSET HEART ATTACK」。これまでと違い成田と大内雷電がマイクスタンドで歌唱する新しいスタイルを見せた。新たに加わったドラマー・komakiのバスドラ連打がシェルターを揺らした「愛夢地獄」では、激しくもバラエティ豊かな構成で楽しませる。

中盤、メンバーが袖に下がりステージが暗転。ハジメタルがピアノを静かに弾きだした。このイントロは、「ハジメまして」。かつて麻宮みずほが在籍時に歌っていた楽曲を歌ったのは、るびい。普段のスクリーム、シャウトする彼女からは想像ができない、繊細さを感じさせるものだった。入れ替わりで、茉里が歌ったのは、ロッカバラード「わたし」。これまた、ここぞというライヴで披露されてきた楽曲だ。
メンバーが戻ると、「ケモマモハート」へ。なぜか大内がウルトラマンスタイルで登場! 間奏で“シュワッ!”とばかりダイブすると、初代ウルトラマンの飛行スタイルでクラウドサーフ。さらに曲中で早着替えで戻ってくるという、「ムタから武藤」というオマージュを感じざるを得ない、なにか吹っ切れたような、バカバカしくも清々しいじつに大内らしさ爆発のセクションだった。大合唱となった「バイバイトレイン」から、Oasisを彷彿とさせる「ダーリンno cry!!!」へ。荒っぽいパフォーマンスに気を取られがちだが、その伸びやかな歌声に、成田のヴォーカリストとしての成長ぶりに気がつかされる熱演となった。

アンコールには、アントンと越川が2人で登場。5年ほど前にアントンが映画を撮った際に歌ったという、イタリアの歌手Marcellaの「Montagne verdi」に日本語の歌詞をつけた楽曲を、越川のアコースティック・ギターに合わせて歌い上げた。アントンによる詞は、海辺の情景が浮かんでくる抒情的なもの。本人曰く過去の失恋経験を歌った内容とのこと。歌い終わり抱き合うアントンと越川に大きな拍手が送られた。

●DAY2

DAY2では、茉里とるびい、バンドメンバーがMVでも披露した派手な新衣装で登場。オープニングを飾ったのは、初披露となる「恋愛至上主義サマーエブリデイ」。越川の8ビートのコードワークを中心とした新アレンジで1曲目からフロアは大熱狂。バンドとの一体感が際立つ「魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~」、憂いのあるメロディと変幻自在な展開を聴かせる「MATSURI GIRL」。「リングの魔物」では、komakiの裏打ちハイハットと4つ打ちのバスドラによるプレイにより、サビのドライブ感と高揚感が増幅されている。これまで成田が歌っていたクライマックスのソロ・パート〈月面水爆 砕け散った花火よ 君となら後悔しない〉を大内が担当するようになったのも大きな変化だ。

ここで成田がMCを。

「1曲目にやった曲は、7年くらい前に俺が秋葉原昭和通り口のほうに住んでいたときに、「麺屋武蔵」に行った帰り道、「あっこれだ!」ってメロディが浮かんでボイスメモに録ったものが、ようやく今こうして、形になったんです。当時は「これがやりたい!」と思って色んな試行錯誤を繰り返したんですけど、バンドで形にすることができなくて。みんないなくなって、ベランダで1人ぼっちで「どうしようか…」と思っていたのをハッキリと覚えているんですけど、またこうしてやれることが嬉しいです。我々のバンドは、去年初めて関東で行われたフェスの〈夏の魔物〉が終わって、新宿JAMでやったライヴから、なんやかんや色々あって。今までの人生も色々なことがあったけど、感じたことがない感情の連続の毎日で。「あのとき、ああしておけばよかった」とか、「あのときああすれば、こうならなかったんじゃないか」っていまだに思うんです。悔やんでもしょうがないんですけど。でも、俺はそういうときだからこそ、この気持ちを忘れないように曲を作ろうと思って。今日は、その時期に作った新しい曲をたくさんやります。それこそ、7年前に「こういうメロディを歌いたい」と思ったときみたいに、歌いたいこと、メロディ、歌詞がどんどん出てきたんです。一昨日、吉祥寺の「麺屋武蔵」に行ったときにふと思ったんですけど、「1人で突っ走ってきたけど、今はみんながいて、1人じゃない」って感じて。本当に、大切なものが何だったのか気付かされたこの数ヶ月だったし、みんなと鳴らしたい音がどんなものなのか考えさせられました。やっぱり、変わろうとしないといけないし、変わろうとする決心をしないとなって。そういうことに気付かせてくれた、ここにいるすべてのみなさん、チームのみなさん、メンバーのみんな、そして大内さん(笑)。そういうみんなのおかげで今日この日があるし、バンドだからこの先も色々あると思うけど、でも俺らは音楽を辞めることはないです。辞める人、辞めることを止める人、色んな人がいます。今日だって、久しぶりの顔がたくさん来てるなって思った。でも俺はTHE 夏の魔物をずっと続けて行くし、全員に思ってることは、「いつでも戻ってこい、俺は音楽を続けている」。この先も歌っていく曲です。聴いてください!」

と、長いMCから始まったのは、新曲「しゅきぴ」。ここ最近のTHE 夏の魔物のライヴではここぞというときに歌われる、流れるようにメロディアスでポップな曲だ。毎回楽しみな成田の叫び、今回は「たまアリに「RIZIN」観に行こうぜー!」だった。オールディーズ・ポップな「ミックステープ」、成田絶唱のバラード「日々のあわ」といった新曲群は、魔物チルドレンにとっても音源化が待たれる曲たちではないだろうか。「涙。」では、イントロのダイヴに続き間奏で「俺、あそこの時計のとこまで行きたいんだわ!」と、再びダイヴして後方までクラウドサーフ。ステージ戻ると「もっとこいやー!!」と目をひん剥いて鬼気迫る表情で観客を煽った。「今日は、THE 夏の魔物のワンマン・ライヴを選んでくれてありがとう! フジロックのグリーンステージや、グラストンベリー、レディングのステージに負けないくらいの合唱をお願いします」との呼びかけから、ラストは最新曲「さよならメモリー」を披露して、“ラララ~”と観客が大合唱。えらめぐみのシンプルなベースラインと越川が繰り返すギターリフのリフレインを核とした8ビートの演奏と、大らかなメロディで大団円となった。

アンコールのステージにバンドメンバーが上がり、越川のフィードバックを合図に始まったのは、茉里&るびいによる「マモノ・アラウンド・ザ・ワールド」。途中、「下北沢! なにボヤっとしてんだ!」とるびい節が炸裂する。「君じゃなきゃいけないって言われた気がしてここに立ってみたけど、何ひとつ上手にできなかった。ふざけんじゃねえ! 人形でも神様でもねえんだよ! 気持ちを考えろよオラ! シェルター!」制御不能なスクリームに突入すると、「言葉は紡げば紡ぐほどほつれていった、何もなかったことにしたくてカーテンを切り裂いた、でも何も変わらなかった。悲しくてどうしようもない夜に、悲しい音楽を聴いてるときの方が、あたし今生きてる!って感じちゃう、そんなあなたに会いたいよ! 勇気づけられる歌も元気にしてあげられる歌も私には歌えない! それでも死にたい夜には、あなたを抱きしめたい!! ここにいるのが私じゃなくてもいいのかもしれない、私である必要なんてどこにもないよ。でも誰でもいいんだったら、私は望んでここにいたい。お前らもそうだろ!? 望んでそこにいろよ!」と、一気にまくしたてた。さらに、「私の好きなもの、私の好きな人、私の好きな場所、私の好きな音楽! 全部私が決めるんだ! おまえらも全部自分で決めて自分でそこに立て!!」とアジテーション。茉里が加わり、“イチゴジャム塗りたくれ FAN CLUB 脳細胞 電撃バップ ROCK’N’ROLL”とコール&レスポンス。いつ観ても凄まじい曲だ。

ヘヴィなイントロに乗ってメンバーが全員が登場すると、成田が「命、捨てます!」と叫んで、この日一番ハードな楽曲「シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」でクライマックスへ。成田が首かっきりポーズで曲を締めると、すかさず「音楽の魔物」へと続き、フロアにダイブして仰向けになりながらシャウト。“いちいち窮屈な世の中ぶち壊そうぜ!”“俺たちで変えていこうぜ!”と、名セリフ連発。後半ではハジメタルがフロアに飛び出して立ち上がり、大内はマイクスタンドを振りかざし、アントンは無人の床に自爆ダイブする等、カオスが極まる中、「俺たちがTHE 夏の魔物だー!!」と成田が客上に仁王立ちのままシャウトして、シェルター2DAYSを締めくくった。

2日間にわたったワンマン・ライヴは、メンバーそれぞれの個性を存分に活かしたDAY1、新曲を中心に聴かせたDAY2で、バンドの進化を示してみせた。特にDAY2は、ドラマーのチェンジに伴うハードエッヂなサウンドとよりギターを前面に出した新曲が際立ち、より剥き出しで、バンドの一体感が爆発していることが伺えるものだった。今週金曜日には渋谷La.mamaにて伊藤賢治、NoGoDの団長をゲストに迎えフリーライブを行うTHE 夏の魔物。その勢いは全く留まることを知らないようだ。

取材・文:岡本貴之
PHOTO:西槇太一

THE 夏の魔物 ワンマン・ライヴ〈SHELTERの魔物 2DAYS〜Live or Die〜〉
2018年7月26日(木)27日(金)下北沢シェルター

●DAY1―7月26日(木)
〈セットリスト〉
0.オープニング
1.サンセットハートアタック
2.愛夢地獄
3.リングの魔物
4.涙。
5.ハジメまして
6.わたし
7.ケモマモハート
8.バイバイトレイン
9.ダーリンno cry!!!
10.東京妄想フォーエバーヤング
11.僕と君のロックンロール
EN1. Montagne verdi(Marcellaカバー・アントーニオ本多ソロ)
EN2. シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~

●DAY2―7月27日(金)
〈セットリスト〉
1.恋愛至上主義サマーエブリデイ
2.魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~
3.MATSURI GIRL
4.リングの魔物
5.しゅきぴ
6.ミックステープ
7.日々のあわ
8.ケモマモハート
9.サンセットハートアタック
10.涙。
11.さよならメモリー
EN1.マモノ・アラウンド・ザ・ワールド
EN2. シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~
EN3. 音楽の魔物

ライヴ情報
◯夏の魔物2018プレイベント
THE 夏の魔物 フリーワンマンライブ
La.mamaの魔物
日時:8月3日(金)
会場:渋谷La.mama
19:00OPEN / 19:30START
ACT:
THE 夏の魔物
ゲスト:
伊藤賢治
団長(NoGoD)
・入場無料(ドリンク代のみ)
・2時間飲み放題1500円プランあり

◯夏の魔物2018プレイベント
THE 夏の魔物 presents
アイドルだとか、バンドだとか、そうじゃねえとか、 あぁうるせぇ!!!!
日時:8月22日(水)
会場:TSUTAYA O-nest
19:00OPEN / 19:30START
ACT:
THE 夏の魔物
BILLIE IDLE®
二丁目の魁カミングアウト
・8月1日プレイガイド一般発売開始

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